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2015年2月22日 (日)

春闘の復権@山田久氏

日本総研の山田久氏が、「2015 年春闘の展望と課題①」として、「持続的賃上げに向けた2つの条件」という文章を書かれています。

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/researchfocus/pdf/7978.pdf

日本は90年代以来名目賃金が下落基調にあった原因をその雇用システムに求め、それ故持続的賃上げのためには雇用システム改革が避けられないと説いています。

90 年代以降の低成長時代に入ってから、事業再編が遅れるなかで、多くの日本企業は激化するグローバル競争に対抗するために低価格戦略を採り、人件費抑制スタンスを強めた。この背景には、わが国では雇用契約の基本は仕事の内容や勤務を特定せず、いわば企業という共同体の一員になる「就社型」であり、事業再編を行う際には別の雇用機会を与えることが企業責任として強く期待されるという事情を無視できない。そもそもセーフティーネットが整備されていないため、事業再編に伴う整理解雇は社会的に許容されにくい面も見落とせない。そうしたもとで、労使は雇用維持を優先し賃金を削減する道を選択してきた。

つまり、持続的賃上げに向けて、雇用システムの見直しは避けて通れない課題である。持続的賃金引き上げの条件となるコスト削減型経営から付加価値創造型経営への転換には、「就社型」の雇用システムを見直し、欧米タイプの「ジョブ型」あるいは「就職型」の要素を強める必要があるといえよう。ただし、欧米タイプの正社員の導入にあたっては、①企業の枠を超えた産別や職業別の人材交流の仕組み、②職種別レベル別の能力認定制度の整備、③北欧でみられるような再就職支援・失職時生活保障のための労使共同機関の創設、④カウンセリング・職業紹介・職業訓練をトータルで提供する再就職支援に向けた官民連携の仕組みの充実、等様々な環境整備が条件になる。

もうひとつ持続的賃上げに必要なのは、賃金引き上げの仕組みの再構築である。これが必要なのは、わが国では現状、企業業績が改善しても月例賃金が上昇するメカニズムが十分に機能しなくなっているからで、過去十数年で生じた状況変化を踏まえた上で、そうしたメカニズムを再構築し、新たな形で「春闘の復権」を目指すことが求められている。

注目すべきは最後の「春闘の復権」を呼びかけているところでしょう。

国際比較の視点でみれば、わが国では米国のようにプロフェッショナル労働市場が発達し、景気回復期にはより高い賃金を求めて転職が活発化し、需給関係から賃金が上がる構造にはない。また、わが国では企業内組合が基本であり、企業横断的に職種別や産業別の労働組合が形成され、強いバーゲニングパワーで賃上げを実現する力も持たない。そういう状況で、職能資格制度という下方硬直性の強い賃金制度を整え、春闘でパターンセッター方式という、最も賃上げ余力のある産業がリードする形で社会全体での賃金の底上げを図るという、日本独特の仕組みを作り上げてきたのである。それが、いまや職能資格制度が見直されて賃金の下方硬直性は弱まり、パターンセッターとして賃上げをリードすべき輸出産業が、厳しいグローバル競争のなかで賃上げ余力を低下させてしまった。そした状況変化を踏まえた上での、マクロ的な賃金引き上げの仕組みの再構築という意味での「春闘の復権」が求められている。

ここまで言われると、それは具体的にどういうものなの?と聞きたくなりますが、それは次回までお預けのようです。

では、具体的にはどのような形で賃金引き上げの仕組みを再構築するのか、シリーズ第2回のレポートで議論を展開したい。

人の気を持たせるのに長けている人ですな。

なお先日紹介したように、3月12日には、この山田久氏を招いて労働政策フォーラムが開かれます。

http://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20150312/info/index.html(多様な社員の活用を企業の成長力に)

私は直接関係しませんが、テーマが今日的話題ですし、結構興味深い事例が語られるのではないかと思われます。

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