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2015年10月 3日 (土)

日々紹介と日雇派遣は同時に認められた件について

Kazama_2 一昨日(10月1日)の朝日新聞の「記者有論」に、東洋経済から朝日新聞に移った風間直樹さんの「派遣法改正 日雇い禁止はどうなった」が載っています。

http://www.asahi.com/articles/DA3S11992184.html

先の通常国会で成立した改正労働者派遣法が施行された。企業が人を代えれば同じ仕事を派遣社員に任せ続けられるようになった。1985年の制定以来の抜本改正だ。ただ、4カ月間に及ぶ国会審議で抜け落ちた論点がある。3年前の改正の時の目玉、「日雇い派遣禁止」問題だ。・・・

この問題については、旧自公政権末期に日雇い派遣禁止を含む法案が出される前の段階から議論のおかしさを指摘してきましたが、基本的に感情論でもって物事が動いてきた結果、

・・・その多くは派遣ではなく、その日ある仕事をそのつど紹介する「日々紹介」にシフトしているからだ。

企業の短期的な労働力へのニーズは根強い。そのニーズにこたえるため、派遣業者は相次いで紹介業者へと衣替えし、企業と労働者を仲介している。日々紹介業最大手のフルキャストホールディングスの今年上半期のあっせん数は延べ150万人にのぼる。紹介する仕事は、物流業や製造業のほか、最近は飲食業やサービス業にも広がっている。

法律上は「派遣」から「紹介」に変わったが、現場の実態は変わらない。むしろ悪化している。・・・

という状況になっています。それというのも、

・・・日雇い派遣の時は派遣先が決まれば、その後に仕事がキャンセルされても、給料の6割相当が休業手当として支払われた。日々紹介では雇用契約 は当日現場に行くまで成立しないため、直前のキャンセルでも、一切手当はもらえない。「日雇い派遣のほうがまだましだった」

風間さんはこれを踏まえて、

雇用法制は労働者の日々の生活に直結する。だからこそ改正にあたっては、現実を見据えた緻密(ちみつ)な制度設計が必要なのだ。

と語ります。その通りであると同時に、そもそも日雇い派遣禁止の議論を声高にした人々は、問題となっているようなたぐいの日雇い派遣と日々紹介は、同時に行われた法改正で同時に認められたものであって、一方だけが一方的に禁止されていたようなものではないという歴史的事実をどこまで認識していたのだろうか、という疑問も生じてきます。

いや、そもそも論でいえば、日本国の法体系は一日たりと言えども、日々雇用それ自体を禁止したことなどありません。一貫して日雇い労働は合法です。それを大前提とした上でいえば、有料職業紹介事業と労働者派遣事業は、その対象業務を厳格に限定されており、家政婦とかマネキンとか配膳人とかを除けば、(日々雇用だからではなく)認められた業務ではないが故に、そのような日々紹介や日雇い派遣はできなかったのです。

それが、ILO181号条約を批准するために行われた1999年の職業安定法改正と労働者派遣法改正によって、どちらの事業についてもポジティブリスト方式からネガティブリスト方式に転換されました。その結果、(日々雇用だからではなく)禁止業務ではないが故に、そのような日々紹介や日雇い派遣ができるようになったのです。

つまり、日々紹介と日雇い派遣は、ごく一部の業務を除けば、1999年に同時に解禁されたのです。

ここのところ、きちんと認識していましたか?多分してない人が大部分だったのではないかと思いますよ。

その後、ビジネスモデルとしては日雇い派遣が急速に拡大し、グッドウィルとかフルキャストなどが不透明なデータ装備費問題を起こし、政治的な批判が盛り上がって、自公政権末期に出された法案で日雇い派遣の原則禁止が盛り込まれ、それが民主党政権時の法案で成立し、業界は一斉に日々紹介にビジネスモデルを転換し、その結果上記風間さんの記事にあるような状況になったわけです。

1999年に同時に解禁された日々紹介と日雇い派遣の、後者が絶対的に極悪非道で、前者が素晴らしい存在だなんて議論になぜなるのか、というような疑問を呈する人は、この間私の知る限り、一人もいなかったように思います。

ごく最近に行われたことさえあまり記憶しないままに感情論に流されて法改正論が進められていくという事態に対して、とりわけマスコミ諸氏の冷静な議論の必要が痛感されるところです。

ちなみに、1999年改正でネガティブリスト化したのは有料職業紹介と労働者派遣であって、無料職業紹介と労働組合の労働者供給事業はそれ以前から一貫して業務は無限定です。これもまたあまり知られていないことかも知れません。

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コメント

流石、濱口先生!
私も、朝日の記事に注目して連絡をとるつもりです。
8月の雇用仲介事業の在り方検討委員会のヒヤリングの時に、濱口先生の持論の「日雇い派遣・臨時日々の職業紹介・労働組合の労供事業は、ビジネスモデルとして同じ」を例に、労働組合の労供事業に関する法制定が必要だと要請しました。
今、官製ワーキングプア解決の一手段として、行政との供給契約に取り組んでいます。

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