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2015年12月14日 (月)

『福祉レジーム』

199095_2 新川敏光編著『福祉レジーム』(ミネルヴァ書房)を、著者の一人である水島治郎さんよりお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.minervashobo.co.jp/book/b199095.html

エスピング‐アンダーセンの社会民主主義、保守主義、自由主義の三類型論を見直し、新たに家族主義を含む四類型論を提起する。それとともに、福祉国家論から福祉レジーム論へと視座を移行させることによって、本書は、欧米、アジア諸国にとどまらず、ラテンアメリカ、東欧の福祉レジームをも射程に収め、21世紀型のポスト福祉国家レジームを展望する試みである。

この手の分野に詳しい方々にとっては、「福祉レジーム」というと、「ああ、あのエスピン・アンデルセンのあれね」と思うでしょうが、いやまさにそれで間違いはないのですが、アンデルセンやその修正版をはるかに超える世界的広がりの中で、それぞれの国の専門家が論じているという点では随一でしょう。どれくらいの諸国を相手にしているかというと、

はしがき
総 論 福祉レジーム論の視角(新川敏光)
第1章 日韓台の家族主義レジームの多様性(安周永/林成蔚/新川敏光
第2章 後発的福祉国家スペインの失われた改革(横田正顕)
第3章 イタリアの家族主義的福祉レジームの揺らぎ(伊藤 武)
第4章 保守主義レジームから変化するドイツ(近藤正基)
第5章 ポスト保守主義レジーム・オランダの可能性(水島治郎)
第6章 保守主義レジーム・フランスの状況(唐渡晃弘)
第7章 自由主義レジーム・アメリカの医療保険・年金・公的扶助(西山隆行)
第8章 賃金稼得者モデルから転換するオーストラリア(加藤雅俊)
第9章 イギリス「自由主義」レジームの変容と持続(島田幸典)
第10章 社会民主主義福祉レジーム・スウェーデンの所得保障と社会サービス(渡辺博明)
第11章 保守主義+インフォーマルセクターのアルゼンチン福祉レジーム(宇佐見耕一)
第12章 岐路に立つ「新しいブラジル」の福祉レジーム(近田亮平)
第13章 分断化された社会におけるメキシコ福祉レジーム(畑 惠子)
第14章 ポスト社会主義国ポーランドの福祉レジーム(仙石 学)
第15章 体制転換後のエストニアの福祉レジーム(小森宏美)
第16章 変容する旧社会主義国ハンガリーの福祉レジーム(柳原剛司)
第17章 チェコにおけるポスト社会主義のハイブリッド福祉レジーム(中田瑞穂)

日本と韓国と台湾をまとめて1章にしても全17章ですからなかなかの壮観です。

お送りいただいた水島さんの書かれたオランダ編は、保守主義レジームの「保守」って何だ?というところを突っ込んでいき、パートタイム労働促進という方向性は、社会民主主義レジームへの接近ではなく、ポスト保守主義レジームと解すべきと主張しています。このあたりの議論の展開はなかなか面白いです。もし書店で見かけたら、是非80ページから81ページのあたりをざっとでも読んで見てください。

中南米3つ、中東欧4つという諸国は、なかなか知る機会も少ない諸国なので、参考になります。

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