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鯨岡仁記者@朝日のまっとうな認識

今朝の朝日新聞の「安倍政治 その先に」という記事に、こんな出し遅れ感溢れる一節が、

・・・周辺には危惧もあった。連合の傘下にあり、派遣社員や管理職などでつくる全国ユニオンの会長、鈴木剛氏は「民主党の姿勢、やばいな」と感じていた。幹部の言動から、財政は増税、金融政策は引き締めをしたいのが透けて見えた。「民主党政権時代の悲惨な株価、悲惨な円高が止まった。そこは勝負がついているとしたいいようがないのに」・・・

そのあたりのセンスについては、その朝日新聞の中にもこういう疑問を持っている記者がいたようです。ツイートから。

https://twitter.com/KujiraokaH/with_replies

民主党などはアベノミクスを「新自由主義だ」と批判しました。うちの紙面でもそういう論調の記事が多く見られました。社内の議論でも、多くの先輩らがそういう認識を持っていました。

アベノミクスは新自由主義ではありません。アベノミクス3本の矢の大規模な金融緩和、(景気に対応する)機動的な財政運営はケインジアン政策です。市場は失敗するのだから、政府が介入しなければならない。労使交渉に任せるのではなく、政府が賃上げに取り組む。欧米では左派の政策そのものです。

それを日本の左派は「新自由主義」などと批判する。安倍首相にとって、見当違いな批判は痛くもかゆくもありません。確かに、所得再分配政策は足りないかもしれませんが、それは分配政策に限った話であって、マクロ政策は明らかにケインジアン的なのです。

朝日新聞を含めて、左派リベラルが見当違いの批判を繰り返す。ここに、日本の左派リベラルの知的怠惰が垣間見えます。「お馬鹿」で「見当違い」な批判を繰り返しているうちに、安倍首相に「賃金が上がった」「景気は良くなった」と追い詰められていった。それが実態ではないでしょうか。

アベノミクスはケインジアン的(あるいはニューケインジアン的)な政策だ。そういう正しい経済政策の評価が土台にあって、初めて議論や批判ができる。そのうえで、いくらでも問題を指摘することもできた。しかし、そういう議論のもっていき方ができなかったことは、敗北だろうと考えます。

松尾匡さんはマルクス経済学者ですが、大胆な金融緩和政策を主張します。松尾さんは「自分の主張は欧州の左派政党と同じ」と言い切ります。その理由はこの本に書いてありますので、左派の皆さんに一読をお勧めします。欧米と日本のねじれも理解できます

ここで名前が出てきた松尾さんもそうですし、本ブログでもヨーロッパの社会主義政党や労働組合の主張を引いて述べていることが、この日本ではなかなか伝わっていかないことについて、その当の伝わりにくいマスコミの中で苦労しているらしい鯨岡さんのいらだつ気持ちが伝わってきます。

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