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2014年12月 5日 (金)

女性が管理職になりにくい社会 @『生産性新聞』12月5日号

『生産性新聞』12月5日号 に「女性が管理職になりにくい社会」を寄稿しました。

 先の臨時国会では成立に至りませんでしたが、女性活躍推進法案は企業の人事担当者にとって悩ましいものであったと思います。6月の「『日本再興戦略』改訂2014」で、数値目標として「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」が打ち出され、これを実現するために急遽10月に提出された法案です。国の策定する指針に基づき、国、地方公共団体及び民間企業(従業員300名超の大企業)は、女性の活躍に関する状況を分析し、それを踏まえて「事業主行動計画」というものを策定・公表しなければなりません。中小企業は努力義務です。この分析すべき事項の中に、「採用した労働者に占める女性労働者の割合、男女の継続勤務年数の差異、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合等」が含まれています。要するに間接的な形で女性管理職比率の引き上げを行わせようとする法律だと言ってよいでしょう。

 確かに、性別職業構造を国際比較すると、日本の女性管理職比率の低さは群を抜いています。これが主な原因となって、世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数2013」では136カ国中105位でした。他の職業ではむしろ男女の性差が少ない国なのに、なぜ管理職だけ少ないのか。その大きな要因は、高度成長期に確立された日本型雇用システムにおける男性正社員の働き方が、職務、時間、空間のいずれも無限定であることがデフォルトルールになってしまっていることにあります。とりわけ、労働時間や勤務場所が無限定ということでは、女性が結婚し、子供を産み育てていくことと仕事でフルに活躍することを両立させることは困難です。そのため、無限定な働き方のできない女性たちは、正社員であっても職務内容が補助的な一般職にとどまるか、雇用も不安定な非正規労働を余儀なくされてきたわけです。未婚のうちは男性並みに働いていた総合職の女性たちも、出産や子育てに直面して挫折することが多いのです。女性が管理職に到達する前に挫折するように仕組まれてしまっているシステムと言えるかも知れません。

 実を言えば、法律の要請に従って表面づらだけ女性管理職を増やすことはそれほど難しくはありません。欧米のジョブ型社会では昇進においても職業資格が極めて重要な判断基準になりますが、日本のメンバーシップ型社会では判断基準結局一般的な人間力になってしまうので、差別があってもそれを差別だと立証しにくい反面、とにかく数合わせしろという無茶な要求でも、何でもありでやれてしまう面があります。実際には暗黙のルールとして年次昇進があり、今までは「まだまだ女性が育っていませんので・・・」というのが言い訳になっていたわけですが。

 日本の女性管理職の数を本気で増やすために必要なのは、なによりもまず長時間労働を当然と考える職場慣行の是正であり、短時間できちんと成果を挙げる男女労働者を適切に評価して昇進させていく空気を作り上げていくことでしょう。子供を保育所に預けてから朝遅く出社し、子供を保育所に引き取りに行くために夕方早く退社する管理職が、電子機器を駆使して部下に指示することを当然と考える社会になってこそ、女性の活躍は根付くことになります。さもなければ、「俺はこんなに夜遅くまで頑張っているのに、女というだけでさっさと帰るあいつが出世しやがって」などという低レベルのねたみが充満する危険性があります。

本日、川崎市麻生区方面で若者話をせよと言われて行ったのですが、若者と中高年と女性の3題話になりました。その女性編の最後のオチが上の最後のパラグラフ。うまくオチたかどうかは、聞いていた人のみぞ知る。

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