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2015年1月14日 (水)

「派遣法改正 3度目の正直?」@『生産性新聞』1月15日号

『生産性新聞』1月15日号に「派遣法改正 3度目の正直?」 を寄稿しました。

今まで繰り返し論じてきたことの繰り返しではありますが、一向にこの理が分からない人々が多いようなので、新年早々ではありますが、こちらにアップしておきます。

 昨年3月に国会に提出された労働者派遣法改正案は、法案に誤記があったことから通常国会では廃案、9月の臨時国会に再提出された法案も、政局の余波と国会解散のために再度廃案という数奇な運命をたどってきました。昨年末の総選挙で自公政権が信任を得たため、来たる通常国会にみたび法案を提出する予定ですが、残念ながらこの間、マスコミ報道はあまりにも表層的な議論に終始し、派遣労働問題の本質に触れることはほとんどなかったように思われます。

 年が改まったことを機に、ここで改めて今時改正案のもっとも重要な論点を示しておきたいと思います。それは、派遣労働をどういう哲学に立って規制するかという基本原則の次元で、これまで30年近く維持されてきた「常用代替防止」の思想をかなり根本的に造りかえようとしている点にあります。そして、それは私がここ数年来、さまざまなメディアを通じて訴えてきたことでもあります。

 派遣労働者の保護よりも派遣先の常用労働者の保護を重視する「常用代替防止」思想は、まず何よりも日本独特の「政令26業務」に現れています。26業務だけは常用代替の恐れがないから(本気か!?)無期限に派遣を認めても良いという虚構の論理に対して、今回初めてメスが入れられ、規制の基準が(実際にはいかなる意味でも「専門的」とは言いがたい)26業務か否かではなく、雇用契約が期間の定めのないもの(無期)か否(有期)かに転換されることになったのです。

 これを安易に批判する人々は、私も繰り返してきた「登録型派遣の派遣契約終了に伴う雇止めの効果が争われた裁判例においては、常用代替防止という派遣の趣旨に照らし、労働者の雇用継続の期待は合理性を有さず、保護すべきものとはいえないとの判決がなされており、常用代替防止という派遣法の趣旨と派遣労働者の保護が両立しない場合があることが明らかになった」(今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書)という指摘に対して、是非的確な反論をしていただきたいと思います。法案を批判する人々は、いよぎん事件判決の「同一労働者の同一事業所への派遣を長期間継続することによって派遣労働者の雇用の安定を図ることは、常用代替防止の観点から同法の予定するところではない」、「Xの雇用継続に対する期待は、派遣法の趣旨に照らして、合理性を有さず、保護すべきものとはいえない」という言葉をどう受け止めているのでしょうか。

 多くの人が「常用代替防止」という言葉で想像している派遣労働者自身の雇用保護についても、私は繰り返し、現行法の常用派遣が有期雇用の反復更新でも良く、何ら雇用の安定になっていないことを指摘してきました。いよぎん事件の原告も、届出制の特定派遣の下で有期契約を反復更新して13年勤続していたのです。今回の改正案はこれを明確に無期雇用と有期雇用で区別し、無期雇用派遣については期間制限を行わないこととし、有期雇用派遣について現行の「役務」ではなく「人」に着目した期間制限を行うという簡明な制度に転換しています。これも私が強く主張してきたことです。

 過去30年近く、世界の議論とはかけ離れた(ほとんど外国人には理解しがたいレベルの)空虚な派遣法論議を繰り返してきた日本で、ようやくまともな派遣労働者保護を第一に考える法政策が産み出されようとしていることを、是非きちんと理解して欲しいと思います。虚構の「常用代替防止」論と労働者保護自体への敵視論の不毛なぶつかり合いには、そろそろお引き取りを願うべき時期がやってきているのです。

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コメント

無期雇用だから雇用は安定すると言います。

でも、派遣を受けたことの使用料として派遣元会社へ支払われるお金は、100%全額で労働者へまわることありません。当然、派遣元会社も運営コストと利益が必要ですから。

たしかに、期間の撤廃は雇用は安定するでしょうが、本当に労働者の「厚生」になるのでしょうか? 長く続ける分だけ本来、労働者へまわるべきお金を派遣元会社が吸い上げ続ける仕組みを確立させるだけなのではないでしょうか? なぜ、労働者は吸われ続けることを甘受しなければならないのでしょう?

貴方の説は法の問題を解決するのでしょう。
でも、人の幸せに貢献しないようにどうしても理解してしまうのです。

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