イスラムスカーフと労働法
EU司法裁判所に、フランスの破毀院(最高裁判所)から付託された事案が、いずれもイスラム女性がかぶるスカーフを巡るもので、どのような判決が出ても、労働法の枠を超えた政治的なインパクトも予想され、興味深いものです。
フランスのブニャウイ事件について、EU法レーダーというサイトが詳しく紹介しているので、それを見ると、
ミクロポール・ユニヴェールというIT企業に就職したアスマ・ブニャウイさんは、研修を終えてツールーズの顧客企業に派遣されたのですが、そこでずっとイスラムスカーフをかぶっていたため、顧客企業から「あんなの送るな」と言われ、本人に「スカーフをかぶらないでくれ」と頼んだけれども拒否されたので、解雇した、とこういう事案です。
EUは15年前に一般均等指令を制定し、人種等と並んで宗教、信条による差別も禁止されていますが、さてイスラムスカーフをかぶっているために顧客から苦情が寄せられたことを理由とする解雇はどうなのか。
ミクロポール社は彼女に対し、「いや、我が社は表現の自由と宗教的信条は完全に尊重しているんだ。ただ、会社の中であれ外であれ、お客様と接触する時にはスカーフを外して欲しい」と言っていて、客商売の立場からはよくわかるとともに、宗教的信条とはそういうものではないのだろうな、とも思われ、なかなかディープです。
« 日経がFTを買収 | トップページ | 最低賃金引き上げに意欲 »
コメント