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2015年1月17日 (土)

働き方改革の基本線@『ManpowerGroup Journal』2015.01

マンパワーグループの広報誌『ManpowerGroup Journal』2015年1月号に、わたくしのインタビュー記事「働き方改革の基本線」が載っています。わりと短いものですが、何かの参考になれば、と。

http://www.manpowergroup.jp/client/journal/201501.html

政府の成長戦略の重要軸に「人材の活用強化」が据えられ、女性の活躍推進、働き方の改革、外国人材の活用に関する検討が進められています。そこで、広く労働の研究に携わる濱口桂一郎先生に、企業として様々な変化に対応するため、2015年に留意すべきポイントを伺いました。

昨年6月に閣議決定された『「日本再興戦略」改訂2014』は、女性の活躍促進と働き方改革を旗印に、雇用制度改革に向けた様々な方針を打ち出している。しかし、その後の政治家やマスコミの動向を見ていると、それを支持する側も反対する側も働き方改革とはどういうことなのかを的確に理解していないのではなかろうかと思われる状況が続いている。

ここで提起されているのは、戦後70年にわたって日本の労働社会の基軸となってきた働き方のスタイルを見直すということである。それを一言でいえば、女房子供を扶養する男性正社員を前提として、仕事の中身も、働く時間も、働く場所すらも無限定に、会社の指示のままにモーレツ社員として働く代わりに、新卒一括採用から定年退職までの終身雇用と、毎年定期昇給で上がっていく年功賃金制を保障された働き方の枠組を、もっと多様で一人一人の生き方に合った形に手直ししていくということになる。
無限定な働き方と生涯雇用保障の二つは密接不可分であり、お互いに相手を前提として精妙に組み立てられている。一方だけのいいとこ取りができるような生やさしい仕組みではない。ところが、雇用改革の議論はいつも、労働者を無限定に働かせることができる企業の強大な人事権限はそのまま維持しながら雇用保障を目の敵にしてもっと自由に解雇できるようにすべきだと主唱する一派と、雇用保障を当然の前提としながら企業の人事権限を批判する一派との、不毛なポジショントークに覆われてしまい、なかなかまともな議論が進まない傾向にある。

目下大きな議論の焦点となっているいわゆるホワイトカラーエグゼンプションについても、野党や労働側がとかくこれまでの長時間残業でたくさん残業代を稼ぐという生き方から「残業代ゼロ」ばかりを批判する一方で、経営側が時間無制限な働かせ方に頼り切ったまま労働時間の物理的上限設定に頑強に抵抗している姿には、これまでの働き方の惰性からなかなか抜けきれない労使双方の姿が浮かび上がっていると言えよう。
こういう惰性の議論がいつまでも続くことによる最大の被害者は、無制限な働き方を前提とされたのではその能力を十分に発揮できない女性たちである。成長戦略で大いに活躍を促進することになっているはずの女性たちが、労使双方の抵抗で働き方改革が進まないことによって、いつまでも世界最下位近くの活躍度合いで低迷し続けていては、「日本再興」などいつまで待っても実現することはないだろう。女性の活躍促進とは、表面を取り繕うために名ばかり女性管理職をでっち上げることではなく、全国の企業で働く多くの女性たちが真に働きやすい労働社会を構築していくことである。

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