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2015年1月21日 (水)

常見陽平『「就活」と日本社会』

0091227常見陽平さんから近著『「就活」と日本社会 平等幻想を超えて』(NHKブックス)をお送りいただきました。ありがとうございます。

https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=00912272015

大学間の格差拡大、「就活うつ」、新卒無業者……毎年、様々な問題を生み出し続ける「就活」。その原因はいったいどこにあるのか。「就活」100年の歴史を踏まえながら、企業の選考モデル・大学の役割・学生の気質などの変化を分析、偽りの「平等幻想」に支配された「就活」の実態を描く力作。

常見さんの就活関係の本は今まで本ブログでも何回か紹介してきましたが、今回の本は常見さんの修士論文が元になっているそうです。この4月から千葉商大に行かれる常見さんの、一区切りという意味もあるのでしょう。

採用基準はなぜ不明確なのか、を冷静に分析した本であるとともに、副題にもなっている「平等幻想を超えて」を熱っぽく説いている熱い本でもあります。

・・・就活というものを研究して可視化されるのは、日本社会における「平等」という概念に対する「幻想」である。

皆、うすうす、平等でないと気づいているのに、それを期待してしまう。何か不平等なことがあると、それに対する怒りが露わになり、それこそネット炎上などを誘発するのだが、とはいえ、冷静に考えると、その平等幻想というものこそ、子供じみていることに気づく。

そこで常見さんは言います。

・・・しかし、むしろこの学歴差別・区別は可視化された方が、人を幸せにするのではないかとさえ感じてしまう。いや、幸せという曖昧な表現は良くない。少なくとも、入社する難易度が高い企業、入ることができる可能性がきわめて低い企業を受け続け、落ち続け、疲れるということは回避できる。・・・

ただし、こう言われて反発する人も多いことだろう。少なくとも感情的に、否定的になってしまう人も多いだろう。だが、平等であるという幻想、より高い地位を獲得できるのではないかという希望が人々を苦しめるのである。

この平等幻想のもとをたどっていくと、それこそ近代日本史を全部総ざらえするような大仕事になるのですが、なんにせよ、今日の雇用労働問題の矛盾の原因を探っていくと、他の諸国では差があって当たり前のところに差を認めたがらない平等主義と、それとバランスをとるかのように、他の諸国では許されない差別だと糾弾されるようなことが、当たり前じゃん!と平然とまかり通ったりするところにあることがわかります。

スキルもないのに採用してもらえる新卒の就活の異常なまでの平等主義の裏側にあるものこそ、きちんと見つめていく必要があるのでしょう。

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似ていると煮ているが間違ってます(たぶん

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