オベリスクさんの拙著書評
オベリスクさんのブログ「備忘録」で、拙著『働く女子の運命』への書評がされています。
http://d.hatena.ne.jp/obelisk2/20151225/1451002257
濱口桂一郎『働く女子の運命』読了。いやあ、おもしろかった。日本で女性が働くのがむずかしいのは、日本の男性がダメなためだけではないのである。ヨーロッパでは女性の社会進出が進んでいるが、ヨーロッパの男性だって頭が固かったのは似たようなものだ。・・・
そう、そこは結構本書で強調したところです。欧米は男女平等意識が高くて、日本はそうじゃないから・・・なんていう表層的な議論ではどうにもならない。
それは、両者の労働形態のちがい、つまり、著者の云うところの日本の「メンバーシップ型」社会と、ヨーロッパの「ジョブ型」社会のちがいに依るものだと云うのだ。著者のこの区別は、最近ではかなり知られてきたような気がする。・・・
オベリスクさんの個人的な思いがにじみ出ているのはこの一節。
しかし、女性ではないがそのうち労働弱者に転落しそうな自分としては、女性の労働問題は人ごとではない。同じ問題とリンクしているからだ。自分がすぐには悲惨な状況にならないであろうことは、ただ予め余裕を作っておいたからに過ぎない。ちなみに不況下にあって生きてきた若い人たちは、ネットを見ていると、色んなことをやっている。あくせくしないで生きるという技術を身につけているのは、若い人たちに多いようだ。見習いたいと思う。
(追記)
オベリスクさんは以前にも拙著を書評いただいたことがあります。
http://d.hatena.ne.jp/obelisk2/20090820/1250758999
議論はかなり専門的で、シンプルな解決策が書いてあるわけではない。もちろん、それが直ちに悪いということではないが、改革の実際については枝葉の議論が多く、大もとの原則は現状肯定的にも見えるのは確かだ。先日読んだ上野千鶴子と辻本元清美の本で強調された、「同一労働同一賃金」の原則は、日本の現状に合わないとして一蹴されている。これは理想を説く本ではなく、著者もそれを意図していないだろう。
そう、ちょうど『新しい労働社会』を出したのと同時に、同じ岩波新書から上野千鶴子さんと辻元清美さんの『世代間連帯』って本が出たんですね。確かに一見対照的に見える本ではあるんですが、この評に対するレスポンスとして、当時私はこう述べていました。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-666a.html
えとですね、上野・辻元本との違いは、時間軸の短期・中長期とリアリズムの感覚の違いなので、実のところ結構共通するところはあるんですよ。
それはじっくり読むとにじみ出るんですが、卒然と読むと違いばかりが浮かび上がるのです。
この辺、実は面白いんですが、なかなか。
その辺の同じところと違うところが何なのかは、そのうち文春のサイトで公開される予定の上野・濱口対談でご確認いただければ、と。
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