谷口明丈編『現場主義の国際比較』
谷口明丈編『現場主義の国際比較 英米独日におけるエンジニアの形成』(ミネルヴァ書房)を、執筆者の関口定一さん、田中洋子さんよりお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.minervashobo.co.jp/book/b177680.html
「現場主義」は日本の産業に固有の特性なのであろうか。そんなことはない、かつて日本人は「現場主義」でなかった、とケネス・ホッパーは言う。真実はどこにあるのだろうか。その解を求めて、第一線の研究者が共同で、イギリス、ドイツ、アメリカ、日本におけるエンジニア形成の過程を探る。
[ここがポイント]
◎ エンジニアという職種がどのように形成されてきたか、先進諸国で比較している。
◎ 「現場主義」という言葉の持つ多義性を、国際比較の中で明らかにする。
目次は以下の通りです。
まえがき
第1章 イギリスにおける技師の自己定義と「現場主義」——徒弟制度、高等教育、職業独占(小野塚知二)
1 技師の入職過程の「現場主義」と職務の非現場的性格
2 「技師」の非自明性
3 技師協会と「技師」の再定義
4 入会者の経歴
5 管理問題の発見と「現場離れ」
第2章 ドイツの技術開発における現場と理論——クルップ社技師のキャリア分析を事例に(田中洋子)
1 「現場主義」をめぐる研究史
2 技師・技術者の定義とキャリア
3 技術開発の担い手分析⑴——火砲技術
4 技術開発の担い手分析⑵——合金・ステンレス鋼技術
5 ドイツにおける技師と技術開発の特徴とは何か
第3章 ドイツ化学企業のエンジニア層の「現場主義」——ゴールトシュミット社の人事書類の分析(石塚史樹)
1 ゴールトシュミット社とエンジニアの人事書類
2 企業組織とエンジニア
3 機械エンジニアの「現場主義」——アントン・ルートヴィヒの事例
4 化学エンジニアの「現場主義」——ヨーン・ヴァットマンの事例
5 エンジニアの地位の変化
第4章 立身出世の夢と現実——自由労働から科学的管理へ(木下 順)
1 「現場主義」と階級形成
2 フィラデルフィアのメカニック
3 ウースターのメカニック
4 科学的管理の生成
5 「現場主義」の発生
第5章 「現場経験」を通じた大卒エンジニア育成——GEの「テスト・コース」の場合(関口定一)
1 「現場主義」——アメリカと日本
2 GEの「テスト・コース」
3 「テスト・コース」での教育・訓練
4 「テスト・コース」における「現場経験」
5 大卒エンジニア育成における「現場経験」の意味
第6章 近代日本の鉄道技術者——日清戦後期における工部大学校出身者の位置と役割(中村尚史)
1 「現場主義」教育と技術者
2 鉄道業の急拡張と技術者
3 日清戦後期における鉄道技師
4 明治中後期における工部大学校土木学科出身者
5 「民鉄中心の時代」と工部大学校出身者
第7章 日立製作所の新製品開発と技術者の「現場主義」——「現場主義」の起源(市原 博)
1 技術者の「現場主義」論の問題点
2 創業期の技術形成と技術者の職務行動
3 設計の専門化・標準化と職能間の分離
4 「現場主義」的な取り組み
5 「現場主義」の限界
6 技術者の「現場主義」の起源と限界
終 章 エンジニアの形成と「現場主義」(谷口明丈)
1 各章で明らかにされたこと
2 エンジニアの存在の多様性
3 「現場主義」の多義性
4 エンジニアの形成と「現場主義」
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