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2015年2月 6日 (金)

「若者雇用対策法の大胆と小心」@『生産性新聞』2月5日号

『生産性新聞』2月5日号に「若者雇用対策法の大胆と小心」を寄稿しました。

 去る1月23日、労働政策審議会が若者の雇用対策の充実等について建議を行いました。これを元に今通常国会に法案を提出する予定ですので、その内容を見ておきましょう。

 建議中では「マッチングの向上に資する情報提供」が重要な項目です。これは、近年いわゆるブラック企業問題が社会問題となり、劣悪な労働条件の企業をきちんと見分けて、そういうところに就職しないで済むようにすべきという問題意識が背景にあります。

 その第1は「労働条件の的確な表示の徹底」で、建議では法律事項ではなく、新法に基づき策定される指針(若者の募集・採用及び定着促進に当たって事業主等が講ずべき措置に関する指針)に盛り込むべきとしています。たとえば近年問題となっているいわゆる固定残業代に対しても、求人票に「固定残業代には○時間分の残業手当を含む。○時間を超えた場合は別途残業手当を払う」旨を記載するよう指導するといったことが考えられているようです。この問題については、連合が昨年11月の中央執行委員会で労働基準法第15条や職業安定法第5条の3を改正すべきという提案をしていますが、今回はそこまで踏み込んでいません。

 マッチングの第2は「職場情報の積極的な提供」です。ここは法律上の義務及び努力義務規定が設けられる予定です。具体的には、新規学卒者の募集に対する応募者や応募の検討を行っている新卒者が求めた場合には、次の項目について事業主が選択して情報提供を行うこととしています。応募者や応募検討者以外に対しては努力義務です。また、ハローワーク等に求人を出す場合には、ハローワーク等にこれら情報を提供することになります。

(ア)募集・採用に関する状況

   (過去3年間の採用者数及び離職者数、平均勤続年数、過去3年間の採用者数の男女別人数等)

(イ)企業における雇用管理に関する状況

(前年度の育児休業、有給休暇、所定外労働時間の実績、管理職の男女比等)

(ウ)職業能力の開発・向上に関する状況

(導入研修の有無、自己啓発補助制度の有無等)

 これについては、経営側がかなり抵抗した結果、やや限定的な仕組みとなりましたが、選考プロセスの中にいる応募者が「こんなことを敢えて尋ねたら選考からはずされるのではないか」と心配して自己規制してしまう可能性が高いようにも思われます。本質的には、これら情報が関係者以外には比すべき機密情報なのか、それとも一般に公開すべきパブリックな性格の情報なのか、という問題がありそうです。

 マッチングの第3は、新聞等でも大きく報じられた「公共職業安定所での求人不受理」です。現行職業安定法では、求人の内容自体が違法な場合でなければ、すべての求人を受理しなければならないこととされていますが、審議会資料によれば(以下同じ)残業代不払いなど労働法違反を繰り返す(具体的には1年間に2回以上是正指導を受けたなどの)悪質な求人者からの求人申し込みを、一定期間(法違反を重ねないことを確認する期間として、具体的には6ヶ月間)受理しないことができるという特例を設けることにしています。これは新規学卒者の求人に限った特例ですが、そもそも論からすれば一般求人の場合には悪質な求人者からの求人でも許されるのはなぜかという議論もあり得ましょう。また、ハローワークへの求人だけを規制し、それ以外の媒体であれば許されることへの疑問も提起されそうです。

 総じて、項目としては今までにない新たな手法に大胆に踏み込んでいる一方で、その具体においてはいささか経営側に遠慮した小心さも窺われ、そういう効果がもたらされるか興味深いところです。

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