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2015年10月11日 (日)

『DIO』10月号は新規学卒者特集

Dio『DIO』10月号が届きました。特集は「新規学卒者の採用をめぐる課題」です。

http://rengo-soken.or.jp/dio/2015/10/308.html

特集記事の筆者は、上西充子さん、豊田義博さん、太田聰一さんの3人ですが、ここではリクルートワークスの豊田さんの「日本の新卒採用の「真の課題」は何か?」を。というのも、日本の本当の特徴は何かについて、やや上っ面の認識に基づいて議論すると、上っ面の対策しか出てこないからです。

上っ面の認識とは何か?豊田さんによれば、在学中に就職先が決まるのが日本の特徴というようなのが典型的な「ステレオタイプ」です。実際には、諸外国でも在学中に就職先を決めている人は結構います。しかし、逆にそれを見て日本も外国も同じやないかと言い出すのも、これまた上っ面の認識です。大事なことは、そのメカニズムだからです。

・・・しかし、海外諸国にも、タレント採用市場は存在する。そこでは、多くの学生が在学中に就職先を決め、卒業後まもなく働き出している。その市場では、いい人材を早くに見いだそうと、企業も早くから大学にアプローチをかけている。各国の大学生が2年次、3年次に行っているインターンシップの大半は採用目的のものだ。・・・・

ただし、そのインターンシップは、大学での専攻と結びついたものだ。財務・会計を学ぶ学生は金融機関やアカウンティングファームで、といったように、大学の学びを深めその専攻を生かして就職していくためのお試し期間として機能している。・・・だから、インターンシップに行っている学生を、各国の大学関係者は「大学の勉強もせずに、就活ばかりしている」などとは見ない。自らの大学で学んだ学生が、その学びを活かして社会に出るために必要な教育機会だととらえている。企業と大学は、一蓮托生の関係だ。

拙著『若者と労働』の言い方を使えば、就『職』活動ではなく入「社」活動だから、ということになりましょうか。

・・・学びと職業が接続していない、というわが国の社会システムの特性が、日本の新卒採用の特殊性を生み出しているのだ。

というわけです。

もう一つの特殊性は、そういう学生の職業能力(タレント)に着目するのではない採用の入り口、つまりエントリーレベルの採用市場が、いつでも誰にでも開いているオープンマーケットではなく、新規学卒者専用の「セーフティネット」になっているという点です。

・・・諸外国の若年失業率の高さは、新卒者の一部がこの市場の中でなかなか仕事を獲得できないという事態を表している。・・・つまり、日本の新卒採用システムは、競争的なタレント採用市場という顔とともに、セーフティネット機能という異質な顔も併せ持っている。

もちろん、こういう新卒者専用のセーフティネットがあるおかげで、そこからこぼれ落ちたは、もっと辛い目に遭うわけですが。

いずれにせよ、拙著でも口を酸っぱくして語ったこういう本質論をどこかへうちやったままで表層的な認識に基づく表層的な対策が行われれば、事態がかえって悪化したりするのも当然であるわけです。

・・・二つの特殊性を是正、改革することなしに、活動開始時期を変えても、本質的な解決には至らない。この問題は、複雑で根深い問題なのだ。

本質をわきまえない人が表層的な感想をぶちまけると、こういう「呪い」になるわけですが、それはともかう、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-b43f.html (「就活に喝」という内田樹に喝)

神戸女学院大学文学部総合文化学科教授の内田樹氏が、就活で自分のゼミに出てこない学生に呪いをかけているようですな。・・・

・・・・内田氏のゼミの学生と企業の担当者が、内田氏の教えている学問の内容が卒業後の職業人生にとってレリバンスが高く、それを欠席するなどというもったいないことをしてはいけないと思うようなものであれば、別に内田氏が呪いをかけなくてもこういう問題は起きないでしょう、というのがまず初めにくるべき筋論であって、それでも分からないような愚かな学生には淡々と単位を与えなければそれで良いというのが次にくるべき筋論。

もちろん、そういう筋論で説明できるような大学と職業との接続状態になっていないから、こういう呪い騒ぎが起きるわけですが、そうであるからこそ、問題は表層ではなく根本に立ち返って議論されるべきでありましょう。

哲学者というのは、かくも表層でのみ社会問題を論ずる人々であったのか、というのが、この呪い騒ぎで得られた唯一の知見であるのかも知れません。

閑話休題。

このあとの豊田さんの「2つの改革シナリオ」は、ジョブ型雇用を増やすことと採用活動の自由化です。

・・・このシナリオ、夢物語ではなく、いつか実現する日が来ると筆者は信じている。

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コメント

リンク先404なのでタトしているかもしれませんが、ここで採用活動の自由化というのは通年採用のことですか?

休み明けには連合総研HPにアップされると思いますが、お察しの通りです。

・・・もう一つのシナリオは、時間の規制をなくし、各企業が自由意思のもとに採用活動をする転換、つまりは「自由化」だ。・・・

と書かれてあります。

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