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2015年12月12日 (土)

『働く女子の運命』立ち読み

Img_752f5d874047328e26f434ce08fbda5 文春新書のサイトで、来週刊行予定の拙著『働く女子の運命』のはじめの部分が立ち読み可能になったようです。

http://books.bunshun.jp/list/browsing?num=9784166610624

はじめに

 2015年8月に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)が成立しました。この法律では、大企業は自社の女性の活躍状況を分析し、「行動計画」を作らなければなりません。中小企業は努力義務です。この分析事項の中に、女性の採用割合、勤続年数の男女差、女性管理職の割合があり、要するに間接的な形で女性管理職の比率を引き上げようとする法律です。

 この動きの出発点は2014年6月の「『日本再興戦略』改訂2014」に、数値目標として「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」(2013年管理職比率):7.5%、2012年:6.9%)が掲げられたことです。その少し前、2013年10月に世界経済フォーラムが発表した社会進出における男女格差を示す「ジェンダーギャップ指数2013」では、日本は136か国中105位でした。女性の健康分野などはトップクラスなので、この低さをもたらしているのは政治分野における女性の割合や女性管理職の割合の低さです。ここを何とかしないといけないという認識が、ようやく政権中枢に及んできたのでしょう。

 しかしなぜ日本の女性はこんなにも活躍していないのでしょうか。日本はもともと男尊女卑の国だから?いやいや、前近代社会からずっと、日本は決して女性の地位の低い国ではありませんでした。むしろ、昔から男女平等でやって来たような顔をしている欧米諸国の方が、ほんの数世代前に遡れば、働く場においてはかなり頑固な男性優位、女性排除が色濃く存在していたのです。男女平等がまともに議論されるようになったのは20世紀になってから。政府が取り組むべき喫緊の政策課題になったのはその後半からです。アメリカで公民権法ができたのが1964年、ヨーロッパ諸国で男女平等法ができていったのが1970年代、国連の女性差別撤廃条約ができたのが1979年、日本の男女雇用機会均等法(男女均等法)が1985年です。若干の時間差はありますが、既にその時間差以上の長い時が流れています。

 その後、男女均等法も努力義務から法的義務に強化され(1997年)、育児休業法もどんどん充実していき、少なくとも六法全書に載っている女性関係の法律を見る限り、欧米諸国に比べて遜色があるようには見えません。そう、字面の上では。ところが、ジェンダーギャップ指数で見ると、この10年間ですら、2006年に115か国中79位だったのが、どんどん順位を下げていき、2010年には134か国中94位、2013年には136か国中105位にまで落ちているのです。それで今ごろになって慌てて女性活躍推進法などを作りだしたわけです。2015年には145か国中101位とわずかに改善しましたが、これは女性閣僚が増えて「政治」の得点がアップしたためで、「職場」は悪化しています。

 ここには何か、法律の条文には現れていない、女性の活躍を阻害する要因が日本の社会に働いているに違いありません。

 その理由を手っ取り早く知りたい方は、とりあえず目次をめくって「序章 日本の女性はなぜ「活躍」できないのか?」に目を通してください。その根源にあるのは欧米社会と異なる日本独特の雇用システムであることが簡単に説明されています。それを読んでいまいち納得できない方は?是非第1章から始まる本書のメイン部分に取り組んでみてください。今まで見えなかった何かが見えてくるはずです。

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