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2015年3月20日 (金)

今野晴貴『ブラック企業2』

Img_467a4566c590d2d5bd6b87c97b23bf6ヒット作品のタイトルに「2」をつけて柳の下の泥鰌を狙うのは映画なんかではよくあることですが、新書では珍しいですね。

http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166610037

辞められない! 稼げない! 生きられない!
これが「使い潰し経営」の実態だ!

一部上場有名企業から、IT、外資、大学研究室、国際NGOまで
2015年、残業代ゼロ法案であなたの会社も他人事ではない!

“結論から言えば、被害者の多くはブラック企業に積極的に入社し、また、自ら「辞めない」で働いている。”――「はじめに」より
そのポイントは異常な長時間労働と、「虐待型管理」によって、
精神を破壊するブラック企業の労務管理にあった。

前著『ブラック企業』で若者を使い捨てにする雇用問題を告発した筆者が、三〇〇〇件の労働相談から提言する「決定的解決策」!

前半は、POSSEの経験を踏まえた実例がこれでもかと示され、後半で監督の困難さや規制緩和論の誤りの指摘、そして今後の政策が提示されます。

はじめに――なぜ入るのか、なぜ辞められないのか
序 章 ブラック企業問題とはなんだったのか?
第1章 わかっていても、入ってしまう
第2章 死ぬまで、辞められない
第3章 絡め取り、絞りつくす
第4章 国家戦略をも浸食するブラック企業
第5章 なぜ取り締まれないのか?
第6章 奇想天外な「雇用改革論」
第7章 ブラック企業対策――親、教師、支援者がすべきこと
終 章 ブラック国家を乗り越えて

本書のメッセージで、とりわけ労働側に立っていると自分では思いこんでいるような人にこそきちんと認識してもらう必要のあるのは、真ん中当たりにあるこの言葉でしょう(153頁以下)。

・・・生産性の上がらない労働集約的な業種が、持続可能な「ほどほどの働き方」に転換していくような雇用改革は、日本にとって急務の課題となっている。

このために必要なことは、「階層化」を認めることだと私は思っている。日本では「階層」や「区別」を嫌悪する傾向がある。「一億総中流」という幻想、「誰でもエリートになれる」という機会平等主義がその象徴である。・・・

「全員が中核社員」「全員がエリート候補」には原理的になることがない。普通に生きていく代わりに、普通以上の対価はない。使い潰されない「ほどほどの働き方」と、「真のエリート」の働き方が明確に区別される社会を目指すべきだ。・・・

ところで、階層化と「格差」は違うことに注意して欲しい。・・・階層を明確にした上で、階層間の利害を政治的に調整し、格差を縮小しようとするのが欧米流の社会だと言ってもよいだろう。

階層が覆い隠されている日本社会はある意味では、こうした政治的な利害調整が不明確な、「非民主的」な社会だと言ってもよい。・・・

階層は存在せず、「みんなの利害が同じだ」という前提に立つ言論状況は、「全体主義」の発想に近づいてしまう危険性を孕んでいる。そうした状況では、本当は利害が対立している経営者に対し、普通の若者は「労働時間が長い」「時間当たり賃金が低すぎる」という意見を思いつくこともできなくなってしまうのだ。

だから、利害の違い、立場の違いを明確にし、尊重することが民主的になる。「利害が違う」からこそ、「自分の立場にとって必要なことは、持続可能な労働時間です」と明確に主張できるようになる。対立軸がはっきりしていることは、差別でも悲惨なことでもない。

このあたりは、日本の左派や労働運動自身が労働市場における労働の売り手としての利益最大化いう市場主義的発想よりも、企業経営を下から参加/蚕食するという生産主義的思想が強かったことがずっと尾を引いているのでしょう。

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