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2015年5月 9日 (土)

野川忍『労働協約法』

199038野川忍さんより『労働協約法』(弘文堂)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.koubundou.co.jp/book/b199038.html

さてしかし、このタイトルを見て「あれ?『労働契約法』じゃないの?」と感じた方も多いのではないかと思います。

昨今、労働契約法を論ずる人は山のようにいますが、たった一字違いの労働協約法の方は、閑古鳥が鳴いている、とまでは言わなくても、あまり客の寄りつかない寂れた古店という風情で、野川さんが450ページを超える大著をつぎ込むようなテーマとはあまり思われていないでしょう。

でも、本書は『労働協約法』なんです。人気のない集団的労使関係法制の中心テーマに真っ向から切り込んでいます。

 労働組合の組織率が低迷し、多様な雇用・就労形態が進み、個別の労働関係が重視される現代だからこそ、新たな共通の課題を抱えた労働者の新しい団結と連帯が不可欠になってくるのではないだろうか。そして、就業規則ではなく個々の労働契約が労働関係の規範としての重要性を高めることは、他方で、労働者と使用者との実質的対等性に由来する合意としての労働協約の役割を復活させる契機となりうるのではないか。
 そのような問題意識から、雇用社会と労働法制の法的基盤を形づくる機能をもつ労働協約を体系的に論じ、その可能性を探り、雇用社会の未来につき、ひとつのオルタナティブを提示する書です。

野川さんが何を思ってこういう本を書いたのか。

「序 労働協約法の意義」の冒頭と最後のパラグラフで、こう宣言しています。

 本書は、労働協約の新たな機能と効力が、21世紀における労働法学の中心課題の1つになるとの認識を前提として、労働協約をめぐる諸課題を可能な限り包括的に検討しようとするものである。

・・・・・・・

 現在、労働協約に関して不可欠の作業と思われるのは、このように憲法秩序の上でも実際の機能の上でも重要性を失わない労働協約につき、収拾のつかないまま時間のみが経過している諸課題に一定の法的区切りをつけ、日本の憲法秩序の下に適切に位置づけられ、かつ国際的にも普遍性を有するような「労働協約を基軸とした労働関係と労使関係の法的構築」への道筋をつけることにあろう。

言うまでもなく、現実の日本の労働社会は、労働協約が基軸どころか、就業規則が根本規範として通用する社会であるわけですが。

第I編 総 論
  序  労働協約法の意義
  1章 労働協約の意義
  2章 労働協約の主体
  3章 労働協約の法的性格
  4章 規範的効力
  5章 債務的効力

第II編 各 論
 I 労働協約の成立・期間・内容・終了
  1章 労働協約の成立
  2章 労働協約の期間
  3章 平和義務
  4章 労働協約の内容と解釈
  5章 労働協約の終了と終了後の法的課題
 II 労働協約の一般的拘束力
  1章 一般的拘束力の意義
  2章 労組法17条の一般的拘束力
  3章 労組法18条の一般的拘束力
 III 労働協約と他の規範との関係
 IV 労働協約による労働条件の不利益変更
 V 労働協約と現代的課題
 VI 結 語  

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コメント

労働協約法という法律は聞いたことがありません。これはこの本の著者が提唱する仮想の法律でしょうか。

いやいや、労働組合法の第3章が労働協約に関する法規定で、これを労働協約法と呼んでいるのです。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24HO174.html#1000000000003000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000">http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24HO174.html#1000000000003000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000

集団的労使関係法制は大きく労働組合そのものに関する法制、団体交渉と労働協約に関する法制、労働争議と紛争処理に関するに関する法制からなりますが、ルールの体系という意味では、労働協約法制が中心になります。

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