富士通総研早川英男氏の「今こそ「日本的雇用」を変えよう」
富士通総研のサイトに、同総研の早川英男氏(元日銀理事)による「今こそ「日本的雇用」を変えよう」という2回にわたるコラムが載っています。
http://www.fujitsu.com/jp/group/fri/column/opinion/201508/2015-8-3.html
http://www.fujitsu.com/jp/group/fri/column/opinion/201508/2015-8-4.html
読んでいくと、どこかで見たような記述がいっぱい出てきます。
というか、こういうのを見ると金子良事さんあたりはまた「hamachanの影響力おそるべし」とか云ってからかうんでしょうけど。
・・・長い間、日本的雇用とはJ. アベグレン(『日本の経営』、1958年)の言う終身雇用、年功序列、企業別組合の「3種の神器」に他ならないと考えられてきた。しかし、近年は濱口桂一郎労働政策研究・研修機構主席統括研究員が提起した「メンバーシップ型」雇用という概念が多くの識者の注目を集めている。ここで「メンバーシップ型」雇用とは、「『女房子供を扶養する男性正社員』を前提に仕事の中身も、働く時間も、働く場所すらも無限定に会社の指示のままにモーレツ社員として働く代わりに、新卒一括採用から定年退職までの終身雇用と、毎年定期昇給で上がって行く年功賃金制を保証された働き方」のことである(注3)。この概念の中核は、職務(ジョブ)内容が無限定だという点にある。日本で「あなたの職業は何ですか?」と問われると、大抵は会社員、サラリーマンなどと答えるが、これはまさに職務が限定されていないためである(大企業であれば、むしろ「○○社に勤めている」と答えた方が分かりやすい)。一方、欧米などでは、どの会社で働くにしても職務内容が明示された仕事に就くのが普通であり、上記の質問にも設計技師、経理、窓口業務(テラー)、秘書などと答えるだろう。これが「ジョブ型」雇用と呼ばれるものである(ちなみに、日本でもパートやアルバイトなどの非正規雇用は、普通ジョブ型である)。
ここで、「メンバーシップ型」雇用について、いくつかの重要なポイントを指摘しておこう。まず第1に、終身雇用や年功序列賃金は定義の中に含まれているし、こうした無限定な働き方の労働者を組織するには企業別組合以外あり得ない。したがって、従来の「3種の神器」という捉え方と矛盾するものではない。しかし第2に、終身雇用や年功序列に着目すると、労働者にとってのメリットが強調されがちであり、経済学的にも合理性が説明しやすい(注4)。これに対し、「メンバーシップ型」雇用の概念では「残業、転勤、何でもあり」というデメリットも明示されているという違いがある。実際、先の濱口氏の定義を一読すれば、私たち日本人は手に取るように分かるが、多くの欧米人にとっては「残業、転勤、何でもあり」などといった働き方自体がほとんど理解不能だろう。第3は、こんな無限定な働き方は、賄い付きの独身寮に囲い込まれた若者を別にすれば、専業主婦である配偶者(または自宅通勤の場合、専業主婦の母親)に支えられない限り容易ではないということである。・・・
・・・このように、「日本的雇用」が成功を収めると、他の制度もそれを前提とする形となって行った。故青木昌彦教授の比較制度分析の言葉を使えば、制度的補完性の形成である(注5)。その1つが、税・社会保障制度である。日本では、無限定正社員である夫と専業主婦である妻+子どもからなる世帯を「標準世帯」と呼び、これを前提に制度が組み立てられた。その特徴は、社宅や住宅ローン、レジャー・スポーツまでを含む福利厚生を企業に押し付け、高齢者の介護を専業主婦のいる家庭に押し付けることで、社会保障負担を軽減し、「小さな政府」を実現するというものだった。言わばその「見返り」として設けられたのが、税制面での配偶者控除であり、厚生年金の3号年金(専業主婦は保険料を払わなくても、夫の保険料のみで年金受給権が与えられる)という専業主婦を優遇する制度だ。(4)で述べるように、後にこれらは女性の労働参加を抑制する制度として問題となってくる。
もう1つは教育である。前述のように、日本企業は学校での職業教育に期待せず、自らOJTで職員の教育を行う方針を採ったが、これは職業教育の価値を評価しない教育関係者からも歓迎された。その結果、学校は職業教育を事実上放棄して一般教養を重視することとなり、大学進学を目指さない生徒まで普通高校に通うことになった(工業高校、商業高校の多くは普通科に転換した)。中卒が普通だった時代と違い、大学進学者が増えた時代においても、本当に企業内のOJTの方が学校教育より優れていたのかは疑わしい。しかし、「自社流のやり方」に自信を深めていた多くの大企業が新卒採用時に「地頭は良いが、色に染まっていない」学生を求めたため、大学でも一部の理工系を除いて職業教育が行われることはなかった。ここで注目すべきは、企業がOJTの吸収力を保証する地頭の指標として大学の序列(後には偏差値)を使った結果、厳しい受験競争が繰り広げられた一方、大学で学んだ学問内容を重視することはなかったため、大学がレジャーランドと化したことである(注6)。・・・
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「日本的雇用を変えよう」
富士通総研の早川英男氏の「日本的雇用を変えよう」について、多くの点で賛成するものの、ここは違うのではないかという点についてコメントします。
早川氏の以下のご意見に賛同します。
>問題の所在が正社員の無限定な働き方の方にあるとすれば、それをデフォルトとしたまま、別途「限定」正社員の仕組みを加えることで良いのか疑問が残る。
>「ジョブ型」雇用をデフォルトに
>給与水準は、今や夫婦共働きがデフォルトの働き方だという前提
>労働者はメンバーシップ型よりも職を失う確率の高いジョブ型の働き方を敬遠するようになるだろう
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問題は「ジョブ型」雇用をデフォルトにどのように移行するかという議論です。早川氏は次のように提言しています。
>問題は、「皆がメンバーシップ型」から「皆がジョブ型」へなかなかジャンプできないという点にあるが、経済理論が示唆するのは、そういう場合に、政府のような大きなプレーヤーが掛け声をかけて皆で一斉にジャンプする方法である。・・・政府のような大きなプレーヤーが掛け声をかけて皆で一斉にジャンプする方法である。これは、しばしばビッグ・プッシュ(big push)などと呼ばれる。
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筆者はビッグ・プッシュで日本的雇用を変えることはできないと考えます。
「メンバーシップ型」の恩恵を享受してきた人達の利益をどこまで、どのように補填するかを議論しないでビッグ・プッシュはないでしょう。
「メンバーシップ型」にあるからこそ享受してきた利益すなわち、・・・年功による出世、賃金上昇、年金、退職金、安定雇用・・・これらを失う可能性があります。これらを社会保障で補填する必要があるのか、必要だとするならどこまで補填するべきか?
また、「ジョブ型」の非正規雇用の労働者に、企業がこれらの恩典を与えるのか?という議論を煮詰める必要もあります。コストのかかる話です。
政府はこれらの課題に対して、環境整備をする必要があります。具体的には、賃金の低下を社会保障の充実で補う必要があります。子供の教育、住居、年金・・・等、一定の生活水準を保障する必要があります。
雇用の流動化にともなって、年金や退職金をポータブルにする必要もあるでしょう。転職したからといって、年金や退職金の受給において不利になってはいけません。また、失業期間中の雇用保険や職業訓練の充実も必要でしょう。
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早川氏はデフレ脱却の方策として、政労使会議による賃上げ要求、女性の登用推進、コーポレート・ガバナンスの強化を上げています。
>海外の投資家が最も評価している成長戦略は、賃上げとコーポレート・ガバナンス強化だとも言われる
>こうした消極姿勢に対し、スチュワードシップ・コード導入は、政府が大株主としての責任を求めたもので、現に最近では機関投資家の企業経営への発言(voice)は活発化しつつある。
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筆者は、早川氏の提案に概ね賛同しますが、ステークホルダーとして機関投資家だけを対象とするスチュワードシップ・コードでは、賃上げを実現するためのコーポレート・ガバナンスにならないと考えます。
企業は利益の一部をステークホルダーに分配する必要があります。アベノミクスの金融緩和で円安になり、企業は利益を得ましたが手元資金を増やすために内部留保として蓄えられました。
金融緩和でいくらお金を供給しても、国内投資にあるいは賃上げに使われなければ、お金は滞留し、デフレからの脱却は望めません。「安部首相が企業に賃上げをお願いしにいく」・・おかしな話です。コーポレート・ガバナンスを強化して、企業責任を果たしてもらう必要があります。
早川氏は、コーポレート・ガバナンスの必要性を説きつつも、スチュワードシップ・コードの導入による機関投資家に対する責任に言及しています。
しかし、企業のステークホルダーは経営者や投資家に限るものではありません。企業のステークホルダーは従業員、市民社会、取引先、下請け、顧客を含むものです。企業は利益をこれらのマルチ・ステークホルダーに還元したのかどうかが問われます。
株主への還元、CEOの報酬、従業員の報酬、非正規雇用の報酬、社会保障費用の負担、下請け代金、設備投資、内部留保、・・・等々の情報を開示してマルチ・ステークホルダーに対する責任を果たしているのかを問い、コーポレート・ガバナンスを強化する必要があります。
GRIサステイナビリティ・レポーティング・ガイドライン(GRIガイドライン)はマルチ・ステークホルダーに対する企業責任を問う情報の開示を要求しています。
投稿: hiro | 2016年7月28日 (木) 22時29分
待っていた巨視的視点からのhiroさんのコメントでした。
早川さんは日本経済の問題点は生産セクターにありとのお立場のようです。その点は私もagreeです。そしてその先行きはこもままではとても暗いものとの思われておられるようで、ビッグ・プッシュでもいいから漸進的政策より激変的なイノベーション発火への行程をご提案されているようにお見受けいたします。卒後今に至る雇用で家計負債を抱えた人々を雇用変化とどうシンクロさせていくのか等々私も常々コメントさせていただいておりますよう大変複雑で「これでいける!」などないことは分かり切っており、しかしこのままでは沈没する危険性の逓増度合いを鑑みますと、元日銀幹部として今日のセントラルバンクが余りにも政権迎合によって金融政策が歪められてきた危機感が感じられます。
もし違和感を感じるとすれば、早川さんの中にある正しい”日銀”へのシンパシーが諸文献で感じられるのは私だけでしょうか?こうしたものの見方の違いも「受動意識仮説」により起こり得るものと俯瞰できればとても有効であると考えます。
早川さんもちょろまかしのレベルではないことは確かですので、また、hiroさんのコメントもすばらしいです。
投稿: kohchan | 2016年7月29日 (金) 11時10分
舌っ足らず(移動時間ですので)がありましたので簡単に。
早川さんの生産セクターへのアプローチ法は、政府の”指導”で全体が浮上する保護主義的な方法論は最早無理で内的にはがんばってきたがもグローバル化に対応できない事実から結局は企業・個人のミクロ単位がイノベーティブに引っ張っていくことを奨励できる方法論を選択されているように思われます。
その礎としての「雇用」に言及されているのではないでしょうか。
日銀OBの著書に接すると善し悪しは別に「受動意識仮説」を感じます。ただし否定ではありません。議論はその意識がどこにあるのかを考慮しないと互いに保護=ヘイトと両極化する愚かなトートロジーしか産みませんから。
まさに生産性を無視しているでしょ?と思います。
はまちゃんブログに寄生して数多の勝手なコメントをお詫びいたします。
投稿: kohchan | 2016年7月29日 (金) 19時24分
細かい箇所で恐縮ですが、(グローバル外資系企業人事の立場から)少々気になりましたので1点だけコメントします。Hamachan引用の早川氏の文章「一方、欧米などではどの会社で働くにしても職務内容が明示された…」および「多くの欧米人にとっては「残業、転勤、何でもあり」などといった働き方自体がほとんど理解不能だろう…」の記述は、誤りではありませんが、より正確に表現すればこうなります。→「アジア諸国を含む日本以外のほぼ全ての国の企業では…」「日系企業以外で働く世界中のあらゆる労働者にとっては…」、と。小職の理解では、メンバーシップ型雇用を採用している会社は、アジア諸国を見回しても、世界広しといえども現行の日本企業以外にあり(え)ません。もちろん、それがある時代背景と人口動態の下、わが国の社会経済的ニーズに完璧にマッチした制度だったことは否めません。
投稿: 海上周也 | 2016年7月29日 (金) 22時00分
「資本主義改革英首相の覚悟」
「日本的雇用を変えよう」という本スレッドとは若干反れるかもしれないが、本日の日経新聞で「資本主義改革英首相の覚悟」という記事は、日本を含む世界の資本主義の在り方を考える上で、一つの興味深い考え方だと思う。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO05475830Q6A730C1TZN000/
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物価上昇率が低ければ、(金融緩和で)金利を安くしてお金を借りやすくすることで、景気を刺激し、物価上昇率を高めに誘導し金利も上昇する。
物価上昇率が高ければ、(金融吹き締めで、日銀が国債の購入を減らす)金利を高くして、景気を抑制し、物価上昇率を低めに誘導し金利を抑制する。
ノーマルな状態では、上記メカニズムが働いて、金融政策で物価上昇率を安定的に制御できるはずである。しかし、金融緩和をしても金利はマイナスになるまで下落しても、金融緩和で供給したお金は企業の内部留保に吸い込まれ、市中に循環しない。
企業は2014年度の全産業ベースの内部留保(資本剰余金、利益剰余金、引当金)543兆円まで増やしているという(全労連・労働総研の「2016年国民春闘白書」)。トヨタの内部留保は17兆円を超えるという。政府の財政赤字で国債を発行し、日銀が金融緩和でマネーを供給しても、企業の内部留保を増やすだけで、お金は内部留保に滞留するため、デフレから脱出を果たせないでいる。このような状態が1990年代後半から続いている。
日銀が金融緩和でお金を供給しても、企業は内部留保を保有しているため、お金を借りるという需要に結びつかない。物価上昇率は低迷し、金利が低下するという状態が世界中で起きている。金融政策が機能しないという状態にある。日本を含む世界の資本主義の在り方を再考しなければならない。
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「日本的雇用を変えよう」という本スレッドとの関連でいうと、企業の収益が賃金にあるいは社会に還元されなければならない。
「ジョブ型」雇用をデフォルトにしていこうとする場合、これまで「メンバーシップ型」にあるから恩恵に預かってきた人達は、その利益を失う可能性がある。彼らの享受してきた利益を引橋し「ジョブ型」雇用の世界に放り出すわけにはいかない。社会保障の充実で、彼らの生活水準を補う必要がある。コストのかかる話である。
企業の内部留保を財源としながら、社会保障で下支えをし、「日本的雇用を変えよう」に結びつけてゆけるのではないかと考える。社会保障の充実を消費税の増税を財源で行おうという考え方は違っている。ISバランスの式(注)より、「消費税の増税は、財政赤字を減らし政府から企業へのお金の移転を減らすが、家計から企業へのお金の移転を増やす」ということである。消費税の増税によって、消費支出を大幅に減らし、結果としてデフレからの脱出に水をかけてしまったのである。
(注)ISバランスの式:家計の黒字+企業の黒字=政府の赤字+経常収支の黒字
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企業のデフレマインドは「いつどんな不況に見舞われるのか分からないのだから、手元流動資金を少しでも増やしておこう」という考えからくるのだろう。しかし、全ての企業が同じ行動をとるとしたら、デフレからの出口はなかなか見えてこないだろう。合成の誤謬である。個々の企業は最善の経営をしたとしても、国全体でみると資金の効率的な配分が適わず経済成長ができないということになる。
インフレが進み始めて、現金を持っているとお金の価値が下がるということになり、企業が一斉に投資や投機に走るとしたら、今度はバブルとその後のバブルの崩壊だろう。
経済の持続的な安定を維持するためには、合成の誤謬による市場経済の失敗を修正する必要がある。筆者は、持続可能な市場経済を維持するという観点からコーポレート・ガバナンスが必要になると考える。
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元日銀理事の早川英男氏は「日本的雇用を変えよう」という提案の中で、コーポレート・ガバナンスの強化を提言している。
筆者も、日本企業の在り方を変えて行くためには、コーポレート・ガバナンスを強化すべきであると思う。しかし、早川氏の提案はスチュワードシップ・コードの適用によるものであり、機関投資家を保護するために個々の企業活動を監視するためのものである。
スチュワードシップ・コードの適用だけでは、市場経済の失敗を防ぐことはできない。市場経済を監視して持続的な経済発展を維持するために、企業活動を監視するコーポレート・ガバナンスが必要である。
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冒頭紹介した「資本主義改革英首相の覚悟」は、行き過ぎた資本主義を見直すと同時に格差を解消し、既得権益と戦おうとするメイ首相の決意に触れている。企業の社会的な責任を問うて行くというステークホルダー重視と同じ文脈上にある。
労働党を差し置いて、保守党の党首が「行き過ぎた資本主義を見直す」と発言をしているのも興味深い。
以下、詳細は省くが、ステークホルダーを重視するコーポレート・ガバナンスに関連する記事を何点か紹介する。
(1)7月31日の日経新聞、「市場重視、軌道修正か 揺れる世界(4)メイ政権、企業規制強化の色彩
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO05399640Z20C16A7FF2000/
この中で、企業統治に触れ、消費者や従業員の代表が取締役会に参加、株主総会での経営者報酬議案に強制力、租税回避の取締まり強化・・・に触れている
(2)OECD、コーポレートガバナンス、より高い成長に向けたコーポレート・ガバナンスの強化https://www.oecd.org/policy-briefs/japan--better-corporate-practices-for-higher-growth_JP.pdf
この中で企業の自己資本利益率の低さ、投資や現金保有といった企業資源の活用の改善を求めている。自己資本の大きさに対する利益率の低さを問題にしている。
(3)大和総研、「英国新首相が企業ガバナンスに寄せる関心_英国企業の活力を増すためのコーポレート・ガバナンス強化策」
http://www.dir.co.jp/research/report/capital-mkt/20160713_011070.pdf
(4)大和総研、「会社は誰のものか?新たなコーポレート・ガバナンスモデルの模索」
http://www.dir.co.jp/research/report/capital-mkt/20150825_010064.pdf
株主を企業の中心に置くガバナンスモデルから、従業員や顧客、取引先といったより広範な利害関係者に目を向け、企業利益をより平等に分配するように会社法の改正・・・
ガバナンス体制を整える前に、企業の目的や構造を改めて問い直すことも必要なのかもしれない。「会社は誰のものか?」と・・・
(5)経済産業省、「持続的な企業価値創造にかかわる国内外の動向」
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/jizokuteki_kachi/pdf/001_10_00.pdf
(6)Sustainable Japan、「GPIF、国連責任投資原則(PRI)に署名」
http://sustainablejapan.jp/quickesg/2015/09/28/gpif-pri/18941
(7)JIL、鈴木宏昌、「フランスに学ぶ─非典型雇用と企業委員会をめぐる動き」
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2016/02-03/tenbou.html
・・・EUが企業情報の開示・協議に関する指令を採択したのも、従業員がステークホルダーであることを明確にし、雇用を最大限守ることが企業の社会的責任であるというコンセンサスがあることからくる・・・
投稿: hiro | 2016年8月 1日 (月) 00時01分
企業の内部留保を財源としながら社会保障を支え・・・だと文章からは国営企業のようなイメージ、あるいはいよいよ最大の暴力装置である政府の徴税権乱用容認と受け取られかねないので、真意はそうした残余資金(ブタ積みのようになっている)を三面等価原則の健全化により循環させようと言う意味かと理解します。
消費税への憎しみも池田時代へのノスタルジーともいえる皮肉な帰結と位置づけるとその罪は重いのかと思われます。今や税主体がその成長期の法人・個人所得=バータ減税から消費へ、そして税累進性の逓減により国民は気づかぬうちにスルッと移し替えられてきたことによるものでしょうが、歴史を観れば池田内閣時代からのポリュリズム税制に起因しているように思われます。いずれにせよ安心社会を得るには時代の移り変わりに会わせた税体系変更をしっかり説明してこなかった徴税主体の落ち度ではないか(乗っかった国民は同罪ですが)と思います。生産・分配・支出の健全スペクトラムこそ重要なのでしょうね。その齟齬現象が企業が内部留保すると等しく、個人も将来不安と買うべき消費財が逓減する成熟(けして満足な社会と同義語ではありません)期に入っている、フロスト的な言い回しですが、文化的成熟期に日本は到達してしまった帰結がいまなのかもしれませんが、おっしゃるように税や労働、社会保障等縷々の制度各面を包括する方法論としては、早川氏の場合分配面より生産面の特に企業や人の世界スピードに乗り遅れた面に突破口に分配面の上昇をとお考えのようです。実物経済の弱体化こそ問題で、それを金融政策で補おうにも無理だと。そしてそれは国家財政の破滅への道だということなのでしょう。しかしその選択権は民主国家である限り我々一人ひとりの文化力に帰着するわけで、オルテガの言葉を借りると各専門家(自認・他認含め)の提言も「科学主義の野蛮性」の域をまったくもってブレークスルーできていないことに気づかされますし、情報社会となってよりセンチメント力が強化されている一人ひとりにどのように期待できるのかさっぱり解りかねます。都知事選の結果を知った直後であるだけにゾッとします。
投稿: kohchan | 2016年8月 1日 (月) 12時18分