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2015年3月15日 (日)

ジョブ型(職務限定型)正職員について@『第100回全国図書館大会東京大会記録 2014』

Normaldcim00121『第100回全国図書館大会東京大会記録 2014』 が送られてきました。昨年11月1日、明治大学のリバティタワーで行われたこの大会の第18分科会にわたくしも登壇し、「ジョブ型(職務限定型)正職員について」基調講演をしましたので、その記録を質疑応答と一緒にこちらにもアップしておきます。

第18分科会 職員問題

「非正規雇用職員の今とこれから」

基調講演 ジョブ型(職務限定型)正職員について

濱口 桂一郎 (労働政策研究・研修機構)

報告 現場の非正規雇用職員から

岩渕健二 (荒川区立荒川図書館)

報告 公契約条例の現況

松井 祐次郎 (国立国会図書館国会分館)

報告 日本図書館協会の公契約基準

小形 亮 (日本図書館協会図書館政策企画委員会)

報告 学校図書館非正規雇用職員の現状

佐藤千春 (日本図書館協会学校図書館部会、東京大学教育学部図書室)

 

基調講演 ジョブ型(職務限定型)正職員について

濱口 桂一郎 (労働政策研究・研修機構)

 日本の雇用の主な特徴は、終身雇用、年功序列、企業別組合の3つである。非正規雇用問題を考える場合、この3つの根本にあるものを見ると、理解しやすくなる。

 その根本にあるものとは、職務を定めない雇用契約である。会社の一員として社員を採用するというメンバーシップ型の雇用形態であり、会社内で人のやりくりを行う。この特徴は世界的に見れば少数派である。

 ノキアでは、Microsoftに携帯電話部門を買収された際、契約していた職務がなくなったため、携帯部門の社員を解雇した。一方、日本の紡績会社(カネボウ、ニッシンボウなど)は、時代とともに事業を変えてきたが、社員を解雇することはなかった。このことから、海外では、仕事にお金が付いていると言える。日本は職務内容が変わっても、賃金は変わることがなく、人にお金が付いていると言える。

 また、職務内容以外にも、働く時間、空間も定めていない。そのため、基本的には異動命令や残業命令は絶対となる。その命令に背いたら解雇しても構わないという判決が最高裁でも出ている。しかし、ルールを守っていれば雇用は守られている。

 このような会社との関係性があるのは、正社員だけである。日本では、雇用のあり方が意識的・無意識的に正社員(正確に言うと男性正社員)しか目に入っていない。

 非正規労働者の場合は、仕事に値段がついている。これは国際的な雇用形態に近い。しかし、補助的な意味合いで雇われることが多い。この点は他の国の正社員と大きく異なっている。 それだけでなく、賃金も低い水準にある。

 これは、高度経済成長時に非正規労働者は家族を養う夫がいる妻、扶養されている学生というイメージが形成され、生活給ではない、不安定でも良いと考えられていた。

 その後、非正規労働者の問題は、1990年代初めまでは経済がうまく回っていたため、議論はあったが、変えていこうということにはならなかった。

 1990年代半ばになり、年功序列型賃金などの日本型雇用が崩れ、非正規労働者が増加するようになった。1990年代終わりころになると、このことが問題視され、2000年代には政策でも対策を打つようになった。

 派遣労働法もその一部である。派遣社員はもともと女性が多かった。次第に製造業に広がり、派遣労働者として働く若い男性が増え、年越し派遣村、派遣社員が起こした事件などがテレビで取り上げられることが多くなった背景もある。

 この日本独特の雇用形態を全て一度に変えるのは難しいが、会社の一員か、非正規かという二択ではなく、その間にジョブ型正社員という雇用形態を作るのはどうか。このジョブ型正社員は、国際的には普通の働き方で、仕事の内容や時間空間も決まっている。

 すぐに切れる正社員を作ろうとしているという批判はあるが、その職務がある限りは不当に解雇されることはない。その職務がなくなれば、解雇される可能性があるが、職務がある限り雇用は守られる。

 公務部門は、民間部門よりも話がねじれている。一般的に公務員は雇用契約ではなく、任用と思われているが、実際は雇用である。そのねじれた経過をみていきたい。

 公務部門の雇用形態は2種類ある。1つはドイツ型と呼ばれ、官吏だけは任用であり、労働基本権はない。雇員・傭人については雇用契約が結ばれている。戦前の日本も、ここに含まれる。

 一方、アメリカやイギリス式と呼ばれるものは、公務部門で働く職員はすべて雇用契約で結ばれている。上から下まで雇用で、労働基本権は職種によって制限されていることもある。

 戦後、アメリカの占領軍が日本に入ってきて、公務部門の雇用形態をドイツ型から英米型への変更を推し進めた。変更するにあたり、人事院を作り、職階制やジョブ型の雇用形態の確立を図った。このときに公務員にも労働基準法、労働組合法が適用されるように変更した。

 しかし、労働運動が急進化すると、GHQのマッカーサーはこの沈静化を図った。特にこの運動は官公労が先頭に立って行っていたため、まずはそこから労働基本権を奪い、三六協定など労使対等原則に基づくものも切ってしまった。しかし、労働基準法の労働契約の規定は今でも地方公務員には適用されている。

 戦後、占領軍が撤退すると、日本の公務部門の雇用形態をドイツ型に戻そうとしたが、結局英米型の上から下まで同じ公務員という仕組みのまま、それがすべてドイツ型の任用であるから雇傭契約ではないというわけのわからない形になった。それにより、非正規公務員は、公務員の安定し、手厚い待遇が保証されるところからも漏れる谷間の存在になってしまった。

 このような非正規職員問題は50年代にも議論になっていた。しかし、この当時は、労働基本権についての話が主で、その後議論自体もなくなった。

 90年代?2000年代になり、再度非正規職員問題が取り上げられるようになった。非正規労働者については、2012年に労働契約法の改正や、今年のパート法の改正など対策がとられてきている。しかし、厚生労働省が出した通達には、(終戦直後の認識とは逆に)公務員は適用外と書かれている。

 本来立法の原点は公務員も雇用契約なのだから、非正規公務員にも労働契約法が適用されるべきと思っているが、現実は難しい。そこで、先ほど提示したジョブ型正社員のようなジョブ型公務員を作ることを提案したい。これからの日本の専門的な公務部門には、ジョブ型公務員という雇用形態が、現実的にも落とし所としては良いと考えている。

Q、ジョブ型公務員という考えでは、今後図書館で働く場合、どういう雇用形態が良いか?

A、司書も当てはまると思っている。やはり専門職ならそれを前提とした雇用、人事管理が必要。それまで知らなかった人が人事の命令で来て、サービスをするというのは見直すべき。

Q、非正規公務員を条例レベルで工夫をして安定させてあげられないか?

A、条例で小手先を工夫してこの問題を解決するという発想ではないほうがいい。どれだけニーズがあり、どれだけ人数が必要かというのを積み上げて定員が決まるというのが公務員法の大原則。図書館があって一定の人数の司書が必要な限り、パーマメントなポストが必要なのは当たり前。

Q、専門性があるのに、そのジョブがなくなったらという想定をすることは違和感がある。また、英米型の雇用は失業保険や労働組合が充実しているからできるものではないか?

A、ジョブが確立しているほど、他の組織で同じ職を目指すことになる。医者が典型的な例。組織内でやりくりすることが定着すると、その最低限の人数しか取らなくなり、足りない部分は非正規の形で安価に調達するという形になる。

 失業保険等については、会社が責任を負う分は国がやる必要ない。雇用形態が変わってく場合、社会システムどうするかという大きな部分にもつながる。

Q、ジョブ型正社員、公務員が増えたら、不安定な非正規労働者が増えてしまうのではないか?

A、どこと比べて不安定なのか明確にする必要がある。そのジョブがある限り雇用は安定している。日本の雇用形態は親子と例えられるが、非正規雇用労働者は尊重する他人同士でもない関係になっている。このような現状を見れば、社会のあり方の価値判断になる。

Q、委託の増加は同一価値労働同一賃金という点から考えると、今後どうすれば良いか?

A、同一価値労働同一賃金の概念は、もともと日本にはない。委託、請負は、公共部門からお金が出るだけで民間部門といっても良い。しかし、窓口委託など中途半端な委託は違法となる可能性がある。

Q、調布市、豊中市のような司書職制度はジョブ型か?ジョブ型が導入されたときに職務給となるのか?三六協定がないと言ったが、今の職場で三六協定を結んだことがある。

A、それはジョブ型だと思う。賃金制度については触れなかったが、当面は給料表があって年々給料が上がっていくという形になるのではないか?しかし、マジョリティになってしまったら考えなくてはいけない。

 三六協定については、現場を経験したことがないが、非現業であればないはず。しかし、教育は一種の現業かと思っているので、その方が筋は通る。


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