松尾匡『この経済政策が民主主義を救う』
松尾匡さんの新著『この経済政策が民主主義を救う』(大月書店)をお送りいただきました。いつもいつもありがとうございます。
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b214189.html
改憲に突き進む安倍政権。
これから景気はどうなるのか。
左派・リベラル派はどうすればいいか。
自由を守る最後のチャンス、あきらめるのはまだ早い!
中身は、目新しいことは何一つ書かれていません。松尾匡さんが繰り返し繰り返し倦むことなく説き続けていることを、改めてこれ以上ないくらいわかりやすく書き下ろした本です。
では何がこの本の特色なのか?「むすびにかえて」に曰く、
この本は大月書店から出てこそ意味があったと思います。
そう、マルクス・エンゲルス全集を出した日本の代表的な左翼系出版社である大月書店から、(いんちきな「りふれは」ではない)まっとうなリフレ派経済学の(言葉のもっとも正当な意味における政治的パンフレットとしての)政策提言が出されたことに意味があるのでしょう。
第1章 安倍政権の景気作戦――官邸の思惑は当たるか?
第2章 人々が政治に求めていること
第3章 どんな経済政策を掲げるべきか
第4章 躍進する欧米左翼の経済政策
第5章 復活ケインズ理論と新しい古典派との闘い
第6章 今の景気政策はどこで行きづまるか
が、EUの労働社会政策をフォローしてきたわたくしからすると、改めて正面から「躍進する欧米左翼の経済政策」をきちんとまとめていただいたところに、本書のひとつの意義があるといいたいところです。
ちょうど、連合総研の『DIO』の紹介で引用したばかりで、妙な符合ですが、欧州左派の経済政策は、確かにアベノミクスと共通性が高いのです。
おかしな対立軸を立てようとすればするほど、世界標準の左派から乖離していくことになるという皮肉を指摘する役割を、いつまでも松尾さんばかりに押しつけていて良いのですか?
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早稲田の若田部さんはリフレ派は左派に親和するとおっしゃっておりますが、もはや経済政策の妙手はなくなり、とりあえず都合よく時を見計らいながら左右の「巨人の肩」に乗っかってるような経済学界において、松尾さんは確かに異端で本もおもしろい。特に「不況は人災です」でしたっけ?。マルクス経済学者が・・・と帯等にも書評にもキャッチフレーズのように使われてしまうので、やっぱり一度は大月書店でしょう。新日本出版社とはいかないでしょうから。しかし第5章は気になりますねえ。新新古典派傍流として生き残るニューケインズではなく、ホンモノのケインズ一般理論を語られているのでしょうか?買うしかないかァ
投稿: kohchan | 2016年1月19日 (火) 10時44分
松尾匡さんですが、こちらの妄言についてどのように反省なさっているのか気になります。これだけハズして頬かむりの人を信用するのは難しい。
https://twitter.com/L1JB8NUvz96Ucub/status/819829286928412677
http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__130408.html
投稿: 六派 | 2017年1月31日 (火) 10時40分