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2015年2月24日 (火)

「技能実習制度の見直し」 @『生産性新聞』2月25日号

『生産性新聞』2月25日号に「技能実習制度の見直し」を寄稿しました。

 去る1月30日に「技能実習制度の見直しに関する法務省・厚生労働省合同有識者懇談会」が報告書をとりまとめました。これに基づいて今通常国会に法改正案が提出される予定ですが、その経緯と内容を簡単に見ておきましょう。ただし、今回の動きに先行する技能実習制度の歴史については省略します(拙論「日本の外国人労働者政策」(五十嵐泰正編『労働再審2越境する労働と〈移民〉』(大月書店)所収)参考)。2009年の制度改正で技能実習が出入国管理法上に明確に位置づけられた後も、一方からはその制度拡大、他方からはその厳格化を求める声が続き、法務省は出入国管理政策懇談会の外国人受入れ制度検討分科会において、2013年11月から審議を行い、2014年6月に「技能実習制度の見直しの方向性に関する検討結果」を公表しました。その間、産業競争力会議や経済財政諮問会議から、再技能実習を認めることや介護分野でも認めることなどが要請されたことが結論に影響を及ぼす一方、監理団体や受入機関をめぐる様々な問題への対応を図ろうとしています。同じ昨年6月に閣議決定された「日本再興戦略改訂2014」では、管理監督の在り方を抜本的に見直し、2015年度中の新制度への移行を目指すとともに、実習期間の延長、受入れ枠の拡大等について、2015年度中の施行に向けて、所要の制度的措置を講ずるというスケジュールが示されています。これを受けて同年11月から上記合同有識者懇談会が開かれ、1月末に報告書を出すに至ったというわけです。

 最大のポイントは、優良な監理機関・受入機関について、実習生の一旦帰国後2年間の実習を認め、これを(これまでの当初1年間の1号、後の2年間の2号と並んで)3号と位置づけることです。これを認めるための実習生の要件として、技能検定3級相当の実技試験への合格を示しています。これまでは、1号修了時に技能検定基礎2級相当の技能評価試験を受検することを求めていただけですが、2号修了時に3級相当、3号修了時に2級相当の受検を義務づけるので、ようやく技能実習らしい制度になるわけです。対象職種の拡大については、2014年10月から社会・援護局が開いた「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」が2015年2月に中間まとめを公表し、単なる物理的な業務遂行ではなく、一定のコミュニケーション能力の習得なども要件とする方向を示しており、改正法施行時に職種追加が行われることになりそうです。

 一方、制度の厳格化については、上記技能評価試験の受検義務化と並んで、監理団体及び実習実施機関のガバナンス強化や問題のある機関の排除が挙げられています。具体的には監理団体に許可制を導入し(今までそうでなかったことの方が不思議ですが)、指導監督を行い、場合によっては許可を取り消すという仕組みです。また、新たに法律に基づく制度管理運用機関を創設し、指導監督を行わせるとされています。言い換えれば、現在のJITCOには実効ある監視ができていないということです。さらに国際的にも問題になっている実習生に対する人権侵害に対応するため、制度管理運用機関で通報・申告窓口を整備するとしていますが、どれだけの権限を行使できるように設計するのか、現段階ではまだ明らかではありません。

 いずれにせよ、移民政策は採らないという大前提と、にもかかわらず必要な労働力を外国人で充足したいという喫緊のニーズを、技能の実習という建前で折り合わせるこの制度の微妙なバランスを、労働者保護や人権擁護をきちんと担保しながら維持し続けることの難しさがにじみ出るような報告書の内容であることは間違いありません。 

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