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2015年12月15日 (火)

名目賃金、5~10%上げを@日経新聞経済教室

本日の日経新聞の経済教室は、「名目賃金、5~10%上げを」という目を剝くような字が躍っています。

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO95100310U5A211C1KE8000/(日本の経済政策への提言 名目賃金、5~10%上げを )

日本はインフレを必要としている。日銀が量的・質的金融緩和により0.5%程度のインフレを達成したが、それ以上のインフレが必要だ。

インフレ2%くらいじゃ足りない、1桁台後半のインフレを目指せ、という意見です。著者は、A・ポーゼン ピーターソン国際経済研究所所長/O・ブランシャール ピーターソン国際経済研究所シニア・フェローの二人。

やや変わっているのは、そんな大幅なインフレを何のためにやるのかというと、財政再建のためだと平然と言ってのけているところでしょう。国債保有者のお金を納税者と債務者に返すのだと、まあ政府関係者なら口が裂けても言えないことを平気で言ってます。

とはいえ、伝統的な階級政治の発想からすれば、金利生活者から労働所得生活者に金を持ってくるというのはそれなりに「正義」だったはずですが、今日の進歩的左派にはそういう発想はほとんどなく、金利生活者こそかわいそうで守るべきという発想が強いので、こういう意見は赤旗ではなく日経新聞に出るわけですね。

それはともかく、この小文の面白いのは、そういうマクロ的な大胆さだけではなく、そのために繰り出せという施策が結構的を射ていることです。

曰く:

1)予定されている法人税減税の国会審議を、企業が賃上げを実施するまで中止する。

2)公的部門の名目賃金を引き上げ、優秀な人材の争奪戦を通じ民間の賃金上振れに圧力をかける。

3)最低賃金のほか、公共事業や規制部門など政府が管理する賃金を5%以上引き上げる。

4)政府が発注する業務の賃金を物価スライド制として、広範囲にこれを適用する法案を国会に提出する。

確かに賃金インフレを起こしたいのなら、(一部りふれはみたいに)口先で賃金上げろという一方で公務員賃金を下げ続けろなどという言行不一致ではなく、さっさと率先垂範、政府の力でやれる範囲でやればよいのは確かです。

このうち4)は、労働問題に詳しい方はお分かりの通り、まさに公契約法ですね。こういうのを、金融系の実務家研究者が説くという光景もいろんな意味で感慨深いものがあります。

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コメント

先生、今の日本で左派・リベラルの過半数は年金生活者ではないでしょうか。まあ、広義の金利生活者ではありますが。
インンフレーションの局面では生産手段を有している者が圧倒的に有利ですから、無産労働者のミカタとしては、「賃上げ賛成・インフレ反対」というある意味矛盾した意見にならざるをえないと思います。
昭和30・40年代もそうでしたし。

クルーグマンもNYTで、「ごめんチャイ」とコラム表明したように、アベノミクス失敗の裏返し現象ですね。
保守だの革新だのそもそも公共の精神など微塵もなく、ひたすら自己利益実現の手段として労組や政党等の結社に時限ヤドカリを続け、その有限時間が終われば利益は人によっては真逆に変わり、自動的に結社の意志も変わるだけのことだったのでしょう。
それで飯を食ってきた各結社の専従専門家たちのうちうまく逃げ切った高齢者はダンマリを決め込み、残された高齢者とその後の世代をまたぞろあ~だのこ~だのキャッチコピーをひねくりだし、その世論はこぞって親和するでしょう。結社とメディアは性質上親和しますから、それをつなぐ使者クルーグマンは今度はなにを懺悔するのでしょう。判っているくせに。

賃金上げのj条件もないのに、民間準拠の原則をやぶって、公務員給与などをあげて、賃金インフレが起こるという、ポーゼンの議論には唖然です。

うまくいかず、通貨価値の毀損からのインフレということで、貨幣資産が多い現役の労働者それも若手に、大きなしわ寄せになるだけではないでしょうか。

IMFのチーフエコノミストだった、
ブランシャールは、日本は、これまでの累次のIMFなどの提言を無視して、増税や歳出削減できない国だということで、インフレ税でしか、財政再建できないというご宣託でしょう。

こんな国辱的な提言を、たぶんとても高い原稿料を払って、載せるわが国の経済新聞にも困ったものです。

こんなことだから、フィナンシャル・タイムズも高値掴みさせられてしまうんでしょうね。

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