川端望さんの最賃1000円論
10月3日付けのエントリ「冨山和彦氏の最賃革命論」に、東北大学の川端望さんがコメントをつけられ、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-200e.html#comment-111975904
そこからリンクされた川端さんの論考が大変興味深いです。
最低賃金を1000円に上げるのが経済成長にプラスとなる。私は,この点は冨山和彦さんの言う通りだと思います。・・・
そのメリットは、
・・・同じ賃上げでも,安倍政権が進めている,企業への要請による賃上げ策より健全で,格差是正に役立ちます。政権が企業に賃上げを要請するのは,意思決定への介入の根拠があやふやだし,何より大企業の正社員中心の賃上げにしかなりません。最賃の引き上げは低所得層の底上げになります。
低所得層の場合,限界消費性向が高いと予想できますので,増えた所得は消費に回り,有効需要にストレートに結びつきます。・・・
さらに、いわゆるリフレよりも望ましい理由として、
第一に,通貨膨張によるインフレ誘導は,企業がカネを借りない限り無効です。・・・
第二に,通貨膨張によるインフレは,「みんな,手持ち現金が目減りするくらいならいますぐに支出しようと思うだろうなあ」という想定に依存しています。しかし,経済理論的に必ずそうなるという根拠などありません。・・・
と説明されます。
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説得力は政府の賃上げ論に比して断然説得力がありますね。最賃引き上げが一部の労働者で終わることなく、全体に効用が行き渡り消費刺激は確実になります。ただし、これってヒットラーがアウトバーン建設等々でおこなった敗戦国独の直接所得保障にもにて国民からは歓迎されるでしょうが、これを契機に廃業する企業も増えることでしょう。なにせ中小企業の廃業は今や後継者不足とするより継がせたくない親心こそにあるとされているようでどうなんでしょう。富山さんは「清算主義」の立場ですから我が意を得たりでしょうが、もうひとつ最賃は生活保護等の福祉政策にも考慮しないといけないんじゃないかなあと思います。この補足率こそ最大のネックとなりませんかね?まともに申請を受け付けたらとても市民感情も財政上もとても保たない我が国の冷たい事実がありますから。
投稿: kohchan | 2015年10月29日 (木) 12時17分