『日本の雇用と労働法』への書評
2011年に出版した『日本の雇用と労働法』(日経文庫)に、今なおこうしてお褒めの言葉をいただき続けられるのは、とてもありがたいことです。
http://homepage1.nifty.com/msekine/top/book2015.html
経営学、経済学、社会学的な労働環境と、
労働法に基づく法制度の矛盾を説き起こし、
その矛盾の上に成り立つ日本の労働問題を、
他国の労働制度と比較し、綺麗に説明します。
優れた著作です。
このような著書を、
20年前に読んでいたら、
私の社会認識は異なっていたと思う。
いや、経験を積み重ね、
今の年齢になったから、
この書の良さが読み取れるのか。
いや、いや、そのように自分を慰める以外にない。
法律実務的には、
理屈も、正義も、合理性も存在せず、
イデオロギーと主張だけが存在する不毛の泥沼ですが、
社会学的に観察すると、労働問題ほど面白いモノはない。
働く人達の80%はサラリーマンなのだから、
まさに、彼らの置かれた立場の昆虫観察のような面白さがある。
このような制度の下にしか生きることができないのが社会なのか。
蟻か、蜜蜂のコロニーの階層構造と造りを観察するようで面白い。
著者は、
メンバーシップに加入できた正社員と、
雇用契約に基づく非正規社員を二重構造と定義している。
しかし、正規社員でも、
本店採用総合職、支店採用総合職、一般職の3層構造になる。
人間は、このような制度の下にしか生きることができないのか。
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