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トレードユニオンは労働組合にあらず(ややトリビア)

トレード・ユニオンという英語が、トレード(職種)の組合であって、その職種の労働者の組合でもあり得るし、その職種の使用者の組合でもあり得る言葉であるというのは、まあ、少なくとも労働史をかじった人ならある程度常識としてわきまえているようなことだろうと、勝手に思い込んでいたのですが、労働史をかじらないでマルクスの大著を翻訳しようという方々には、必ずしも常識ではなかったということを、たまたまある本を読んでいて知りました。

これは、戦前の高畠元之の訳からそうで、戦後の長谷部文雄、向坂逸郎、社会科学研究所の訳も、こんな風になっているようです。(引用は向坂訳の岩波文庫)

・・・イギリスの議会は、それ自身が厚顔な利己主義をもって、5世紀間にわたり、労働者に対抗する資本家の常設的労働組合の地位を、固守してきた後に、全く不本意ながら、民衆の圧力によって、罷業及び労働組合を抑圧する諸法律を放棄したのである。・・・

後の「労働組合」はまさしくストライキをする労働者のトレードユニオンですが、前の「労働組合」は資本家が常設するトレードユニオンと書いてあるのに、何も考えずに「労働組合」と訳しちゃっているんですね。論理的にありえねえだろ。

1文の中に同じ英単語(熟語)」が出てきたからといって同じ意味とは限らず、違う訳語で訳さなければいけないこともある、って受験勉強でやらなかったのかな?

31sfxsaqtql_sl500_sy344_bo120420320 というようなトリビアに気がついたのは、たまたま必要があって、宮前忠夫『新訳・新解説 マルクスとエンゲルスの労働組合論』(共同企画ヴォーロ)という本をぱらぱらと見ていたからですが、このトリビアで数十ページを費やしているという、なかなかにユニークな本でもあります。

ちなみに、フランス労働史でも同じことがあって、「サンジカ」という言葉は労働者の団結にも使用者の団結にも両方使われる言葉でした。

それを言い出せば、日本語の「組合」だって、労働組合とは限らず、むしろ元々は事業家の寄り集まり(事業協同組合)なわけですが。

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