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« 妊娠を理由とする解雇の公表 | トップページ | 熊谷謙一『アジアの労使関係と労働法』 »

2015年9月 7日 (月)

既にコメントしてます

出番です、と言われたようですが、

https://mobile.twitter.com/tarogeorge/status/639888497076236288?p=p

濱口桂一郎先生、出番です。 / “fnn-news.com: 日本航空客室乗務員「...”・・・

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00301907.html

日本航空の客室乗務員の女性が、妊娠を理由に地上勤務への異動を希望したのに、休職を命じられたのは、マタニティーハラスメント、いわゆる「マタハラ」だとして、会社を訴えた裁判が開かれ、会社側は争う姿勢を示した。

いや、既に提訴の段階で本ブログでコメントしてます。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-2dfa.html(これはマタハラか?)

このときには、むしろ、「妊娠を理由とした差別」になるかどうかについて疑問を呈するコメントになっています。

・・・しかしよく考えると、これって「妊娠を理由とした差別」なんだろうかという疑問も湧いてきます。

ここで差別されたという人の比較対象は、等しく妊娠した客室乗務員であって地上勤務が認められた人ということになります。つまり、妊婦同士の間の差別であって、それを妊娠を理由とした差別と言えるのか、という問題がまずあります。

この産前地上勤務制度というのが全くなくて、客席乗務員は妊娠したら飛行機に乗れないんだからみんな休職よ、という制度であったとしたらどうでしょう。

妊娠した人と妊娠していない人を異なる扱いをしているのですから広い意味での差別にはなりますが、それは母性保護のための社内規制であって、否定されるべき差別になるかどうかは検討しなければなりません。

現行法令上、妊婦に飛行機への搭乗を禁止する規定は明示的には存在しませんが(もっとも、女性労働基準規則第2条の危険有害業務の一つとして、第14号「高さが五メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務」というのがあります。たしかに飛行機は5メートル以上高いところを飛ぶし、墜落すると危害が及びますね。)、労働者保護について最低基準を上回る社内規制をすることは一般的には悪いこととは考えられていないでしょう。ただそれが一定の人(ここでは妊婦)の就業可能性を狭めてしまうこととの関係をどう考えるかですね。

おそらくそこのところを考慮して、地上勤務制度というのが設けられていたのでしょうが、それが(原告の観点からは)会社の恣意によって認められなかった、ケシカランではないか、ということになるのでしょう。

とはいえ、最初に述べたように、それはあくまでも、地上勤務を認められた妊娠客室乗務員との比較において、地上勤務を認められなかった妊娠客室乗務員が差別された、ということなわけで、これを妊娠を理由とする差別とするのは、理屈の山をいくつも超える必要がありそうです。

 

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コメント

つまり適当な場(ジョブ)をこの女性に用意してあげる余裕が会社にはないので社による彼女の休職扱いもやむなし、ということですか。
日本ではまず無理だけど欧米圏だとその場合クビが可能で、この航空会社の場合はクビが日本ではできないので休職にした、と。
こんな理解でいいでしょうか。

一つ目の理屈の山は、わりに簡単に越えられそうだと思います。

日航の場合、妊娠すると乗務ができない内規があるので、妊娠すると、退職を希望しない場合には、①休職するか②地上勤務かの何れかの選択肢しかないわけですね。
で、少ないけれども、一応は妊娠した乗務員向けに地上勤務の椅子が少しだけある。そして、会社はこれは特別な措置だと言っているわけです。妊娠した地上勤務希望者の一部が特別扱いとして地上勤務が与えられるが、狭き門であるということです。

そうすると、乗務員は通常の場合では、妊娠していなければ、地上勤務を希望する必要がなく、これに漏れて休職扱いにもなる可能性がないわけですから、そういう集合的要素として妊娠が理由の不利益扱いにはなると思います。

要する、妊娠したら、それまでの業務は禁止、代替えの業務が少なく、空きがなければ休職させて休業手当なしです。
妊娠を理由とした不利益扱いでよいと思います。但し、会社側に酌量すべき特別な事情が法的に認められるかどうかだと思います。

あと、下記、ご参考になるかどうか分かりませんが・・・
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/004/006/shiryo/05020301/002.pdf

それから、私も下記に・・・
http://blog.goo.ne.jp/gooendou_1958/e/164b0095b55614ffec7ca787ee0c2e0a

あと、もう一つ、労基法65条3項の射程に入っていると思います。
同条に、「使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。」 とあるので、此の事案の場合だと、「地上勤務」が,この「他の軽易な業務を請求した場合」だと考えられるので、事業者は、無給の休職扱いではなく、使用者の義務として、その他の軽易な作業を与えたうえ、引き続き所定の賃金を支払わなければならない、と、条理的には解されるのではないでしょうか。飛行機の乗務の中で「妊娠中の女性が行い得る他の軽易な業務」があれば格別ですが。違うでしょうか・・・。

労働基準法65条3項の軽易な業務への転換義務については、昭和61年3月20日基発第151号・婦発第69号において、

第65条第3項は原則として女子が請求した業務に転換させる趣旨であるが、新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課したものではないこと。

と解釈されています。

地上勤務の人員をわざと増やして妊娠中の客室乗務員を受け入れる水増し雇用の義務はないということでしょう。

なるほど、ご説明ありがとうございます。

そうすると政府解釈だと、転換できる作業がある場合のみ、希望して転換できる。無ければ(あっても既に人員が足りていれば)休職させることはできる。
これだと、牛久市の医師が行った看護師解雇についても、解雇は極端にせよ、意志が言ったとされる「うちには妊婦ができる仕事はない」・・トの言説もありだということになるでしょうか。

国は早速にも『妊婦等休職手当』とかを創設すべきだと思います。

いやいや、解雇と休職は全然違います。

すみません「意志」→「医師」(変換ミス)です。

しかし、条文には「軽易な作業がなければ休職させることができる」とは書いていませんから、既に存在する地上勤務に空きがないとの理屈はやはり如何なものかと思います。
hamachan先生仰せの、「妊婦同士の差別的取り扱い」なのか、「先取特権」が成り立つのか?でしょうか。

私見では、なんとなくですが、どこの事業場でも軽易な作業が全くないことはたぶんないでしょうから、会社・使用者が、これを作業区分するなり組み合わせるなりして、当該労働者に対し創設可能だとは思います。法の趣旨は、当にこの点にあるのではないかと。

いやいや、だって既に地上勤務をしている人が地上にはちゃんといるんですよ。その人を追い出して客室乗務員の仕事を作れとは言えないでしょう。

というか、実はここには、日本的な労働観、すなわちジョブがあってそれに人を当てはめるんじゃなく、人を適当にどこかに突っ込んどくという発想がにじんでいるんですね。

な~るほど、>実はここには、日本的な労働観、すなわちジョブがあってそれに人を当てはめるんじゃなく、人を適当にどこかに突っ込んどくという発想がにじんでいる<・・・わけですか。

だったら、そういう発想(労使慣行)の会社は、人をどこかに突っ込んでもらいたいものです(妊婦も含めて)。そうでなければ致し方ないかもしれませんけど。
しかし、その双方をおいしいとこどりするのは、いけませんよね。

あと一つ、人間、いつ病気や事故に会うかわからないわけで、万が一、その人のジョブに少しばかり変更があっても、これを単に「ジョブがなくなったからその間は完全に回復するまでは休職だ」とするのは、少し冷たいと思います。
あと「妊娠・出産・子育て」というのは、蓋然性として誰にも訪れる人生イベント(少なくとも制度的にはそういう前提)ですから、その時期の労働者に冷たいというのは、インセンティブとしてどうなんでしょうか。
つまり、妊婦に仕事を与える会社がある一方、解雇こそしないが妊娠しただけで仕事(と給料)を干す会社があるわけですね。そして本件の場合、先にご紹介したように、妊娠すると搭乗勤務しない、という慣行もあるわけです。

要するに『妊娠すると仕事を干されることをどう見るか?』ですよ、これは。労働者の選択肢としても、図らずも離職の切っ掛けになるわけですから。
尤も、そういう日航は、オーディエンスにかけられることにもなるわけで・・・「あの会社は妊娠すると干されるんだ!」・・・。

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