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2015年11月17日 (火)

無知蒙昧のウォールストリートジャーナル社説

こういう全く実定法規上の根拠の欠如したことを平然と書けるのでは、ウォールストリートジャーナルも赤新聞並と言われますよ。

http://jp.wsj.com/news/articles/SB11673646430017294066804581360870356997568 (【社説】アベノミクス、今こそ再考の時)

・・・首相はまた、正社員の解雇を難しくして年功序列の賃金体系を促している労働契約法の見直しにも失敗している。非正規雇用は不完全な一時しのぎに過ぎず、2層式の労働市場の効率の悪さは深刻だ。・・・

いうまでもなく、労働契約法のどこにも、「正社員の解雇を難しくして年功序列の賃金体系を促している」ような規定はありません。西欧諸国並の(むしろ西欧諸国の方がはるかに事細かな)解雇規定

(解雇)

第十六条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

と、自分で約束したことはちゃんと守ろうねという契約理論にわざわざ例外を設けてくれている

(就業規則による労働契約の内容の変更)

第九条  使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

第十条  使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

は、素直に読めば極めて緩やかな規定のはずです。

それがそうならないのは、もちろん、企業自身が(法律がそうしろなんて一言も言っていないのに)(無限定な労働義務と引き替えに)勝手に終身雇用、年功序列という慣行にどっぷりとつかり、それを労働者に約束してきたからであって、六法全書のどこをどういじくってみたところで、何の気休めにもならないということは、口が酸っぱくなるくらい繰り返してきたはずですが、無知蒙昧かつ軽薄な日本人ヒョーロン家の舌先三寸を信じ込む不勉強な経済新聞記者の姿が露呈してしまったというところでしょうか。

せっかく、nippon.comで英語をはじめとする諸外国語に訳された「「ジョブ型正社員」と日本型雇用システム」があるので、せめてこれくらいはちゃんと読んでから社説を書くなりして欲しいところです。

http://www.nippon.com/ja/currents/d00088/ (「ジョブ型正社員」と日本型雇用システム)

http://www.nippon.com/en/currents/d00088/ (Addressing the Problems with Japan’s Peculiar Employment System)

(追記)

それにしても、朝日新聞は、かくもネオリベむき出しのWSJの社説を、アベノミクスを批判しているからというだけの理由で、かくも嬉しそうに嬉嬉として紹介するわけですかね。

http://www.asahi.com/articles/ASHCL4DCCHCLUHBI013.html?iref=comtop_list_int_n03

・・・労働市場の改革では「余剰となった正社員の解雇を難しくし、年功序列の昇進を促している法律の見直しもできていない」と批判。電力の自由化や環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意など構造改革の一部は評価しながらも、「安倍氏が本当の改革を後押ししなければ、自分が行き詰まることになる」と警告した。

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コメント

いや~、キョウレツな皮肉w
でもですねえ、はまちゃん先生
科学界の不始末同様に、基礎が定常化し長年新しい理論がでない時代には、産業化すなわちプロセス軽視の成果主義競争がメディアにも現れているのですよねえ。
自然科学も社会科学も定常化の時代的な断末魔でしょうかw

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