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2015年2月28日 (土)

上西充子さんの疑問にお答え(する立場じゃないけど)

昨日紹介した「勤労青少年福祉法」を改正して「青少年の雇用の促進等に関する法律」にする法案要綱ですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-3efa.html(勤労青少年福祉法の一部改正ときましたか)

上西充子さんがツイートで疑問を呈されています。

私はいかなる意味でも上記法改正に関わっていないので(だから法律の題名も昨日まで知らなかった)、そもそもお答えする立場では全然ないのですが、上西さんの疑問が単純な立法技術上のもののように思われるので、法律をかじった人間として若干の解説をしておきたいと思います。

https://twitter.com/mu0283/status/571451598754304000

ん??  的確な労働条件の明示は要綱から落ちた?? それとも、「基準に適合する事業主の認定等」を中小企業に限定せずに、ここに吸収された、ということか?

https://twitter.com/mu0283/status/571467106677493761

やっぱり法案要綱では労働条件明示の件が落ちている気がする。 プリントアウトして、建議と要綱をつきあわせてみよう。

https://twitter.com/mu0283/status/571475694904999936

問題は、報告のⅡの1の(2)のマル1「労働条件の的確な表示の徹底」(→5の(1)の「募集・採用及び定着促進に当たって事業主等が講ずべき措置をまとめた指針を作成することが適当」)が、法律案要綱ではどこへ行ったか。

https://twitter.com/mu0283/status/571476665987014659

「報告」では、「マッチングの向上に資する情報提供」が「労働条件の的確な表示の徹底」と「職場情報の積極的な提供」の二本立てになっていた。しかし、法律案要綱では後者は「青少年雇用情報」として情報提供が努力義務になっているが、前者への言及がないように見える。

https://twitter.com/mu0283/status/571477017385836544

先ほど、認定制度に吸収された?と書いたが、「基準に適合する事業主の認定等」は、「常時雇用する労働者の数が300人以下のものに限る」とあるので、やはりそこに吸収されたわけでもない。

https://twitter.com/mu0283/status/571477192367992834

募集段階の労働条件と実態が違う!という問題への対応はどうなったのだろう。 昨日の会議の傍聴ができなかったのだが、気になる。

この疑問は、建議の文言を読むと氷解するはずです。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000072021.pdf

➀ 労働条件の的確な表示の徹底

求人者から示される労働条件は、若者が就職先企業を決定する際の重要な情報であるが、一部の求人において、求人票記載(募集時)の労働条件と労働契約締結時に明示された労働条件が異なる、労働契約締結時に明示された労働条件と実際の労働条件が異なるといった状況があるとの指摘があった。
現行法において、労働者の募集に当たっては、労働条件の明示義務、虚偽の条件呈示の禁止、労働条件の的確な表示に係る努力義務のほか、労働契約締結に際しては、労働条件の明示義務等が規定されている。
これらの規定の遵守を徹底するため、募集から就労に至るまでの過程で守るべき事項について、5(1)で後述する事業主等に係る指針において一覧できるよう定めることが適当である。

ご覧の通り、「指針において一覧できるよう定めることが適当である」と書かれています。

つまり、こうした事柄は既に職業安定法や労働基準法に規定されていることなので、それをダブって青少年雇用促進法に規定するのではなく、それに基づく指針に書くのだよ、とちゃんと書いております。

この点は、建議段階でわたくしが書いた簡単な解説文でもこう述べております。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo150125.html

(「若者雇用対策法の概要」 労基旬報1月25日号 )

 その第1は「労働条件の的確な表示の徹底」で、報告書案では法律事項ではなく、新法に基づき策定される指針(若者の募集・採用及び定着促進に当たって事業主等が講ずべき措置に関する指針)に盛り込むべきとしています。この点について、資料の中ではいくつか具体的な例が挙がっていて、例えばこういう記載があります。

・「固定残業代への対応として、求人票に欄を設け、しっかりと記載できるようにすべきではないか」という課題に対し、「ハローワークの求人票の特記事項欄に「固定残業代には○時間分の残業手当を含む。○時間を超えた場合は別途残業手当を払う」旨を記載するよう指導している。今後、現行の取り組みを徹底する。」

その後にこう書いておりまして、

 この問題については、連合が昨年11月の中央執行委員会で「求人票・求人広告トラブルの改善に向けた連合の考え方」を確認しており、そこでは、具体的な法改正事項として
(1) 労働基準法第15条
①「労働条件の明示」の内容について、「事実と相違するものであってはならない」旨を規定する。この規定により、明示された労働条件と実際の労働条件が異なる場合について、労働基準監督官の指導・監督を可能とする。
②「労働条件の明示」の方法について、パート労働法第6条を参考に「書面の交付」を明文化する。
③「労働条件の明示」の時期として、「原則として実際の就労開始前とする」旨を明らかにする。
④「労働条件の明示」がなされていない場合も、第2項・第3項が適用されることを明らかにする。
(2) 職業安定法第5条の3
上記(1)①と平仄を合わせて、「明示する労働条件は事実と相違するものであってはならない」旨を規定する。
(1) 労働基準法施行規則第5条第1項を改正し、労働基準法第15条第1項後段で書面の交付で明示しなければならない労働条件に「法定労働時間を超える労働があるときの時間外割増賃金の計算及び支払の方法」を追加する。
といったことを求めています。今回の報告書は若者対策ということなのでここまで踏み込んでいませんが、こうした一般対策は今後労働条件分科会なりで検討されていく可能性があります。

いずれにせよ、今回はこうした労働条件明示関係については、実態法的には特段の変化をしているわけではないということです。

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