フォト
2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
無料ブログはココログ

« ビルドゥングス・ロマンとしての大西連『すぐそばにある「貧困」』 | トップページ | 学部と職業 »

2015年9月 9日 (水)

派遣法・同一労働同一賃金法附帯決議

昨日参議院厚生労働委員会で修正可決された標記法案には附帯決議が付けられました。前者はA4版20枚に及ぶ長大なものですが、そのうち今後の法改正につながりうる事項をピックアップしておきます。

まず改正派遣法附帯決議では、「五・派遣労働者の待遇について」の2に、

・・・均等・均衡待遇の在り方について検討するための調査研究その他の措置の結果を踏まえ、速やかに労働政策審議会において、派遣労働者と派遣先に雇用される労働者との均等・均衡待遇の実現のため、法改正を含めた必要な措置の在り方について議論を開始すること。・・・

とあるのは、既に既定路線ですが、後述の同一労働同一賃金法とも合わせ、今後の一つの焦点になっていくでしょう。とりあえず現時点での参考資料として、「雇用形態による均等処遇についての研究会報告書」を挙げておきます。

http://www.jil.go.jp/press/documents/20110714_02.pdf

やや意外だったのは、「七・派遣先の責任について」の1に、

・・・さらに、派遣先の団体交渉応諾義務の在り方について、法制化も含めた検討を行うこととし、その際、労働時間管理、安全衛生、福利厚生、職場におけるハラスメント、労働契約申込みみなし制度の適用等に関する事項に係る団体交渉における派遣先の応諾義務についても検討すること。

と、集団的労使関係マターが入ってきたことです。もっとも、昔の野党時代の民主党等の法案(2009年)には入っていました。これは派遣法担当だけでなく、労使関係担当がまともに関わることになりますね。同じ「七」の3には、

派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為は、労働者派遣法の趣旨に照らし不適当な行為であることに鑑み、その禁止の義務化について検討すること。

とあります。現行26条7項の努力義務を義務化するという話なのでこれも法改正事項です。

この事前面接禁止やグループ内派遣8割規制等の違反に対してみなし制度を拡大することも検討が求められています(七の4)。

もう一つのいわゆる同一労働同一賃金法(正式には「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律」)の附帯決議では、挙証責任の転換の検討が求められています。

二、雇用形態の相違による待遇格差に関する訴訟においては、格差が不合理なものであること等の立証について、労働者側にとって過度な負担とならないことが望まれるため、立証責任の在り方について調査研究を行うとともに、裁判例の動向等を踏まえ、必要があると認められる時は、法律上の規定について検討を行うこと。

うわぁぁ、これは、法律関係者でない人にとってはあんまりよくわからないかも知れないけれども、民事訴訟の基本原則をある部分だけひっくり返そうというかなり凄い話です。実は、EUでは、男女平等についてはまさにそうなっている、つまり挙証責任が会社側に転換されているんですが、非正規労働関係の均等待遇ではそうなっていません。このあたり、労働法界隈で騒がしくなりそうです。

あと、法改正事項それ自体ではないのですが、次の「三」も、リパーカッションという意味ではなかなか注目に値します。

三、欧州において普及している協約賃金が雇用形態間で基本給格差を生じにくくさせている機能を果たしていることに鑑み、我が国においても特定最低賃金の活用について検討を行うこと。

特定最賃というのは産業別・職業別最賃のことで、企業別組合が企業別に交渉して企業別に賃金を決める日本で、産別協約の役割を果たさせる、という話もその昔ありました。

上記の外にも、法規定自体の見直しではない検討事項が山のように積まれています。全部読み上げるのに20分以上かかったというのもむべなるかなです。

« ビルドゥングス・ロマンとしての大西連『すぐそばにある「貧困」』 | トップページ | 学部と職業 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 派遣法・同一労働同一賃金法附帯決議:

» 派遣労働者の涙さえ認めない安倍政権の傲慢 [シジフォス]
今日も派遣法改悪について。報道や他のブログ等では記述が少ない。SNS等では多いのかもしれないが、怒りが噴出しない。その中でも、連日、強く怒りをぶつけているエボユニの見留さんのツイッターで、一昨日の厚労委採決に涙した傍聴席の派遣労働者に対して、自民党議員が「早く追い出せ!」「騒ぐな!」 と怒鳴った旨が綴られていた。野次等ならともかく、泣く姿も許さない政権の非道ぶりを示すエピソードだが、これももっと大きく問題視すべきだ。詳細は「宮崎信行の国会傍聴記」に写真も含めて書かれているので、参照されたい...... [続きを読む]

» 派遣法施行で労組関係者の責務はさらに大きい [シジフォス]
昨日最も面白かったのは、テレ朝・羽鳥モーニングショーで「あなたはマイナンバーカードをつくりますか」と100人に聞いたら、一人もいなかったことだが、これはスルー。夜は、連合会館で行われた日本労働弁護団主催の「<改正>派遣法 丸わかり連続学習会」に参加。第1回として「労働契約申込みなし制度」「期間制限の見直し」「派遣元、派遣先の講ずべき措置」について、たっぷり3時間、学習した。周知期間が少なかったが、弁護団に加え、派遣労働者、メディア関係者が参加。みんなで頭を寄せ合い、今後の「対応」を検討した...... [続きを読む]

« ビルドゥングス・ロマンとしての大西連『すぐそばにある「貧困」』 | トップページ | 学部と職業 »