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« 神職(権禰宜)の労働者性 | トップページ | 「人夫名義の職工利用」とは何か? »

2015年11月20日 (金)

働く女子の運命 (文春新書)

『働く女子の運命』 (文春新書)の広告が文藝春秋社のサイトにアップされたようです。

http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166610624

女性の「活用」は叫ばれて久しいのに、日本の女性はなぜ「活躍」できないのか?

社会進出における男女格差を示す「ジェンダーギャップ指数2014」では、日本は142カ国中104位という低い数字。その理由は雇用システムの違いにある。

ジョブ(職務)=スキル(技能)に対して賃金を払う〈ジョブ型社会〉の欧米諸国では、採用は基本的に欠員補充になる。一方の日本社会では、「社員」という名のメンバーを「入社」させ、定年退職までの長期間、どんな異動にも耐え、遠方への転勤も喜んで受ける「能力」と、企業へ忠誠を尽くす「態度」の積み重ねが査定基準になりがちだ。このような〈メンバーシップ型社会〉のもとでは、目の前の仕事がいくら出来ても、育児や出産の「リスク」を抱える女性が活躍する余地はないのだ。なぜそんな雇用になったのか――その答えは日本型雇用の歴史にある。

本書では、豊富な史料をもとに、当時の労使双方の肉声を多数紹介。歴史の中にこそ女子の働きづらさの本質がある! 老若男女必読の一冊。

発行は来月、12月18日の予定です。

担当編集者からこんな言葉をいただいております。

つい最近まで、女子は「腰掛け就職」「職場の花」などと呼ばれ、重要な業務につけず、管理職にもなれない不遇を味わってきました。
そしてやってきた失われた20年以降、総合職というコースが用意された代わりに、“転勤も労働時間も無制限”に働けという。
さらには「少子化対策と女性の活躍」を両立させる、ですって――?!
いったい女性にどうしろと言うのでしょう。
本書では富岡製糸場から戦争時、職業婦人、ビジネス・ガールといった働く女子の歴史を追いながら、男性中心に成功してきた日本型雇用の問題点を探っていきます。

(参考)

細目次は次の通りです。

はじめに

序章 日本の女性はなぜ「活躍」できないのか?

雇用システムが原因

日本型雇用賛美と男女平等

「市場主義の時代」と非正規化

第1章 会社にとって女子とは?

1 女子という身分

戦前-社員はお断り

戦後-やはり「女の子」扱い

2 女工の時代

『富岡日記』から『女工哀史』へ

渋沢栄一も「絶対に反対」の工場法

女監督官第1号

3 女事務員の登場

職業婦人の進出

なぜ女子の待遇が低いのか?

女子若年定年制の始まり

4 女子挺身隊と労組婦人部

むしろ女子を徴用せよ

若い女工たちの人権争議

婦人少年局と労働基準法

5 ビジネス・ガールとオフィス・レディ

結婚退職誓約書

「一人の娘さんをあずかった」

BG扱いに反発した女性

BGからOLへ

6 女子は若いのに限る

結婚退職制の壁

女子若年定年制の壁

第2章 女房子供を養う賃金

1 生活給思想と皇国勤労観

年功賃金制度の源流

家族を扶養できる賃金

戦時体制がつくった日本型雇用

勤労は国家への奉仕

2 電産型賃金と世界からの批判

年齢と家族数で決まる賃金

GHQの批判

世界労連の批判

労働基準法と男女同一賃金

3 職務給シフトの試み

終戦直後の賃金合理化

財界は職務給に熱中

政府も職務給を唱道

職務給がBGを救う?

遂にはILO条約を批准

4 労働組合は生活給が大好き

マル経で生活給を正当化

労働組合婦人部のか細い声

総評は大幅賃上げ一本槍

なお根強い生活給思想

5 正体不明の「知的熟練」

「ジョブ」から「ヒト」への大転換

宇野段階論から始まった

知的熟練という万能の説明

世界に誇る会社主義

知的熟練論と女子の運命

6 奇妙な「同一価値労働」

同一労働同一賃金原則の復活

経団連独自の「同一価値労働」とは?

第3章 日本型男女平等のねじれ

1 欧米ジョブ型社会の男女平等

元婦人少年局長の嘆き

欧米社会の男女同一賃金

人種差別主義者が作った男女平等法

「女の職種」を評価する

とにかく女性を優先せよ!

2 均等法を作った女たち

「女たちの10年戦争」

労働省女性官僚赤松良子

努力義務になった均等法

3 日本型雇用・アズ・ナンバーワン

財界はなぜ均等法に反対したのか?

とても日本的な統計的差別

ジョブなき「コーズの平等」

4 「総合職」と「一般職」の登場

コース別雇用管理の導入

男は総合職、女は一般職

それでも男子のみ一律昇進

第4章 均等世代から育休世代へ

1 女性総合職の本格化とOLビッグバン

新時代の「日本的経営」

ようやく差別禁止法に

女性総合職活用の本格化

OLビッグバン

2 転勤と間接差別

転勤問題

日本的な間接差別規定

3 夫は「ワーク」、妻は「ライフ」の分業システム

女子は企業戦士になれるか

先駆的な育児休業制度

少子化ショックが駆動する育児休業

育休世代のジレンマで悶える職場

「定時で帰る」という非常識

4 ワークライフバランスの逆説

規制緩和でワークライフバランスを実現?

第一次ワークライフバランスが空洞化

第二次ワークライフバランスだけが遜色なく充実

5 マミートラックこそノーマルトラック

マミートラックは定員オーバー

女性の「活躍」はもうやめよう

マタニティという難題

高齢出産が「解」なのか?

終章 日本型雇用と女子の運命

あとがき

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コメント

ジェンダーギャップがそこそこクリアされているという面では先般の記事「医師・医学部の…」でもコメントさせていただきましたが、ジョブ契約に限りなく近い医師職は相当しますね。ただしそれは臨床つまり医療現場である現場労働に限りであって、卒後研究所としての専門科選択に関しては古よりのジェンダーが認められる遅れた不都合な事実wが日本には存在します。要はその教室主催者たちが受けた教育実態の時差現象でもあるわけで、「昔はよかった」論がいかに観念的であるかの証左でもあります。科学を標榜してこの有様ですからね。

書名でもう勝ちが決まった本。

少子化の原因の一つだったりするんでしょうか?
>メンバーシップ型雇用

ただ韓国、台湾あたりも少子化酷いので
あまり関係なさそうな気も
ただ東アジアがこう酷いのは何かあるんでしょうね。

政府に信頼感が薄いという点では同質性があるのかもしれませんね。もっといえば、納税を義務とするか、あるいは権利とするかという点ですね。
みんちゅ党もこの点に問題意志を持つ議員がいて国会でも議論されていたようですが、なにせあのざまでございましたからwその分今は風あたりが強いのですよね。じみん党はそういうところがずる賢いからぎりぎり最後の役者はそろっていますから、役割分担して評判が悪い政策は上手く中和させますねw。当然なんの解決も見いださないという生産性Zero政党ですがw。

いや~、目次の細目タイトルだけでも、とても突込みが良いと思いました。
いやむしろ、制度を利用する会社や幸せな労働者の方が変な突込みをしてくるので、本書の著者の方がノリ突っ込みでしょうか・・。

和田英の「富岡日記」(だったかな)を山形浩生氏のサイトで読めますから(今もたぶん。絶版らしかったです)時代をストック見聞するのではなくフローで視るには良いかと存じます。この本にも良いエッセンスをくれるのではないかとお節介で紹介します。このブログの訪問者レベルはずっと上でしょうが。

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