フォト
2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ

« 『経済科学通信』138号 | トップページ | 佐藤・藤村・八代『新しい人事労務管理』第5版 »

2015年10月16日 (金)

「均等待遇」欧州と日本@『生協労連定期大会資料集』

『生協労連第48回定期大会資料集』が送られてきました。というのは、その巻末に、私が昨年末の賃金・人事制度セミナーに呼ばれて喋った記録が載っているからです。

生協労連の組合員向けの簡単な講演ですが、結構わかりやすく説明していると思うので、ご参考までに。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/seikyo2014.html

こんにちは。濱口と申します。先ほど参りまして、木下先生がお話しされているのを見て、なぜ木下先生が話をし終わっているのに、そのあと私が余計なことを言う必要があるのかなと思ったのですが、先ほどご紹介いただいたように私たちはかなり考え方がよく似ております。ただ、彼は基本的には経済系の方ですが、私は基本的に法律系ですので、その辺、同じことを言っている場合でもアプローチの仕方がこんなふうに違うのだなとお聞きいただければありがたいと思います。
 実は先々週末の土曜日に都内某所で木下さんのいるところに呼び出されて、1時から5時ぐらいまで延々とやらされて、しかもそのあと夜の部もあって、ほとんど1日の大部分を、顔を付き合わせてやったようなこともあって、またしつこく同じような話をするなという感じもしないではありませんが、先ほど木下先生がお話しされたことを法制的な観点から復習するといいますか、押さえていくという感じでお聞きいただければと思います。
 大変不親切で皆さまのお手元には1ページだけのものしかお配りしていません。これで60分お話をしますが、実は結構中身が盛りだくさんなので、下手にしゃべっていると一番大事な最後のところが時間切れになってしまう可能性もありますので、できるだけそうならないように努力してお話ししたいと思います。

1 欧州における「均等待遇」
・男女同一労働同一賃金から始まった
・「同一価値労働同一賃金」論と均等待遇・ポジティブ・アクション
・間接差別としてのパート問題
・非正規労働者の均等待遇の法制化(パート、有期、派遣)
・根っこにあるのはジョブ型労働市場のジョブ型賃金制度
2 日本の特殊な状況
・法律は欧米と同じジョブ型
・現実社会はメンバーシップ型の無限定正社員がデフォルトルール
・同一労働「力」同一賃金による年功制が主流:生活給理論から「能力」理論へ
・男女平等もジョブの平等ではなくコースの平等
・非メンバーの非正規労働者は年功賃金の外側:家計補助的ゆえ不必要
・それゆえ非正規労働者の「均等待遇」は原理的に困難を抱える
3 日本型「均等・均衡」の展開と今後
・メンバーシップ型パートは「差別禁止」(パート法旧8条)
・そもそもジョブ型でないのでストレートな「同一労働同一賃金」は困難
・非メンバー型パートは「均衡処遇」の努力義務にとどまる
・JILPT研究会2011年報告書が「不合理な処遇格差の是正」という方向を示唆
・2012年改正労働契約法20条が「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」を規定
・2014年改正パート法も同様の規定(新8条)
・何が「不合理」か?-現状(メンバーシップ型正社員とジョブ型非正規の分断)を前提とすると、裁判規範としてはストレートな差別禁止規定とはなりにくい
・しかし、政策立法としての行為規範としては、不合理な格差の是正の根拠に
・誰が是正?現場の労働組合による労使交渉をおいて外にない
・弁護士ではなく、労働組合が活用すべき労契法20条とパート法新8条
4 今後の展望
・ジョブ型正社員は解雇自由の陰謀か?
・さまざまな限定度合によって「合理的格差」をもった原則一本の処遇制度へ

« 『経済科学通信』138号 | トップページ | 佐藤・藤村・八代『新しい人事労務管理』第5版 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「均等待遇」欧州と日本@『生協労連定期大会資料集』:

« 『経済科学通信』138号 | トップページ | 佐藤・藤村・八代『新しい人事労務管理』第5版 »