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2015年11月 6日 (金)

TPP協定の暫定案文労働章

内閣官房のTPP政府対策本部のHPに、TPP協定の暫定案文の概要がアップされています。

http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2015/13/151105_tpp_zensyougaiyou.pdf

そのうち、第19章の労働章は、マスコミはほとんど注目しませんが、労働関係者はちゃんと目を通しておくべき文献です。

第19章.労働章

1.労働章の概要 

 国際的に認められた労働者の権利に直接関係する締約国の法律等(以下「労 働法令」という。)を執行すること、国際労働機関の 1998 年の労働における基 本的な原則及び権利に関する宣言並びにその実施についての措置(ILO宣 言)に述べられている権利を自国の法律等において採用し、及び維持すること、 労働法令についての啓発の促進及び公衆の関与のための枠組み、協力に関す る原則等について定める。

2.主要条文の概要

○労働者の権利(第19.3条) 各締約国は、自国の法律等において、ILO宣言に述べられている権利(結社 の自由及び団体交渉権の実効的な承認、強制労働の撤廃、児童労働の実効的な廃 止並びに雇用及び職業に関する差別の撤廃)を採用し、及び維持することを規定。 また、労働条件(最低賃金、労働時間等)を規律する法律等を採用し、及び維持 することを規定。

○逸脱の禁止(第19.4条) いずれの締約国も、第19.3条1に規定する労働者の権利と両立しない場合 等には、締約国間の貿易又は投資に影響を及ぼす態様により、自国の法律等につ いて免除その他の逸脱措置をとってはならず、又はとる旨提案してはならない 旨を規定。

○労働法令の執行(第19.5条) いずれの締約国も、貿易又は投資に影響を及ぼす態様により、自国の労働法令 を効果的に執行することを怠ってはならないこと等を規定。 ○強制労働(第19.6条) 各締約国は、強制労働によって生産された物品を輸入しないよう奨励する旨 を規定。

○企業の社会的責任(第19.7条) 各締約国は、企業に対し、労働問題に関する社会的責任についての自発的活動 74 を任意に採用することを奨励するよう努める旨を規定。

○啓発及び手続上の保証(第19.8条) 各締約国は、自国の労働法令等に関する情報を公に入手可能とすること等に より、自国の労働法令に関する啓発を促進すること、締約国の法令に基づいて認 められる利害関係を有する者が裁判所を利用する機会を有することを確保する こと等を規定。

○公衆の意見の提出(第19.9条) 各締約国は、本章に関連する事項について締約国の者からの意見書の受領及 び検討について定めること、意見の提出者に対し適時に回答すること等を規定。

○協力(第19.10条) 締約国は、本章の規定の効果的な実施のための仕組みとしての協力の重要性 を認めること、協力活動を行う際の指針とすべき原則等を規定。

○労働評議会(第19.12条) 締約国は、各締約国が指名する大臣又は他の地位の政府の上級代表者から成 る労働評議会を設置すること、同評議会は原則として2年ごとに会合すること、 同評議会は本協定の効力発生の日の後5年目の年に本章の規定の実施について 検討を行うこと、その他同評議会の任務等を規定。

○連絡部局(第19.13条) 各締約国は、自国の労働省又はこれに相当する機関の部局又は職員を本章に 関連する事項を取り扱うための連絡部局として指定すること等を規定。

○公衆の関与(第19.14条) 各締約国は、自国の労働者団体の代表者及び事業者団体の代表者等が本章に関 連する事項について意見を提供するため、労働に関する協議機関、諮問機関等を 設け、又は維持すること等を規定。

○協力のための労働対話、労働協議(第19.11条及び第19.15条) 締約国は、本章の下で生ずる問題に関する他の締約国との対話(第 19.1 1条)及び労働協議(第19.15条)をいつでも要請することができること、 同協議により問題を解決することができない場合には、労働評議会の代表者が 会合することを要請することができること等を規定。また、一定期間内に問題を 75 解決することができなかった場合には、紛争解決章の規定に基づくパネルの設 置を要請することができること等を規定。

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