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2015年5月 1日 (金)

スマイルは0円か@日経

本日の日経の1面に、働き方Next第3部の一環として、「スマイルは0円か」という記事が載っています。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASM118H0G_Q5A420C1MM8000/?dg=1

介護、保育など気配りがいる職場で働き手が足りない。心身に負担がかかる割に報酬は安いからだ。良質なサービスの手本とされた「スマイルゼロ円」は正しいのか。

かつて本ブログ上で何回もスマイル0円が諸悪の根源と述べてきた私としては、ようやくかという感じもなきにしもあらずですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-107c.html(スマイル0円が諸悪の根源)

・・・この詳細版で、どういう国のサービス生産性が高いか、4頁の図3を見て下さい。

1位はルクセンブルク、2位はオランダ、3位はベルギー、4位はデンマーク、5位はフィンランド、6位はドイツ・・・。

わたくしは3位の国に住んで、1位の国と2位の国によく行ってましたから、あえて断言しますが、サービスの「質」は日本と比べて天と地です。いうまでもなく、日本が「天」です。消費者にとっては。

それを裏返すと、消費者天国の日本だから、「スマイル0円」の日本だから、サービスの生産性が異常なまでに低いのです。膨大なサービス労務の投入量に対して、異常なまでに低い価格付けしか社会的にされていないことが、この生産性の低さをもたらしているのです。

ちなみに、世界中どこのマクドナルドのCMでも、日本以外で「スマイル0円」なんてのを見たことはありません。

生産性を上げるには、もっと少ないサービス労務投入量に対して、もっと高額の料金を頂くようにするしかありません。ところが、そういう議論はとても少ないのですね。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-24ed.html(スマイル0円が「ホスピタリティの生産性」?)

いんちきりんさんが「ホスピタリティの生産性」って言葉で何を意味しているのかよく分からないところもありますが、少なくとも、彼女が感じた「客が感じる価値」の客観的な付加価値生産性は、日本生産性本部の統計上は大変低いのです。

そんじゃあね。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-0c56.html(誰の賃金が下がったのか?または国際競争ガーの誤解)

国際競争に一番晒されている製造業ではなく、一番ドメスティックなサービス産業、とりわけ小売業や飲食店で一番賃金が下落しているということは、この間日本で起こったことを大変雄弁に物語っていますね。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-8791.html(なにい?労働生産性が低いい?なんということだ、もっとビシバシ低賃金で死ぬ寸前まで働かせて、生産性を無理にでも引き上げろ!!!)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-cbaf.html(サービス価格は労働の値段である)

でも、さすが日経と言うべきか、この記事の締めの言葉がこれですから・・・・

・・・・介護や保育企業参入や経営再編などの競争促進策が事業の革新につながるはずだ。

いやだからその帰結が

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-69b6.html(小林美希『ルポ保育崩壊』)

26719555_1時間内に食べ終えるのが至上命題の食事風景。燃え尽き症候群に襲われる保育士たちや親との会話も禁じられた“ヘルプ”(アルバイトや派遣)のスタッフたち。ひたすら利益追求に汲々とする企業立保育所の経営陣……。空前の保育士不足の中、知られざる厳しい現状を余すところなく描き出し、「保育の質」の低下に警鐘を鳴らす。

なんでしょうけど。

(追記)

またも労務屋さんとかぶったようです。同じ日に同じ日経の記事を取り上げていました。

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20150501#p1

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