第1回 「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」における主な意見
先週金曜日に開かれた規制改革会議雇用WGの資料が内閣府HPにアップされています。
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg4/koyo/151106/agenda.html
1.労使双方が納得する雇用終了の在り方に関する検討状況について(厚生労働省ヒアリング)
2.ジョブ型正社員の雇用ルールの整備に関する検討状況について(厚生労働省ヒアリング)
3.一定の手続の下で行われる転職スキル形成に対し、政府が支援する制度の整備に関する検討状況について(厚生労働省ヒアリング)
4.労働者派遣制度の見直しに関する検討状況について(厚生労働省ヒアリング)
5.雇用仲介事業の規制の再構築に関する検討状況について(厚生労働省ヒアリング)
いずれも厚生労働省の説明だけで、特に目新しいものはない・・・・と思ったら、いやありました。
最初の労使双方が納得する雇用終了の在り方に関する検討状況の中に、10月29日の第1回会合の主な意見が載っていて、厚労省HPにはまだ議事録がアップされていないので、これはこちらだけで見ることができる状態です。
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg4/koyo/151106/item1-1.pdf (7枚目以降)
<議論の進め方>
○ 労使双方が納得できる議論となるよう、互いの立場を思いやりつつ、よりよい制度づくりに向けて議論を進めるべき。また、解雇無効判決時における金銭救済制度が注目されがちであるが、紛争予防と紛争解決が重要。
○ 検討会の進め方として、金銭救済制度の創設を前提とせずに議論するべき。また、個別労働関係紛争解決システムの現在の様々な解決手段(労働局や労働委員会におけるあっせん、労働審判、民事訴訟)がどのように機能しているかについて、共通認識を作る必要があるのではないか。
○ 現行の紛争解決システムの運用に関することのみであれば所管の審議会で議論すればよい。成長戦略としてグローバルにも通用するようなルール作りについての要請があり、この検討会が立ち上がったことを踏まえれば、そうした立法政策の大枠をここで議論するべき。
○ 現状の労働紛争解決システムが有効に機能しているかという議論と、解雇の金銭解決ルールの創設や、ADRと司法手続の連関性といった立法政策上の議論は有機的に関連しており、両者を一体的に検討することが必要。
○ 紛争解決に関わる当事者のヒアリングが必要であり、ヒアリングはテーマを分けて丁寧にやるべき。労働相談、あっせん、労働審判、裁判で、それぞれどうやって解決しているのかを知ることが必要。また、監督署・総合労働相談コーナー・法テラスなどへ相談に行った労働者が、その後どの紛争解決機関へ行くのかといった動きを知ることも必要。
<既存の労働紛争解決システムの運用に関する意見>
○ 労働委員会あっせんの長所、すなわち、使用者側の参加率を高める観点から、労使委員による当事者の説得や、調整に十分な時間を掛けていることに注目し、他制度の改善に活かすべき。
○ 労働局あっせんは解決金水準が低いとされるが、解雇が不当ではない事案もあっせんの対象として含まれていることは前提として共有すべき。
○ 労働審判制度は、法曹関係者も含めて労使とも高く評価しており、これをより使いやすい制度にしていくことが重要。労働審判の創設により予見可能性は向上している。
○ 中小企業労働者には訴訟や労働審判へのアクセス障害(労働審判制度を知らない、弁護士費用が払えない等)があり、その解消が課題。
○ 紛争解決の現状をみると、紛争防止のため、まずは現行のルールや基本的な労働法令の周知徹底が必要。
<解雇無効時における金銭救済制度をはじめとする立法政策に関する意見>
(金銭救済制度について)
○ 社会的に何が合理的なのかがわかるよう、解雇に関するルールの明確化という観点から金銭救済制度の創設が必要。あっせん・労働審判等で既に金銭解決がなされており、是か非かを議論しても意味がない。制度の創設に当たっては、欧州諸国のように、補償金の上下限を定め裁判官が判断するという仕組みを考えるべき。
○ 日本型システムがほころびを見せる中で、グローバル化に対応し、他の改革と連動した改革を行い、外国企業をアトラクトし、日本経済再生につなげていくことが重要。
○ 我が国の解雇訴訟では依然としてYesかNoの二択なので、勝敗の見通しが困難。法律上の制度の中で金銭水準を示して解決するというのも、予見可能性を高めるための一つの手法。
○ 個別紛争のあっせんはじめ、現行制度下で行われている金銭解決に関し、勤続年数、年齢、正規・非正規などの詳細なデータを分析した上で、欧州の制度も参考にしつつ、例えば何らかのガイドラインを作るべき。
○ 解雇の金銭救済制度は、解雇しやすくするということではなく、あくまで、労働者に多様な手段を用意するために検討すべきもの。その意味でも、その申立主体は、労働者側に限るべき。そうすれば労使双方の納得が得られる。
○ 解雇の金銭救済制度は、平成18年の労政審建議で「引き続き検討」となっているところ、まずは、当時から現在にかけて、どのような事情の変化があったのかを捉えるべき。
○ 解雇の金銭救済制度に関する検討は、手続面を含め、かなりテクニカルな議論が必要。その際、現行の裁判の中で、解雇について損害賠償請求を認容しているものについても分析が必要。
○ 紛争解決の際、解決金水準は個別事案に応じ、当事者の主張を考慮して決めることとなる以上、一概には決まらないというのが経験からの印象。
○ 解決金水準にはいろんなファクターが影響する。賃金水準や、解決にかかる期間もそうだが、本質的なのは、データ化が難しいが、心証形成。また、そもそもの根幹である苦情・不満への対処についても、紛争解決に含まれているのではないか。
(その他の立法政策について)
○ 多様なシステムは整備できたが、それぞれの関連が不十分。労働局のあっせんが不調だった後、行政のADRから司法の訴訟制度に移る際に、円滑にステップアップできるようにするための制度の整備が必要。諸外国では(あっせんの前置などを)整備している例もある。
○ 日本は、地位確認はできるが就労請求権がないということが大前提である旨を共有すべき。
○ 解雇無効等を訴えることのできる労働者はごく一部であり、ほとんどが泣き寝入り。更なる有効な解決手段の整備が必要。
どれが誰の発言かは今のところ不明ですが、だいたい想像できる発言もありますね。
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