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2014年11月11日 (火)

ドイヨル&ゴフ『必要の理論』

183255L. ドイヨル・I. ゴフ著、馬嶋裕・山森亮監訳『必要の理論』(勁草書房)をお送りいただきました。ありがとうございます。日頃読んでいる文章よりも相当に抽象度が高く、頭の違う部分を使わないと読んでいくのが難しい本です。

http://www.keisoshobo.co.jp/book/b183255.html

政府が個人の幸福追求を支援するために講じる手段には様々なものがあるが、それらはどんな理由によって決まるのか。自立と依存を対立するものとしてとらえるのでなく、何が人の「必要」なのかという観点から、様々な政策を位置づけ直さなくてはならない。「必要」について包括的に理論化し、福祉研究分野で高い評価を受けた一書。

左の表紙の上にあるように、原題は「ア・セオリ・オブ・ヒューマン・ニード」。そう、福祉の世界でよく使われる「ニード(ズ)」ってものを、理論的にとことん掘り下げていった本です。
まず第Ⅰ部の第1章「誰が人間の必要を必要としているのか?」という皮肉なタイトルの章で、いろんな政治的立場からの「必要」論を概観し、

  第1章 誰が人間の必要を必要としているのか?
    1.1 正統派経済学:必要とは選好である
    1.2 新しい右翼:必要は危険である
    1.3 マルクス主義:必要は歴史的である
    1.4 文化帝国主義批判:必要は集団固有のものである
    1.5 根源的民主主義:必要は言説的である
    1.6 現象学的議論:必要は社会的に構築されたものである

次の第2章「人間の必要の不可避性」で、それらを批判していきます。

  第2章 人間の必要の不可避性
    2.1 正統派経済学:評価の循環性
    2.2 新しい右翼:結局のところ普遍性
    2.3 マルクス主義:決定論という冷笑的な眼差し
    2.4 文化帝国主義批判:抑圧の客観性
    2.5 根源的民主主義:集団の道徳のロマン化
    2.6 現象学的議論:社会的実在の反撃

この部分だけでも、読んでいくとわくわくします。本当の意味での「わくわく」感ですね。

本体の議論はこのように展開していきます。

第Ⅱ部 人間の必要の理論
  第4章 身体的健康と自律:諸個人の基本的必要
    4.1 人間の行為と相互行為の前提条件としての必要
    4.2 基本的必要としての生存/身体的健康
    4.3 基本的必要としての自律
    4.4 必要充足の比較における諸問題

  第5章 基本的必要充足の社会的前提条件
    5.1 個人の自律の社会的側面
    5.2 四つの社会的前提条件

  第6章 人間解放と必要充足への権利
    6.1 義務、権利、道徳的相互性
    6.2 特殊な責務と必要充足の最適化
    6.3 相対主義と人間解放への見通し
    6.4 補論:敵の必要充足への権利

  第7章 理論における必要充足最適化
    7.1 ハーバマスと合理的コミュニケーション
    7.2 ロールズ、正義そして最適な必要充足
    7.3 ロールズの修正
    7.4 ロールズ批判
    7.5 国際主義、エコロジー、未来世代

一言でいえば、福祉国家の哲学的基礎付けというべき本ですが、その射程はかなり長いものがあります。

労働法を哲学的に再構成しようなんて考える人はあんまりいないかも知れませんが、そういう奇特な人にとっては、まず真っ先に読むべき本であることは間違いありません。

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