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2015年7月11日 (土)

『POSSE』27号は「塾とブラックバイト」特集

Hyoshi27 『POSSE』27号をおおくりいただきました。「塾とブラックバイト」が特集です。

http://www.npoposse.jp/magazine/no27.html

特集はなかなか充実していて、

◆特集 「塾とブラックバイト」

 「「ブラックバイト調査」集計結果(全体版)発表の記者会見」 大内裕和(中京大学教授)×上西充子(法政大学教授)×今野晴貴(NPO法人POSSE代表)

 「ブラックバイトを生み出すサービス業・小売業における労務管理の変容」 佐藤博樹(中央大学大学院教授)

 「なぜ個別指導塾はブラックバイトの象徴なのか」 本誌編集部

 「塾はどのようにブラック企業になったか―市進学院の事例」 全国一般東京東部労組市進支部

 「「コマ給」をどう捉えるか―法的視点から考える個別指導塾の労働問題」 嶋﨑量(弁護士)

 「全国の学生アルバイトユニオンはブラックバイトとどう闘うか」 岩井佑樹(首都圏学生ユニオン代表)×渡辺謙吾(関西学生アルバイトユニオン共同代表)×石井伸一(札幌学生ユニオン役員)×坂倉昇平(ブラックバイトユニオン事務局長)×青木耕太郎(ブラックバイトユニオン執行委員)

 「連載 ブラック企業対策のいま #02ブラックバイトユニオン」 渡辺寛人(ブラックバイトユニオン共同代表)

 「高校生のブラックバイトに対し、現場の高校教員はいかに取り組むことができるのか」 阪本宏児(神奈川県立高校教員)×今野晴貴(NPO法人POSSE代表)

 「15分でわかるブラックバイト」

冒頭の編集部の「15分でわかる」がもちろんよくまとまってますが、労働問題として歴史的なパースペクティブで考える際には、佐藤博樹さんのインタビューが役に立ちます。

なぜブラックバイト問題が上の世代に伝わりにくいかというと、上の世代にとってはブラックじゃない学生バイトが当たり前だったからですが、その背景にある労務管理の変化がわかりやすく語られています。かつては、学生の都合に合わせてシフトを調整するという企業が当たり前であったのです。

実は、これはアルバイトと並ぶ伝統的非正規労働形態であるパートタイマーに先行して起こったことの、文脈を異にした再現という面もあるのではないかと思います。

ただし、パートの場合は、主婦が片手間にパートをしている→パートの仕事が基幹化して肝心の主婦業がおろそかになっている、ケシカラン・・・という主婦モデルからの批判が主流化する方向には行かず、パートといえどもれっきとした労働者だ→パートの仕事が基幹化してきたのなら、それに応じた処遇にしろ・・・という労働者モデルからの批判が主流化する方向に行きました。

そして、家事育児といったそれまで主婦の「本業」と考えられていたことどもについては、(もちろん社会意識は必ずしもそうなっていませんが)労働者みんなにとってもその間のバランスを取られるべき問題であるというWLBモデルが主流化していきます。

また、いわゆるフリーターの場合は、主婦や学生といった社会学的「本業」がないだけに、より直裁に、かつての臨時工をめぐる議論に近い形で、労働者モデルからの批判がされました。

これに対して、ここに来て改めて学生という社会学的「本業」とのコンフリクトが前面に出てくる形で非正規労働者の基幹化がクローズアップされてきたわけです。

とすると、目の前の様々な問題を一旦括弧に入れて、マクロ的にものごとの推移を考えれば、

・学生が片手間にバイトをしている→バイトの仕事が基幹化して肝心の学生業がおろそかになっている、ケシカラン・・・という学生モデルからの批判

・バイトといえどもれっきとした労働者だ→バイトの仕事が基幹化してきたのなら、それに応じた処遇にしろ・・・という労働者モデルからの批判

という二つの方向性があることがわかります。現時点では、本誌の記事を見てもわかるように、この両方の流れが入り交じっています。

主婦モデルが(意識は別として)政策レベルでは過去のものになりつつあるのに対し、学生モデルは現在でもなおかなりの正統性を持っています。だからこそ、「15分でわかる」の冒頭でも、「学生であることを尊重しないアルバイト」という単純明快な定義がされるわけです。「主婦であることを尊重しないパート」がブラックパートだなんて言ったら、アナクロニズム扱いされるのとは違います。

しかし、私はむしろそこにブラックバイト現象を根っこのところで生み出している問題点があるように思います。それは、「15分でわかる」にもちらりと出てきますが、そんなに大事な大学の授業って、ほんとにそんなに大事なの?という肝心要のところで、実は必ずしもそうだと思われていない、とりわけ人文社会系の学部ではそういう傾向が強いという、みんなうすうすわかっている問題です。その背景にはもちろん、中身は空白の石版でも、働く意欲だけは満々であることが求められる「就活」があるわけで、そこまで踏み込まないでこの問題を議論しても、就活で講義に出てこられない可哀想な学生に呪いをかける某哲学の先生と大して変わらないレベルになってしまうという問題です。

やや先走って言うと、学生が大学で受ける授業とコンフリクトのない正しい就労形態というのを追求していくと、それこそドイツのデュアルシステムとか、アメリカのインターンシップモデルのような産学連携型の学習と労働の組み合わせという方向になるように思います。しかし、そういうのが一番忌み嫌われるのは日本でもあるんですね。

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コメント

濱口さん、はじめまして。

私も劣悪なアルバイトに関して、十分に認識はしています。
ただ、その処方箋として、学生ユニオンへの加盟に誘導するのは、
正直なところ、疑問符がつきます。

私は人事の経験があるのですが、政治運動や労働運動をしていた学生、
企業は確実に敬遠します。善人ぶるわけではありませんが、
学生が自分の可能性を狭める行為をしているのを見ると、すこし悲しくなります。

「声を上げる、それでも嫌なら辞める」という教育を徹底した方が良いと思います。

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