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2015年11月 6日 (金)

「労使コミュニケーションの課題」6@『生産性新聞』

『生産性新聞』11月5日号に、インタビュー記事「労使コミュニケーションの課題」6「企業別組合ベースに全労働者が加入する代表組織を」が載っています。

●労使コミュニケーションをめぐる現状をどう見るか
近年、労使コミュニケーションの重要性について、あらためて認識されるようになっているが、全雇用労働者の4割近くを非正規労働者が占めるようになった今、労使コミュニケーションの形骸化が指摘されている。
非正規労働者を取り巻く問題は、労働法政策の中心的課題となっているが、そこに欠落しているのは、集団的労使関係の枠組みの中で非正規労働者の問題を正面から論じる姿勢である。
労使コミュニケーションの実効性を高めていくために、集団的労使関係の枠組みから外れている非正規労働者をいかにカバーし、集団的労使関係の適用領域を拡大していくかが問われている。

●コミュニティ・ユニオンなど企業外の労働組合に頼る非正規労働者も少なくないが
非正規労働者の組織化に成果を収めている労働組合もあるが、労働組合のメンバーシップはおおむね正社員に限られている。このため、解雇や雇止め、労働条件の切り下げ、嫌がらせといった問題に直面する非正規労働者の多くは、コミュニティ・ユニオンなど企業外の労働組合に頼らざるを得ない。
その組合員になって使用者に団体交渉を申し入れると、複数組合平等主義に立つ現行法の下では、使用者はその団体交渉に応じなければならない。拒否すると、不当労働行為として労働委員会から団交応諾命令が発せられる。これらは、形式的には集団的だが、実質的には個別的な「団体」交渉で、個別紛争を解決する上で、有効に機能してきた。
しかし、こうしたシステムが個別紛争解決手段として活用されていけばいくほど、集団的労使関係の本質的な意義であるはずの「集団としての労働者の利害調整メカニズム」という側面は弱まる。

●今後の集団的労使関係の枠組みのあり方について
今後、求められるのは、戦後70年かけて築かれてきた日本の集団的労使関係を前提にしながら、すべての労働者が集団的な枠組みの中で、きちんとその権利を保障されるような仕組み作りだ。
その一つとして提起されているのが、従業員代表制の法制化をめぐる議論だが、極めて結論が出しにくい議論になっている。
西欧では、労働組合は企業の外に置かれ、企業内の従業員代表制による労使協議が法律で義務付けられている。これに対し、日本では労働組合の多くは企業別に組織され、賃金・労働条件や労働協約の締結もほとんどすべて個別企業レベルで決定される。日本の企業別組合が、西欧の労働者代表機関とほぼ同じ機能を個別企業レベルで果たしている現状を鑑みると、既存の労働組合とは別の従業員代表組織を法制化する困難さに気付く。
そこで、論理的に破綻した主張であることを承知の上で、あえて、「現在の企業別組合をベースに正社員も非正規労働者もすべての労働者が加入する代表組織を構築していくこと」を唯一の現実可能な選択肢として主張せざるを得ない。これが、特に企業内労使コミュニケーションの自覚的再構築につながるものと考える。  (談)

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