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2015年1月26日 (月)

高橋賢司『労働者派遣法の研究』

9784502122514_240高橋賢司さんより近著『労働者派遣法の研究』(中央経済社)をお送りいただきました。ありがとうございます。413ページになんなんとする大著です。

http://www.biz-book.jp/%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85%E6%B4%BE%E9%81%A3%E6%B3%95%E3%81%AE%E7%A0%94%E7%A9%B6/isbn/978-4-502-12251-4

議論が対立した労働者派遣法改正。EU法・ドイツ法を分析し、わが国のあり方を検討。特にドイツは規制緩和で先行しながらも再規制に踏み切っており、その最新情報を紹介。

目次は下の方にコピペしておきますが、前の方にEUの派遣法の解説、後ろに日本の派遣法制の考察をおいて、その間に200ページ近くでもって専門のドイツの派遣法の研究が細かく書かれています。

ドイツ法については、ドイツ語が読めない私は間接的にしか調べられないので、本庄淳志さんの論文などと読み比べていきたいと思いますが、冒頭のEU法のところについては、いささかドイツにおける議論に引っ張られて、EUレベルそれ自体の議論の土俵とは少しずれている感じも受けました。

それは、ドイツ法編で大変重視されている「一時的」という一句がEU派遣指令に盛り込まれていることの意味をどこまで重視するかなのですが、本書でも繰り返し引用されている昨年の欧州委員会の派遣指令実施状況報告書においては、少なくともドイツ国内で騒ぎになっているような意味で指令の「一時的」という言葉が国内法規制的には理解されていないことは明らかなんですね。つまり、この「一時的」という文言を各国の国内法がちゃんと遵守しているかという観点での記述は全くなく、逆に、フランス等の諸国における派遣期間制限について、指令第4条における派遣の制限や禁止を撤廃すべきという規定の例外として認められるものとして記述されています。現時点のドイツも含め、派遣期間に特段制限を設けていない多数派の諸国については何ら問題視せず、逆に期間制限している国の方を指令に違反しているかどうか議論の土俵に乗せているところからすると、ドイツの議論の文脈の方がEUレベルとはずれてきている感が否めません。

まあ、ドイツ法の最近の動きを前提とすると、どうしてもそちらのほうからもとのEU指令を解釈するようになるのはやむを得ないのかもしれませんが、EU法からものを見ている立場からすると、いささか違和感の残るところではあります。

最後に、これは出版社に言うべきことかもしれませんが、せっかくの本格的な専門研究書なのにいささか誤植が目立ちます。本書冒頭の「はしがき」の1ページ目の真ん中あたりに、

・・・小野善康『不況のメカニズム』第3版(中央新書、2009年)・・・・

いや、中央新書ってのはないですよ。中公新書はあるけれど。

第1章 日本の労働者派遣法で求められるものは何か
 第1節 法政策及び法理論の面で問われる新たな視点
  一 フレキシキュリティと一時的な労働
  二 いわゆる派遣切りをめぐる問題
  三 違法派遣の法律上の問題点
  四 派遣先企業への労働組合の参加
 第2節 研究のアプローチと本書の構成

第2章 EU法における労働者派遣
 第1節 指令の経緯と目的
  一 指令の経緯
  二 指令の目的
  三 本指令の正当性
  四 国内法への置換え
 第2節 労働者派遣の概念,指令の適用領域
  一 労働者派遣の概念,一時的な労働の概念
  二 コンツェルン内の労働者派遣
  三 適用領域
 第3節 平等取扱原則
  一 平等取扱原則の経緯と内容
  二 労働協約による除外・逸脱と「全体的な保護」
 第4節 集団的な参加と雇用へのアクセス等
  一 集団的な参加に関する規制
  二 雇用と教育訓練に関する規定
 第5節 労働者派遣の制限と禁止
 第6節 終わりに

第3章 ドイツ法における労働者派遣
 第1節 労働者派遣の概念と労働契約上の規制
  一 ドイツ労働者派遣法の概観
  二 「一時的な労働」の概念
  三 期間設定法上の規制
  四 労働者派遣と派遣労働契約の実務
  五 小括
 第2節 許可関連の規定
  一 許可関連の規定および労働者派遣法3条の経緯
  二 違法な労働職業紹介の推定
  三 コンツェルン労働者派遣
  四 労働者派遣契約の無効事由と擬制的な労働関係
 第3節 同一賃金原則
  一 はじめに
  二 同一賃金原則
  三 協約による適用除外・逸脱
  四 同一賃金原則関連のその他の規定
  五 小括
 第4節 労働者派遣の対象業務の限定
  一 建設業での労働者派遣の禁止の内容と経緯
  二 建設分野の労働者派遣禁止に対する批判と法改正
  三 禁止違反の効果と実態
  四 小括
 第5節 ドイツにおける偽装請負をめぐる法規制
  一 ドイツにおける請負契約・偽装請負の現状
  二 ドイツにおける請負契約・偽装請負の実態と問題点
  三 請負と派遣の法的な区別についての基準
  四 事業所委員会の参加権と情報提供権
  五 日本法と比較した場合のドイツ法の特徴
 第6節 派遣労働者の事業所委員会を通じた企業の決定への参加
  一 はじめに
  二 労働者派遣の状況と参加の可能性
  三 参加に関するドイツ法的な観点
  四 事業所委員会の参加権とその実態
  五 被選挙権者と事業所の構成員性の問題
  六 小括

第4章 日本法をめぐる状況と将来像
 第1節 雇用の安定性をもたらす労働者派遣政策とは
  一 労働者派遣の規制と状況
  二 平成26年改正案の経緯と内容
  三 労働者派遣の将来像(ヨーロッパの標準)
  四 補論 派遣労働者の保護の必要性
 第2節 いわゆる違法派遣をめぐる法理
  一 法律上の規定
  二 職業安定法44条と違法派遣
  三 労働者派遣法の各規定の取締規定の性格の有無
  四 黙示の労働契約の成否
  五 違法派遣の場合の労働契約の申込みみなしの規定
  六 労働者派遣と請負契約の区別の基準をめぐる問題
  七 直接雇用をめぐる派遣先の団交応諾義務
 第3節 いわゆる派遣切りの法的問題
  一  派遣元による派遣労働契約の解約(解雇)法理
  二 派遣元による雇止めの制約法理
  三 直接雇用後の派遣先での問題

       結びに代えて

 初出一覧


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