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『Social Agenda』41号は職業訓練特集

Blobservlet欧州委員会雇用社会総局発行の『Social Agenda』41号は「The skills imperative」が特集です。

http://ec.europa.eu/social/BlobServlet?docId=14277&langId=en

その終わり近くに、CEDEFOP(欧州職業訓練機構)のカレハ氏の寄稿が載っていて、ある種の日本人にも読ませる値打ちのある文章なので、一部引用しておきます。

Learning by doing is older than learning by reading and writing. But, at some point during its development, humankind attributed learning by reading and writing a higher esteem than learning by doing. Over time, working conditions, social status and quality of life became determined by the type of learning one followed.
The students’ revolution in Europe in the late 1960s and the early 1970s brought a new dimension to vocational education and training (VET). In several European states, VET gained better visibility, relevancy and flexibility. Employers view VET as a fast track to employability, production and capital, but the potential it provides is overlooked as academic university education remains a target for many European families, even though it may not lead to jobs.

実地で学ぶことは読み書きで学ぶことより古い。しかし人類は読み書きで学ぶことの方を高く祭り上げてきた。時を経て、労働条件、社会的地位、生活の質は人が受けた学びのタイプで決められてきた。1960年代末から70年代初めの学生革命は職業教育訓練に新たな次元をもたらした。欧州諸国の中には、職業教育訓練がより見える化し、有意味なものになり、柔軟になった国もある。使用者は職業教育訓練を雇用可能性、生産、資本へのファーストトラックと見るようになったが、アカデミックな大学教育が(それが仕事をもたらすわけではないのに)なお多くの欧州の家族にとって目標であり続ける中で、その潜在力は見過ごされている。

The 2008 economic crisis was a wake-up call, not so much for those countries who have entrenched VET in their culture and invested seriously in it, but for those who persisted with the belief that only intellectual and conceptual competences bring economic growth. Unemployment was high and remains high in the latter. Growth, in countries were vocational training is weak, is also weak. Lack of foreign investment, quality jobs and the reskilling and retraining of an ageing workforce continues to hold Europe back.

Pushing people into university education without a wider economic and social strategy is a recipe for unemployment, unrest and discontent. The ‘lost generation’ is a product of an education that is too remote from new labour market dynamics.

2008年の経済危機は、その文化に職業教育訓練を定着させてきた諸国だけでなく、知的で概念的な能力だけが経済成長をもたらすと頑固に信じ込んできた諸国にも目覚まし時計のベルとなった。後者の諸国では失業が高止まりしている。職業教育訓練が弱体な諸国では成長もまた弱体である。・・・

広範な経済社会戦略もなしに人々を大学教育に押し込むことは、失業と社会不安と不満のためのレシピである。「ロストジェネレーション」は新たな労働市場のダイナミクスからあまりにもかけ離れた教育の産物なのだ。・・・

もちろん、ジョブ型労働社会のヨーロッパであるからこそ、労働市場が求めもしないようなアカデミックな大学教育はストレートに失業の原因となるのであり、無限定のやる気だけを求める日本のメンバーシップ型労働社会では、ヨーロッパでは失業を即生み出すはずのアカデミックまがいの大学教育を受けたことが「官能」のレベルで選好されるという大きな違いがあるわけですが。

とはいえ、それを擁護するならするで、その構造自体の冷酷なメカニズムくらいは認識しておく必要があるでしょう。

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コメント

「1960年代末から70年代初めの学生革命は職業教育訓練に新たな次元をもたらした。」というのが具体的にどのような事情であったのかが気になりますね。日本でも同時期に学生反乱があったわけですが、その後「アカデミックな大学教育が(それが仕事をもたらすわけではないのに)なお多くの欧州の家族にとって目標であり続ける」ことが日本ではさらにひどくなっていったわけですが、何が日欧を分岐させる要因だったのか、探求されるべき課題でしょうね。

投稿: 通りすがり | 2015年7月21日 (火) 20時20分

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