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EU労働法からオプトアウトするキャメロン

ここ何年か、ギリシャをはじめとする南欧諸国への緊縮政策の強制でネオリベの権化のように見られているEUですが、イギリスというネオリベの本家本元からすると、EUのソーシャルな法令は不愉快なものであることに変わりはないようです。

英紙ザ・ガーディアンの本日付の記事に、イギリスのキャメロン首相が、EUとの脱退交渉で、労働時間指令や派遣労働指令のような労働社会政策からのオプトアウトを求める予定であると報じています。

http://www.theguardian.com/politics/2015/jul/11/david-cameron-employment-law-opt-out-eu-membership-renegotiation(Cameron to include employment law opt-out in EU membership negotiations)

1378 David Cameron is to make an opt-out from EU employment social protection laws such as the working time directive and the agency workers’ directive one of his goals in his negotiations with Europe, according to reports from Conservative political sources in Brussels.

ご承知の通り、かつてサッチャー、メージャー保守党政権時代、イギリスはEUの労働社会政策には入らないというオプトアウトをしていました。1997年にブレア労働党政権になって、オプトイン、つまりEUの労働社会政策に参加するようになったのですが、キャメロン首相にとっては、ドーバー海峡の向こうからの指令でルールが決められるのは不愉快なのでしょう。保守党と労働党という観点からすればわかりやすい話です。

ただ、この話は大変複雑です。そもそも、EU脱退交渉は、UK独立党が勢力を拡大したためにいやいややらざるを得ないもので、EU市場から利益を得ている経済界の支持を頼む保守党本体としては、EUから脱退なんかしたくないのが本音。

ところが、今回のオプトアウトの話は、労働側からするとEUに入っている意味が大幅になくなってしまう(EUの市場原理だけはやってくるけれども、ソーシャルな政策は入ってこなくなる)ので、労働側をEU反対派に追いやるかも知れない。そうすると、目算が狂って、EU脱退派の方が多くなってしまい、困った結果になるかも知れない。

現在EUのあちらこちらで、リベラル対ソーシャルという経済社会政策の軸と、ナショナル対スプラナショナルという民族主義の軸とが奇妙にねじれあい絡み合う事態が起こっていますが、イギリスのこの状況も興味深いものがあります。

A demand for Britain to be excluded from employment laws restoring the opt-outs negotiated by John Major and then abandoned by Tony Blair in 1997 would be a high-risk political move, since it would enhance the risk of a large no vote putting Britain’s entire relationship with the EU at risk.

Pro-Europe businesses would have to calculate whether the enhanced risk of a defeat in the referendum would be worth the prize of achieving the opt-outs.・・・

There is already an increasingly Eurosceptic mood in parts of the left due to the imposition of austerity on Greece. But the move would please Conservative Eurosceptics who have been unimpressed by the modesty of Cameron’s demands.

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