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2015年2月16日 (月)

熊沢誠『私の労働研究』

9784906708581熊沢誠『私の労働研究』(堀之内出版)をお送りいただきました。もう一冊と一緒なんですが、そっちは後回し。労働研究者としてはまず熊沢誠さんのこの本、「多くの労働研究者に慕われる御大がその研究人生を振り返る散文集」を読まなければなりません。

http://www.horinouchi-shuppan.com/#!006/c1rts

労働研究の碩学が語る研究観、研究生活――。

多くの労働研究者に慕われる御大がその研究人生を振り返る散文集。

真摯な研究、暖かな人柄。労働者を見つめる視点の原点から到達点の全てを記す。

『POSSE』の連載、氏のHPからの精選論稿に大幅加筆修正して収録。

また、研究人生を振り返った書き下ろし「回想記・労働研究の道ゆき」は、昭和から平成の研究者の赤裸々な足跡は、先達の貴重な記録であると同時に、「たゆまず自らの仕事を貫くということ」について、関連の研究者ならずとも人の生きる道標となるテキストである。

ということで、やはり我々後学の者としては、1章と終章に書かれた人生振り返り記が興味深い内容です。

敢えて変なところに着目すると、最後の「顧みて思えば」で、自らの生き方を「市場主義」と呼んでいるところが面白かったです。研究テーマも研究方法も全く自由にやってきたことを語りつつ、

・・・この「自由」については、私がいつも「左派」のプロレイバーでありながら、どの革新政党の、組合界のどの単産やナショナルセンターの「お抱え」にもならなかったことの影響が大きいと思う。私は「初期」の終わり頃から、学派も組織のバックもなく、書店の編集者の要請で、または自ら原稿を持ち込んでの依頼で研究成果の出版を果たすという「市場主義」を取るほかなかった。・・・

そう、こういう意味においてはまさに、市場が、市場こそが精神の自由を確保するのです。

そして、熊沢さんはそこまで書かれていませんが、私は熊沢労働研究の基調低音は、日本の労働組合の主流派からは常に白い目で見られてきた、労働者は労働を会社に売って生きているんで、心を売っているんじゃないという欧米の労働者的なある種の「市場主義」であり、そのこととどこかで繋がっているような気がします。

一章 私の労働研究─テーマと問題意識

はじめに

1 研究史の初期(一九六七~七八年)

その時代/初期のテーマと問題意識/著作

2 研究史の中期(一九七九~九六年)

その時代/問題意識・テーマ・方法論/著作

3 研究史の後期(一九九七年以降)

この時代の研究環境/著作/むすびにかえて

二章 われらの時代の働きかた

はじめに

1 シューカツをめぐって

2 なにが就職の「成功度」を決めるのか

3 非正規雇用とキャリア分断

4 流転の職歴

5 有期雇用を規制する必要性と可能性

6 正社員のしんどさの根にあるもの

7 ノルマのくびき

8 人べらしの修羅

9 パワーハラスメント論序説

10 〈被差別者の自由〉のゆくえ─女性労働論の今日

11 産業民主主義と組合民主主義

三章 公務員バッシング対抗論─橋下「改革」と公務員労働組合

1 組合つぶしの論理と背景─新自由主義と大阪市の事情

2 日本の公務員労働運動─厳冬の風土と季節

3 公務員の労働条件維持にどう取り組むのか

4 公共部門の労働運動に期待されるフロンティア

四章 労働・社会・私の体験─ホームページ・エッセイ抄

1 仕事のありかたをめぐって

福島第一原発の「復旧」作業を担う人びと/卒業して五年─浜野美帆の軌跡/労働者としての教師/関越自動車道の事故に思うこと

2 日本社会の影をみつめて

若い世代の貧困と医療格差/小さな生活圏のいじめと暴力/熱中症に斃れる貧しい高齢者/大津市立中学校のいじめ自殺

3 回顧と体験

わが街四日市で脱原発を訴える市民デモができた!/研究会「職場の人権」の再出発/わが高校時代の新聞部活動─桜宮高校事件にふれて/五月の一〇日間/追悼・熊沢光子

五章 書評と紹介─近年の読書ノートから

はじめに

1 労働の世界

スティーヴン・グリーンハウス『大搾取!』/飯島裕子、ビッグイシュー基金『ルポ 若者ホームレス』/西谷 敏『人権としてのディーセント・ワーク』/戸村健作『ドキュメント 請負労働180日』/榎本まみ『督促OL修行日記』/森岡孝二『過労死は何を告発しているか』/伊藤大一『非正規雇用と労働運動』

2 現代日本の社会と生活

A・ファーロング、F・カートメル『若者と社会変容』/本田由紀『教育の職業的意義』/宮本太郎『生活保障』/岩村暢子『家族の勝手でしょ!』/ノーマ・フィールド『天皇の逝く国で』/井上芳保編著『健康不安と過剰医療の時代』/生活保護論 ふたつの好著

3 日本近代史・現代史の諸相

夏木静子『裁判百年史ものがたり』/草野比佐男詩集『定本・村の女は眠れない』/アンドルー・ゴードン『日本労使関係史 1853~2010』/菊池史彦『「幸せ」の戦後史』/大田英昭『日本社会民主主義の形成』/水溜真由美『「サークル村」と森崎和江』/鄭玹汀『天皇制国家と女性』

4 アラブ世界から

デボラ・ロドリゲス『カブール・ビューティスクール』/アミン・マアルーフ『アラブが見た十字軍』

六章 スクリーンに輝く女性たち

はじめに

1 女たちの絆

『女の子ものがたり』ほか─生きがたさを超えて/『フローズン・リバー』の溶けるとき

2 歴史の原罪をわが身に負って

『サラの鍵』─フランスの過去のあやまちをみつめて/『オレンジと太陽』─福祉国家の影を問う良心/『東ベルリンから来た女』─そこにあえて留まること/『故郷よ』─失われた大地の語り部として

3 狂気の時代を生きぬく

『悲しみのミルク』─トラウマを解き放って/『愛の勝利を』─精神病院の内と外/『キャタピラー』─若松孝二作品の頂点/『清作の妻』─軍国の明治の村を刺し通す/『やがて来たる者へ』─殺戮の彼方に届くまなざし

4 闘う女たちの群像

ドキュメント『外泊』にみる解放の息吹き/『ファクトリー・ウーマン』─ノンエリート的階級意識の光/『追憶』─忘れられない青春の名作

終章 回想記・労働研究の道ゆき

1 青春前期の模索

2 徒弟時代

3 自立のとき─研究と生活の条件に恵まれて

4 働きざかり─労働者の実像をもとめて

5 ゆるやかな登り坂─状況批判のさまざまの試み

6 高齢期の日々

7 顧みて思えば

資料:著書リスト/共著(収録論文)リスト

あとがき

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