大内伸哉『労働法で人事に新風を』
大内伸哉さんの新著『労働法で人事に新風を』(商事法務)をお送りいただきました。ありがとうございます。
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=1220813
入社間もない主人公の戸川美智香(架空の人物、社会保険労務士)は、経験豊富な人事部長が進める人事改革に労働法の視点が希薄であることに気づき、「労働法で人事に新風を吹き込む」という理想のもとに、次々とチャレンジを開始する。本書は、主人公が入社してからの人事部の日常をストーリー仕立てで描く。
大内さんお得意の小説仕立ての労働法解説書です。中身はこんな感じ。
第1話 正社員って誰?
第2話 派遣社員は、よその社員?
第3話 書面で同意をしてもダメなの?
第4話 社員のメンタルヘルスに配慮せよ!
第5話 ワーク・ライフ・バランスって何?
第6話 半数以上が管理職で大丈夫?
第7話 できない社員こそ解雇できない!
第8話 ITを味方に!
第9話 人材の獲得は難しい!
第10話 ハラスメントに御用心!
全部の話をむりやり一つの会社の中で起きる問題に仕立て上げるためにやや無理無理な感じのものもありますが、それにしても大学の先生しながらよくこんな下世話な話ばかり思いつくなあ、と・・・。
ブログでいつも読んだ小説の感想を書かれていますが、その長年の蓄積が本書に現れていますね。
ここでは中身じゃなくて、読んでて気になったところを。いや労働法学的なところじゃありませんよ。小説として読んで見たらここが気になるというところ。
最後のセクハラ課長の田所がエレベーターの中で佐藤ゆかりとやりとりするところですが、
「今日は楽しかったな。実は、僕は君のことが前から気になっていたんだよ」
「あら、お上手ですわ」
「君はとても、魅力的だよ」
「あら、もっとすてきな女性は、世の中にいっぱいいますわよ」
「いや、君が一番輝いていると思うよ」
これ、平成20年代の会社の課長と女性社員の会話とは思えないのですが。なんだか昭和30年代のサラリーマン小説から抜け出してきたような感が・・・。
文句つけるのはそこかよ!と思われるかも知れませんが、やはりここまで小説仕立てにされているからには、直木賞選考委員会に出たつもりで注文をつけさせていただきました。
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