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2015年6月15日 (月)

『労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析』

AssenJILPTの報告書『労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析』がアップされました。

http://www.jil.go.jp/institute/reports/2015/0174.html

http://www.jil.go.jp/institute/reports/2015/documents/0174.pdf

研究の目的

「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日閣議決定)において、労働紛争解決手段として活用されている都道府県労働局のあっせん、労働審判の調停・審判及び民事訴訟の和解について、事例の分析・整理を平成26年度中に行う旨が明記されたことを踏まえ、厚生労働省からの依頼を受け、裁判所の協力を得て、独立行政法人労働政策研究・研修機構において実施したもの。

研究の方法

調査対象事案は以下のとおり。
都道府県労働局のあっせん事案(以下「あっせん」):2012年度に4労働局で受理した個別労働関係紛争事案853件
労働審判の調停・審判事案(以下「労働審判」):2013年に4地方裁判所で調停または審判で終結した労働審判事案452件
民事訴訟の和解事案(以下「和解」):2013年に4地方裁判所で和解で終結した労働関係民事訴訟事案193件

※あっせんについては、任意の制度であるため、あっせん申請の相手方が不参加を表明した場合や打切りの場合、解決に至らずに終了することがある。もっとも、あっせんの解決率は上昇傾向にあり、合意成立に至った事案の比率は、2008年度は30.2%であったが、2012年度には38.0%であった。

(注)都道府県労働局のあっせん事例は個別労働関係紛争事案全体について、労働審判の調停・審判事案及び裁判上の和解事案は金銭目的以外の事案全体について調査しているため、解雇等の雇用終了事案のほか、労働条件引下げや退職勧奨、配置転換等の事案が調査対象に含まれている。

主な事実発見
1.性別
あっせんは男性53.6%、女性46.4%、労働審判は男性68.6%、女性31.4%、和解は男性77.2%、女性22.8%と、後者ほど男性の比率が高い。

2.雇用形態
あっせんは正社員47.1%、直用非正規38.1%、労働審判は正社員75.7%、直用非正規21.0%、和解は正社員79.8%、直用非正規19.2%と、後者ほど正社員の比率が高い。

3.勤続年数
中央値で見ると、あっせんは1.7年、労働審判は2.5年、和解は4.3年であり、後者ほど長期勤続の労働者が利用している。

4.役職
役職者の比率は、あっせんは4.9%、労働審判は12.4%、和解は22.8%であり、後者ほど役職者の利用が多い。

5.賃金月額
中央値で見ると、あっせんは191,000円、労働審判は264,222円、和解は300,894円であり、後者ほど高給の労働者が利用している。

6.企業規模(従業員数)
労働審判と和解についてはデータが得られないものが多く厳密な分析ではない(小規模企業ほど従業員数を拾いやすいことによるバイアスがある。)が、中央値で見るとあっせんが40人、労働審判が30人、和解が50人である。

7.制度利用にかかる期間
中央値で見ると、あっせん期間(解決事案のみ)は1.4月、労働審判期間は2.1月、訴訟(和解)期間は9.3月であり、訴訟が長期間かかっている。

8.解決に要した期間
事案発生日から解決までの期間を中央値で見ると、あっせんは2.1月、労働審判は5.1月、和解は14.1月であり、後者ほど長期間かかっている。

9.弁護士等の利用
弁護士の利用を見ると、あっせんでは労使双方なしが95.0%(労働者側の利用は0.7%)であるのに対し、労働審判では労使双方ありが88.9%、和解では95.3%と、対照的な状況である。なおあっせんでは社会保険労務士の利用が可能だが、やはり労使双方なしが94.0%である。

10.請求金額
中央値で見ると、あっせんは600,000円、労働審判は2,600,000円、和解は5,286,333円であり、後者ほど高額である。

11.解決内容
(以下、あっせんについては合意が成立した事案に限る。)

金銭解決の比率が、あっせんは96.6%、労働審判は96.0%、和解は90.2%であり、いずれも金銭解決が圧倒的大部分を占めている。

12.解決金額
中央値で見ると、あっせんは156,400円、労働審判は1,100,000円、和解は2,301,357円であり、後者ほど高額であるが、いずれも下表に見るように散らばりが大きくなっている。

(表は省略。リンク先をご覧ください)

13.月収表示の解決金額
解決金額を賃金月額で除した数値を中央値で見ると、あっせんは1.1か月分、労働審判は4.4か月分、和解は6.8か月分であり、後者ほど高くなっているが、いずれも下表に見るように散らばりが大きくなっている。

(表は省略。リンク先をご覧ください)

政策への貢献

本調査研究を行うもととなった「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日閣議決定)においては、あっせん、労働審判及び和解の事例分析を行うことと並んで、「分析結果を踏まえ、活用可能なツールを1年以内に整備する」とされている。本調査研究結果をもとに、厚生労働省はこのツールを開発し、一般の利用に供することを予定しており、直接的にはかかる形で政策に貢献することが期待される。

さらに、同戦略で調査研究が求められ、JILPTにおいて実施された諸外国における紛争解決システムの研究成果と合わせて、同戦略で目標とされている「予見可能性の高い紛争解決システムの構築」に貢献することが期待される。

なお、本研究の研究担当者は、

濱口 桂一郎 労働政策研究・研修機構 主席統括研究員
高橋 陽子 労働政策研究・研修機構 研究員

です。

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