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2015年2月14日 (土)

育休ジレンマで悶える職場@規制改革会議議事録

WEB労政時報に「「育休世代のジレンマ」で「悶える職場」」を書いたと思ったら早速第40回規制改革会議の議事録が趙スピードでアップされていました。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/committee3/150122/gijiroku0122.pdf

これはとにかく絶品級に面白いので、まず読んでください。最初の海老原節は、いつもの海老原師匠の独演会どおりですが、そのあとに中野円佳さんと吉田典史さんを並べたセンスはすごいです。ていうか、実はわたしがサジェストしたんですけど。

中野 ・・・そうすると、非常に単純化して言えば、上昇志向の高い人は、そういうティピカルなオールドカンパニーからは出ていって、ある程度低く調整して私はこのぐらいで良いですというふうに抑えられた人の方が企業に残りやすい。そうなると、そういう企業の中ではそもそも女性の人数は増えていきませんし、管理職にがんがんなっていこうという人たちも増えません。女性に対する偏見も消えないですし、夫婦の関係としても、女性は例えば時短勤務を取り続けていて、給料ががくっと減っていますという中で、夫が120パーセントがんがん稼いでくれて、妻は補助的に働いた方が合理的というふうになって、イクメン化も進まないというか、妻が結局、家事・育児をやるという構造も変わらない。会社の中では、言わばバリバリ子供を生まずにやっている女性と、ぶら下がり社員みたいな人たちが対立していくような状況もちょこちょこ起こり、こうして女性活用がうまくいきませんというのが本の中で言っていることです。

どうしてこうなるのかということに対しては、さくっと説明するだけにとどめたいのですけれども、先ほどの辞めていく人たちの中で両方100パーセントやりたい、子育ても仕事もやりたいというのは、ぱっと聞くと特に上の世代の方からはそんな欲張りなことをそもそも望むのが悪いと言われそうな面があるのですが、でも、私もこういう世代なのですけれども、この人たちが育ってきた社会的背景というのは、社会の方が極めて両方を求めてきましたよねという話が背景としてあると思います。仕事も男女関係なく自己実現だとかやりがいを求めてやっていく。別に結婚しても家庭に入ることを前提にしないことを、特にエリート層の女性たちはある意味たき付けられてきていますし、それで結婚とか出産というものを余り考えずに仕事選びをした結果、30歳前後になって突然いろいろなプレッシャーが降りかかってくるというのが、この世代が経験している世界だと思います。

これを、他方から見ると、

吉田 ・・・一見、弱者と思われていながら実は弱者ではないという場合は、2番目の育児休業明け社員です。私はこういう記事を書くと、大体インターネットの中で炎上するのです。女性とか労働組合役員の方たちなどからよく狙われるのです。

いろいろな捉え方があっていいと思うのですが、前提として今後少子化が進んでいく以上、女性が大切な戦力であることはあえて議論するまでもないと思うのです。ただ、物事はもう少し複眼思考が必要ではないかと思うのです。

例えば、一例を挙げてみました。正社員数200人の教材制作会社があります。営業企画部が正社員8人、問題はここからです。この8人の中で、2人が育児休業明けの女性社員、30代です。この方たちは、役員の方から聞くと、よく頑張っておられるようですが、仕事が遅いのだそうです。復帰前には戻らないのだそうです。そうすると、6人がフォローをするわけです。一見これは美しい話です。ただ、私が感じておる限りで言うと、残り6人で2人を対応するのは難しい。1990年代に比べると、この十数年、非常に仕事の量が増えています。非常に難しい上に難しい状況になっているのです。

結局、結構優秀な女性がフォローをしていくわけです。ところが、人事の評価では、育休明けで平たく厳しく言うと、周りに迷惑を掛けていた女性が上に上がっていくわけです。それは職能資格制度の下で、悪く言うと年功序列的なものです。支えていた20代とか30代前半の人たちが浮かばれないわけです。こういうことは、不思議と新聞とかテレビ、雑誌に出てこないのです。これは、レアなケースではなく、多くの中小企業、中堅企業、大企業に多いと思うのです。私にはつくづく正直者がばかを見るような形に見えるのです。

実態からかけ離れた慣例があり、既得権化していることがあります。この会社の場合、労働組合があります。企業内労組です。労使協定ではないのですが、双方のお約束があるようです。双方というのは労働組合役員と経営側との間に。それは育児休業明けの社員の場合、3年間は人事異動しない。そうすると、いつまでもこの8人の中で2人が3年間残ることになるわけです。6人はいつまでこういうしわ寄せを受ければ良いのかということです。

この矛盾を作り出しているのは何なのか?

WEB労政時報で最後に書いたことですが、改めてこの「ジレンマ」と「悶え」を生み出している仕組みを確認しておきましょう。

・・・原則と例外は、原則が圧倒的多数で、例外がごく少数であれば、あまり問題は起こりません。しかし、例外が適用される人々が拡大してくると、原則の方にしわ寄せが来ます。そう、吉田典史氏のかつての職場に起こったのは、みんなが原則として時間無限定で働くことを前提に、そうはいっても無茶なことにはならないように適度に調整しながらほどほどの恒常的残業で回していた職場に、時間が限定された人が相当の割合を占めるようになってしまったという事態でした。

 「越えることのできない」「大きな溝」を作りだしているのは、直接的にはそれまでの日本の職場の常識に反する「時間がきたからといって帰ってしまう」非常識な(!)労働者の出現です。かつての補助的業務しかやらない「女の子」社員ならともかく、職場の基幹的業務を担う社員がそんなことで、仕事が回るわけはないだろう、と、思うでしょう。男性だけでなく、意欲に燃えたバリキャリ女性も。そう、そのバリキャリ女性が、燃え尽きて辞めていく、というのが、「育休世代のジレンマ」であったわけです。この袋小路をどうしたらいいのでしょうか。

そうでない職場のあり方なんてありうるのか?

ここで四番手の財務省大臣官房文書課広報室長 高田英樹氏が颯爽と(?)登場します。別に(どこかのりふれはが忌み嫌う)財務省の広報宣伝活動をしようというわけではなく、高田氏がかつて出向していたイギリスの財務省の話です

・・・私がイギリスの財務省に着任して最初にまず驚いたのが、夕方の5時とか6時になるとみんなどんどん荷物をまとめて、家に帰ってしまうのです。御案内のように、日本の役所、財務省もそうですけれども、非常に恒常的に深夜まで働いておりますし、私も深夜あるいは明け方まで働くことはざらだったわけですが、彼らは本当に夕方ぐらいに帰ってしまって、夕方7時ぐらいになるとほとんど職場が閑散としているわけです。しかしながら、経済・財政を見ると、当時はリーマンショックの前で一番絶好調だったということもあるのですが、とにかく50四半期を超える連続プラス成長、非常に安定した経済成長ですし、また、財政に関しても先進国の中でも際立って良かったわけです。

翻って日本を見ると、我々はいつも深夜、明け方まで働いているのですが、その割には経済も良くならないし、財政も良くならない。一体この差は何なのだろうという素朴な疑問に対する答えを探して、この3年間を過ごしたと言っても過言ではないわけです。

現役の公務員の方がこういうことをこういう場で堂々と発言されるのはとても良いことです。とかく、一見進歩的な風情の人が、こと相手が役人になればブラック企業の社長に早変わりという例もこれあり、国会審議と並んで霞ヶ関村のワークライフノンバランスに大いに貢献している主計局を擁する財務省からの発言であるだけに、大変貴重だと思います。

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