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2015年11月 6日 (金)

工学的な生産性、経済学的な生産性

去る10月21日に開かれた労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会に、芝浦工業大学の蟹澤宏剛教授が提出した資料の中に、こういう一句がありまして、

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000102933.pdf(6ページの上のパネル)

工学的な生産性は世界でもトップレベルであるのに、経済学的な生産性(労働生産性)が非常に低い。

建設業を象徴する問題

いや、それ、建設業だけの話じゃない。でも、建設業に象徴的に現れている問題ではあるのでしょう。

労働生産性の向上≒賃金の向上

            付加価値額
労働生産性=-----------
         従業者数(×労働時間)

なぜ、建設業の労働生産性は低いのか?
 分子が小さい(受注単価が低い)
 分母が大きい
 従業者(のべ人数)が多すぎる
 稼働率が低い(歩掛が低い)

なぜ、稼働率が低いのか?
 技能レベルの低下
 無駄な重層下請

先進諸国にあって日本にないもの
 建設技能者の証:技能者のID
 能力評価の基準
 能力に応じた地位、処遇
 教育訓練の知識ベース・マニュアル
 入職時のみならず継続的な教育・訓練
 近代徒弟制度
 制度確立・運用のための基金

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コメント

そうですね。
物的生産性はどのような数値なのでしょう?
医療も付加価値生産性が低いと一面的情報が流されますが、物的生産性は高いのです。つまり少人数で大量の患者を日々さばいているわけで、これがいわゆる3時間待ち3分診療と批判を受けている因果律です。同じことが起きているのでしょうか?たとえばサービス業の医療であれば、それでも患者には選択の自由があり、待てば受けられる保障がありますが、ゲートキーパー制を厳格化する英国では3時間待ちどころか数週間待ちなどざらな受診の現実もあるわけです。医療とは違い機械化も導入しやすい3次産業はまた違う悩みがあるのでしょうね。しかし労働参加の機会は確実に減りますよね。落としどころの問題でしょうか。

工学的な生産性は世界でもトップレベルであるというのがただ錯覚なだけでしょう。だから付加価値額が低い。設備投資が低調なのが何年も続いたのに生産性が世界でトップレベルにあると思うのは、ものづくり神話の亜種みたいなもの。

工学的な生産性を何で測ってるかわからないですが、労働生産性については、製造業よりサービス業の方が悪く、大企業より中小企業(小さくなればなるほど)悪いと分解されて、さらに付加価値というのは主として売り上げから経費を引いたもので、小さい企業は人件費などの固定費ではなく中間費用(流通など)が大きいという風に分解しているレポートを最近読みました。
こうなってくると、小さい企業に何かしらの改革が必要という話になり、ひとつの方向はM&Aだし、もうひとつは、教育で"落ちこぼれ"た人が小さい企業に就職するのではなく、高学歴エリートが小さい企業を創って優秀な社員を集めるという方向になるのかと。
いずれにしても職業教育の充実が急務だと思います。

生産性、その中でも付加価値が低いという議論になる時、「付加価値が高くなるっていうことはその分今までお願いしてたお仕事に対して高くし払うことになるんやで」もしくは「今まで支払ってた金額で依頼内容がもっと薄ーくなるんやで」というお話を寡聞にして聞いたことがございませんことで。ええ、日本での生産性の議論なんて殆どそういうことですわ。

付加価値生産性を医療が追うと医療機関と患者の関係はBtoCですからDursanさんのコメントに相似したまずいことになりますねえ。さらにまずいことに患者も医療機関だけではなく、皆保険の財源つまり我々みんなもという三重苦であります。すべてにおいて生産性向上をむやみに追いかけると、マンデヴィルの罠が待っているようですねw。

Duran殿がおっしゃっているのと同様な内容をhamachan先生が2010年12月22日に、
"スマイル0円が諸悪の根源"
という記事にされています。
そこでは、

>消費者天国の日本だから、「スマイル0円」の日本だから、サービスの生産性が異常なまでに低いのです。膨大なサービス労務の投入量に対して、異常なまでに低い価格付けしか社会的にされていないことが、この生産性の低さをもたらしているのです。
>生産性を上げるには、もっと少ないサービス労務投入量に対して、もっと高額の料金を頂くようにするしかありません。ところが、そういう議論はとても少ないのですね。

と述べられています。建設業も競争の激化でサービス業と同様の状況なのでしょうか?(談合時代は生産性が高かった?)

また、追記 として
>>サービスに「タダ」という意味を勝手に内包した日本人の価値観こそが諸悪の根源。
というコメントを紹介されていますが、それに関して恥ずかしい思い出があります。
はるか昔、会社に入ったばかりの頃に会社の友人と中華料理を食べに行きました。ある料理を持ってきた店員が”この料理はサービスいたします”と言いました。それを聞いて我々は”もう一品、無料で提供してくれるとはすばらしい店だ”と思ってその料理を店員から受け取って全員で食べてしまいました。ふと店員を見ると唖然としています。店員は”この料理はこちらで取り分ける(から勝手に食べるな)”という事を言いたかったようでした。
お粗末様でした。

Alberichさんのお話は、今も「お・も・て・な・し」で世界発信しましたから、政府が鼻息荒い観光大国に!ってことは、早晩財務省から「スマイル割引クーポン債」発行となりますねw。

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