マシナリさんの震災関係書評
先週紹介した『中央公論』5月号掲載の、玄田有史『危機と雇用』へのマシナリさんの書評について、マシナリさん自身が他の書物を合わせて詳しくブログで書かれています。
http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-644.html
・・・最近読んでみた震災関連本の中から、震災が人々の生活に与えた影響を考える際に参考になるものをご紹介したいと思います。
で、玄田著についてなんですが、実は中央公論を読んで感じた「あれ?なんかあっさり薄味」という印象の通り、
なお、『中央公論』の書評では字数の関係からカットしましたが、本書では緊急雇用創出事業をべた褒めしているものの、私のような実務屋からすれば制度的な問題はかなり大きいと考えておりますので、書評ではその点について一応指摘しております。手にとってご確認いただければと思います。
あらら、マシナリさんならではのところが字数でカットされてたんですね。
その「一応指摘」は:
・・・これらの分析から玄田氏は、リーマンショック時の緊急雇用対策が震災後に活用できたのと同様に、平時から財源を確保し、柔軟に対応できる環境作りが必要であるとしている(実際に玄田氏は、震災後の雇用対策の策定に携わっている)。しかし、リーマンショック後の緊急雇用対策では、国(ハローワーク)が実施した雇用調整助成金や給付付きの職業訓練の不正受給が問題となった。また緊急雇用創出事業は、雇用政策のノウハウもない自治体(県や市町村)が実施し、短期の資金を当てにした受託者の不祥事が相次いだ。本書を有効な政策提言とするためには、これらの問題に対処する実務にまで踏み込んだ検討が求められる。
ここは、被災地で活躍する地方公務員ならではの台詞がもう一つ二つ欲しかったところでしょう。
マシナリさんのブログ記事はさらに、玄田さんも入った東大社研の『〈持ち場〉の希望学: 釜石と震災、もう一つの記憶』や、望月善次さんの『被災の町の学校再開』についても、詳しく検討されています。
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コメント
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拙稿と拙ブログをご紹介いただきありがとうございました。
いつも過分なご紹介で恐縮です。中央公論の書評は私の力不足のため、編集の方のご助言をいただいてここまでまとめるのがやっとでした。もう一つ二つ以上のことを書きたかったのですがどうしても字数オーバーしてしまい、引用していただいた部分に私なりの思いを込めたつもりです。
とはいっても薄味であることはご指摘のとおりでして、玄田先生の著書の紹介とのバランスで最後まで悩みました。私の主張はそれとして、玄田先生の分析そのものに是非多くの方に興味を持っていただきたいということで、このような構成といたしました。引用していただいた部分は私が見た限りでは他の書評で触れられていない点ですので、これからの議論のきっかけになれば幸いです。
投稿: マシナリ | 2015年4月14日 (火) 00時40分