佐藤博樹・矢島洋子『介護離職から社員を守る』
佐藤博樹・矢島洋子『介護離職から社員を守る』(労働調査会)をお送りいただきました。
もしかして、奥付の著者紹介に「中央大学大学院戦略経営研究科教授」と書かれた最初の本でしょうか。
団塊の世代が75歳以上に到達する2025年。
働き盛りの団塊ジュニア層が親の介護に直面することが予想されます。それは、介護との両立により、中核的人材の離職につながる恐れがあるということ――しかも、介護は育児と違ってある日突然降りかかってくるもの。
そこで、仕事と介護の両立を企業がどうやって支援していくべきかを、事前の情報提供や制度の見直し、柔軟な働き方という視点から解説した充実の1冊!
というのが版元の紹介文ですが、「あとがき」の最後のところにこういう熱いメッセージが書かれています。
・・・困難な状況で介護と向き合っている方や介護のために離職した方を前にしたときに、「仕事と介護の両立は可能だ」と主張することは、「あなたの選択は間違っている」と言っているようで、非常に心苦しいことも確かである。自分の意思で親の介護を担いたいという人も居り、人それぞれの生き方は尊重されるべきある。しかし、子育てと同様、現状では、本人の意思のみではなく、「親族の誰か、特に女性が介護に専念すべき」という社会的な「固定的役割分担意識」などのために離職に追い込まれている人も少なくない。だからこそ、あえて、「介護で仕事を辞めるべきではない」というメッセージを本書では強調している。こうした認識を社会全体で共有し、両立できない理由を述べ立てるのではなく、「仕事と介護の両立」のための取組を、本人、企業、社会のあらゆるレベルでスタートさせることが必要と考える。
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