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塩川太嘉朗さんの拙著書評

26184472_1今まで『新しい労働社会』『日本の雇用と労働法』『若者と労働』と書評していただいてきている塩川太嘉朗さんに、『日本の雇用と中高年』も書評していただきました。

http://shiokawatakao.blogspot.jp/2015/01/2014_24.html

冒頭、ご自身のキャリアを踏まえて、

とりわけ機能分化が進む外資系のスタッフ部門においては、HRの知識であっても、自身が日常的に接しない知識については疎くなる。しかし、顧客たる社員から見れば、どのチームの人間であろうとHRはHRである。社員の方々からの自部門の管掌範囲外の質問に対して、正確かつ網羅的に回答できる必要はないだろう。しかし、せめて相手の質問を的確に理解し、基本的な回答をしながら、適切な担当者を紹介するくらいはプロフェッショナルとして最低限行なえるべきだろう。こうした想いのもとに、本書のような、私にとってやや疎い領域に関しても随時知識を更新するようにしている。(今回もまた、自戒を込めて)

本書の読み方を述べられます。

本書では、戦前から現在に至るまでの、日本企業における人事制度を取り巻く流れが描かれている。そうした全体的な文脈の中において、「中高年」社員が企業の中でどのように扱われてきたかが論じられる。その際には、欧米諸国の企業における「中高年」の取り扱いとの対比を用いながら説明がなされているため、日本企業での「当たり前」が実は「当たり前」でないことが分かる。むろん、どちらの制度が優れているという類いの話ではない。そうではなく、相対化することによって見えてくる本質を理解すること、他国のプラクティスから学ぶべきものは学ぶこと、が重要ではないか。

以下、拙著から引用されつつ、職能パラダイムをどう考えるべきかを論じて行かれるのですが、最後近くで、拙著の小池和男理論批判を受けて、こう述べられます。

著者による小池氏への反論には概ね同意するが、私なりに補足するとしたらこうだ。知的熟練論は、本来は、現在および近い将来のビジネスに求められる職務に基づいた職務拡大と職務充実とを射程にしたものであり、単に仕事を幅広く経験すれば良いというものではない。若手社員は、学習カーブが右肩上がりであるために意識せずとも知的熟練が起きやすいが、一定の経験が過ぎた後は、個人が意識してキャリアやジョブをデザインしないと知的熟練は起きない。意識的なキャリアデザインやジョブデザインを試みることなく学習カーブが逓減傾向に陥った中高年社員は、変化の激しいビジネス環境下ではロー・パフォーマーになってしまう。

なお、今までの拙著に対する塩川さんの書評は

http://shiokawatakao.blogspot.jp/2011/07/2009.html(『新しい労働社会』(濱口桂一郎著、岩波書店、2009年))

http://shiokawatakao.blogspot.jp/2011/10/2011.html(『日本の雇用と労働法』(濱口桂一郎、日本経済新聞出版社、2011年))

http://shiokawatakao.blogspot.jp/2014/01/2013_18.html(『若者と労働』(濱口桂一郎、中央公論新社、2013年) )


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