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2015年3月10日 (火)

メンバーシップ型労働社会のロースクール

ロースクールをもうすぐ修了される方のブログ「アホ坊主のナントカ論」で、ロースクールを労働社会のあり方から考察されているエントリがありました。

http://rintaro0324.hatenablog.com/entry/2015/03/10/093107(ロースクールを修了するにあたって:日本の労働社会との齟齬)

ジョブ型社会とメンバーシップ型社会についての簡単な説明の後で、

・・・ロースクールがジョブ型の労働社会を前提にしていることは容易に想像ができるだろう。ロースクールは専門大学院として「法務」という仕事を上手にこなすことができるというレッテルを獲得するために入学するところになるわけだ。日本の法科大学院においても弁護士・検察官・裁判官という「職業」を目指すということになっている。

 けれども、日本では司法試験に不合格になる人のほうが多い。そうすると、その先はジョブ型ではなくメンバーシップ型の労働社会に参加していくことになる。ここで齟齬が起きてくる。2つの労働社会では評価の基準が(おそらく)異なるので違う振舞いが求められることになるのだろうけれど、そんなことは司法試験で忙しくてなかなか気にかけているヒマがない。

そう、日本の法科大学院の悲劇と喜劇は、メンバーシップ型社会のまっただ中に、ジョブ型社会を前提とするロースクールの仕組みをそのまま持ち込んだものであるにも関わらず、当事者たちにその認識が見事に欠如していたという点にあります。

いずれにしても、日本の法科大学院の現状は「メンバーシップ型」と「ジョブ型」の労働社会それぞれに目配りをしなければいけないという面倒くさい構造になっている。そして、メンバーシップ型への対応が(非常に)遅れている。今後は上位の法科大学院だけが勝ち残ってより「ジョブ型の大学院」としての機能を高めていくことになるだろうけれども、そこに至るまでにどう学生を守っていくのか。それが目下の課題になる(と信じる)。

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コメント

ロースクールの問題をこじらせているのは、法学部を併存させたままロースクールを設置してしまったことにあるでしょう。アメリカでは学部段階で法学の専門教育が行われないため、ロースクール卒業者が法的知識を独占することになります。また日本のように一般向けの法学解説書も普及していないようです。ロースクール卒業者の存在価値が担保されているわけです。しかし日本では法学部を存続させたままロースクールを設置したため、法的知識を持つ人材が供給過剰に陥ったのです。供給を減らすか、需要を増やすかしないかぎり、問題は解決できないでしょう。

ロースクールのような専門職大学院は日本の教育システムから見ても、労働市場の在り方から見ても鬼子のようなものであり、絶望的に日本の現状にはフィットしません。法曹を増やすにしても、大陸諸国の法曹教育を手本にすべきだったと思いますが、ロースクールというのは最悪の選択だったように思います。正直一度廃止してしまったほうがよいのではないでしょうか。

しかし、問題はすでに存在するロースクール卒業者です。民間に仕事がない以上、政府が仕事を作り出すしか解決策はないでしょう。従来のメンバーシップ型雇用に入り込める余地は少ない。

日本でまともなジョブ型雇用が浸透するには政府が雇用するしか手段がないのではないでしょうか。メンバーシップ型雇用の重要な構成要素である生活給制度の淵源が海軍工廠の伍堂卓雄にあったように、政府部門がジョブ型雇用にまともな賃金を払うシステムを構築し、民間に波及させるという経路しか現実味がないように思います。

しかし、財政問題もあり、また、日本の公務員の数は欧米と比較して過小であるにもかかわらず、公務員の数を減らすことが至上の正義であるかのように考えている人が多い現状では、至難でしょう。正直八方ふさがりですね。。。

投稿: 通りすがり | 2015年3月10日 (火) 22時33分

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