ようやく普通の法律になった労働者派遣法@nippon.com
日本の政治、経済、社会および文化について、広く海外の読者に情報発信を行うことで、国際社会における対日理解の促進を図っている「nippon.com」という多言語発信サイトに、本日「ようやく普通の法律になった労働者派遣法」を寄稿しました。
http://www.nippon.com/ja/currents/d00203/
日本語バージョンから始まって、英語、中国語(繁体字、簡体字)、フランス語、スペイン語、そしてアラビア語までこれから翻訳されていく予定です。
2015年通常国会でようやく改正労働者派遣法が成立し、極めて特殊であった日本の労働者派遣法がようやく先進国並みの普通の法律となった。しかしその道のりはなめらかではなかった。2014年3月に国会に提出した法案も、同年9月に提出した法案も廃案となり、2015年3月に提出した法案も野党の猛反対で延々審議が続けられ、ようやく(安全保障法案可決のためにわざわざ延長されていた)9月になって成立に至ったのである。しかし、国会での野党の主張やマスコミなどで語られる派遣法をめぐる議論は、日本の労働者派遣法の本質的な問題から目をそらし、情緒的な議論に終始するものであった。・・・・・
ちなみに、一昨年には「「ジョブ型正社員」と日本型雇用システム」を寄稿しております。これは既に上記各国語に訳されています。
http://www.nippon.com/ja/currents/d00088/ (「ジョブ型正社員」と日本型雇用システム)
http://www.nippon.com/en/currents/d00088/ (Addressing the Problems with Japan’s Peculiar Employment System)
http://www.nippon.com/cn/currents/d00088/ (“限定型正式雇员”和日本式雇用体系)
http://www.nippon.com/hk/currents/d00088/ (「限定型正式雇員」和日本式僱用體系)
http://www.nippon.com/fr/currents/d00088/ (Les problèmes spécifiques du système de l’emploi japonais)
http://www.nippon.com/es/currents/d00088/ (La problemática del modelo de empleo japonés)
http://www.nippon.com/ar/currents/d00088/ (نظام التوظيف في اليابان)
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うーん読ませていただきましたがここまで楽観的にはなれないですね。「ジョブ型こそ本来の雇用関係」が国策となれば、それを免罪符にしていろいろずるをしかける使用者が増えるはずです、必ず。もうそういう話をちらほら耳にするし、私が経営者でも巧くやろうと考えるでしょう。
投稿: くみかおる | 2015年11月 6日 (金) 05時32分
>派遣法制定当時は結婚退職することが多かったOLと呼ばれる事務職の女性たち
>OLは新規学卒から結婚退職までの短期雇用という暗黙の了解の下
(↑リンク先より)
またもや小谷野敦『頭の悪い日本語』から。
「【OL】/・・・女が働くことを特別視することから生まれた言葉で、以前はビジネス・ガールとしてBGと言われていたが、これは英語では娼婦を想像させるというのでオフィス・レディーと言い換えられた。「看護婦」の運命を考えると、なんで残っているのか不思議な言葉で、私は使わない。」(p.78)
”普通に”、労働者(オフィスワーカー)と呼ばれてこなかったことも、非・常用代替(非・常用労働者)たることの証か。
投稿: 原口 | 2015年11月 6日 (金) 22時27分
ということは、やはり雇用形態や性への国家的役割分担政策の帰結である差別的賃金体系にそれが集約されているというこでしょうか。それは日本の家族制度(それが高齢化と少子化として、社会保障制度の歪さ)へノスタルジックな姿勢を露骨に発信する現与党とその支持者には理解されていないということですね。どうも最近気持ち悪い発言を許す社会になったなあと心配しておりましたが、ジョブ型は現実に企業への導入は無理でしょう。たしかに「婦」にNs自身も異議を唱えませんでした。文化人類学での研究課題で、労働経済学では解けませんw。
投稿: kohchan | 2015年11月 7日 (土) 15時17分