朝日の社説 on 派遣法
本日の朝日新聞の社説が昨日成立した改正派遣法を取り上げていますが、この間の記事のトーンとはかなり変わって、冷静かつ長期的視点からの議論を展開しています。
http://www.asahi.com/paper/editorial2.html
まず今回の改正内容に対してそれなりの評価を下しつつ、
改正労働者派遣法が成立した。悪質な派遣会社を排除するため、全て許可制にするなど、派遣会社への規制を強化したことが特徴で、派遣社員として働く人たちにとって、有益な点も含まれている。・・・
これまでの規制のもとでは、26業務であるかのように装ってそれ以外の仕事に就かせて期間の規制をすり抜ける不正も起きてきた。その余地がなくなる点も、評価できる点ではある。・・・
将来に向けた課題をきちんと示しています。
しかし、派遣社員の権利をどう守り、強化するか、という視点からの改正ではなかったために、積み残された課題が多い。さらなる法改正が必要だ。
その内容も、附帯決議に書かれた均等待遇の問題に加え、
しかし、派遣社員の処遇を改善するには、「均等待遇原則」を明示して、法律で裏打ちする必要がある。
集団的労使関係の問題にも触れています。
派遣社員が派遣先と団体交渉をする権利を法制化することも検討するべきだ。
最後の言葉はこれで、ある意味で一番労働法的にまともな議論に戻ってきています。
派遣労働者の権利を拡大することで、派遣労働の乱用を防ぐ。そうした視点で、早急に次の法改正を目指すべきだ。
そう、労働法とはいかなる働き方であれ、その労働者の権利を拡大する方向を目指すべきものなのです。
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勝敗という考え方を取るならば、自分の生涯では圧倒的に負け続け、労働運動はガタガタになっている。諸争議等など個別的勝利はあっても、「点」や「線」であって、「面」を描き、さらには立体化するには至らない。しかし、今回の派遣法改悪との闘いは終わったわけではなく、この波を新たなうねりとして模索していかなければならない。これから起きる事態を食い止めるために…。昨日も紹介したと思う東京新聞の記事が、東京新聞HPのアクセストップだったことにも期待をもつ。労働者をはじめほとんどの国民を愚弄し、暴走する安倍政...... [続きを読む]
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